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間違いの意外な結末

5分後。

加藤さんの言った通り、スーツを着た本社のオトコが大学に4名やって来た。

そして有無を言わさず、周りがざわざわとざわめく中、車に乗せられ、そのままどこかへ走っていく。


ああ……人生が終わるときって結構呆気ないんだな……

なんて後悔にひたりながら、うつむく。

と、走り出してからすぐ車は止まった。


もう……警察署に着いたのか……

と、虚ろな目で外に目をやると。

車が止まったのは、会社の近くにあるコーヒーショップだった。


「え……?」


あれ……?警察署に行くんじゃないの……?

刑務所に入る前にコーヒーでも飲めってことか……?

わけもわからず、ひとまず車から下ろされ、そしてそのまま、店内へ入るように促される。

頭にハテナマークを大量に浮かべながら、ドアを開けるとそこには。


「やー、大変だったね」


なんて軽い口調を叩くオレの父さんが目の前にいた。


「はっ……えっ……?」


たまらず、その場で頭を抱える。


ヤバイ……これは一体、どういうことなんだ??全く理解できない……

警察署に連れていかれると思ったら何故か、コーヒーショップに連れていかれ、しかも店内には新調したのスーツを着た父さんがいる。

そもそも、なんで父さんがここにいるんだ……?

だってオレが大学に入ってからは一切会わなかったのに、こんなとこで再会……?


「そんなとこでうずくまってないで、とりあえず座れば?」


そんなことを思っていると父さんは座っているソファの横を手でバンバンと叩く。


「…………」


いまいち、事態は飲み込めないが、とりあえず言われた通り、座ることにした。


「いやー、しかし……ほんとに女の子だね」


父さんはオレの今の姿をジッと見つめてからそう漏らした。


「驚かないんだな……」


「そりゃね、だって母さんから聞いてたから」


「はっ?!」


その言葉にうつむいていた顔を上げた。


「あれ?聞いてない?」


テーブルに置いてあったコーヒーをズズッとすすりながら、驚いた様子の父さん。


「聞いてないっていうか……父さんの話なんてここ何年もしなかったし……」


仕事人間だっていうのは、薄々分かってたけど……


「そっかー。てっきりそこんところ、聞いてると思ったのに……」


父さんは後頭部をガシガシとかき、参ったと言わんばかりのアピールをしてきた。

が、次の瞬間。


「ま、いっか。とりあえず、父さん、智明の会社の社長だから。クビにはならないよ」


あっけらかんとした様子でこれまた衝撃の一言を言い放ってきた。


「はっ……?!」


恐らく、今のオレの顔はものすごくマヌケなことだろう。

その言葉を理解するのに3秒ほどかかった。


「あー、ごめん。あんまり時間ないのよ。とりあえず会計は済ませとくから。あ、ちなみにここのパンケーキ、絶品だから。頼んどいたから、そのうち来るよ。じゃ、そういうことでー……」


慌てて店内から出ていきながら、父さんはそう言い残して去っていった。


「…………」


もはや、脳が次々と起こる展開についていけず、停止。

しばらくソファに座ったまま、ただ、時間だけが過ぎていった。

そして父さんの言った通り、パンケーキはメチャクチャ美味しかった……

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