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1.骸骨侍

 ところ構わず襲ってくる馬鹿共も、朝はなりをひそめてくれるのは不幸中の幸いだ。夜行性だから、朝は苦手なのだろうか。


 今朝もそんな下らないことをぼんやりと考えながら、通勤や通学のラッシュで相変わらず満員御礼営業中のバスに乗り登校する。天井からぶら下がる吊革を持ったまま、バスの窓から見えるのは朝日に煌めく東京湾。その向こう側では、日本に存在するアメリカ産の夢の国が今日も疲れた日本人に夢を振りまくための準備をしている。夢の国の裏側も、案外楽じゃなさそうだ。


 その夢の国の裏側を覗くことができるここ、いざなぎ市は、東京湾に浮かぶ一辺十二キロメートル、世界最大の六角形型人工浮島(メガフロート)群の上に建造された新興都市だ。


俺は生まれたときからこの市に住んでいるから新興都市という呼称はいまいちしっくりこないし、そもそも今年で建造二〇周年を迎える街を新興都市と呼んでもいいのか、俺には判断がつかないけどな。


 国創りの神様を名前の由来とする新興都市。


 第一区画、俺の住む場所は戸建中心の中密度居住区、第二区画は高層マンション中心の高密度居住区……そんな感じに、いざなぎ市は中央部を構成する0区から、居住区や商業区、学園都市など、それぞれ明確な用途分けが為された計七台の人工浮島(メガフロート)で構成された、世界唯一の人工浮島群都市なのだ。


 その、いざなぎ市の第六区画、通称『ミチザネ学園都市』に、俺が通う高校がある。


 街そのものが機械と最先端技術の塊で出来ているだけのことはあって、バス、地下鉄、モノレールといった各種移動手段も完璧に揃えられているし、街中の何気ないものにも、ここでしかお目にかかれないような最新技術が活用されていて生活に不便することはほとんどない。商業区も店の種類や品揃えも充実しているし、オフィス街や先端産業中心の工業区もあるから、就職先にも困らない。


 そういう意味でも、この街は割と住みやすいと思う。


 現に、今乗っているバスひとつ取っても、俺が通う高校から最寄のバス停の時刻表はすでに電子化されていて、パネルにタッチすれば最適な乗換案内を表示させることもできるし、学園都市内で宙に浮かんで走るバスを見たこともある。


 食べるものだって、一部の趣向品以外はこの街の地下にある最新の食料プラントで製造されている。なんでも土を使わずに、人工の光と栄養液だけで野菜が育ち、その廃棄分などで食肉を賄っているらしい。噂では、それでも足りない食肉は人工合成されているらしいが……それはさすがに都市伝説だろう。


『ゆりかごから墓場まで。宇宙でも住める近未来都市』……この都市単体で産業や経済を自己完結する、という途方もないことをモットーにしただけのことはある。惜しげもなく最新技術がつぎ込まれるから、日本で一番SF体験ができる街、と紹介されることもあるくらいに……俺とは対照的に、とにかく新しくて、欠陥というものが存在しないんだ、この街は。


 まぁ、いくら新しくても、通勤・通学のラッシュは解消できないみたいだけどな。解消できないのか、敢えて解消しないのかは知らないが。


 やがて、いつもと同じ時間に決められた停留所に止まったバスから押し出されるように降り、周りにいる人達と同じように学校に向かう。そうして歩いているうちに、モノレールや地下鉄で通う奴らも合流して、俺の周りにいる人間は段々と増えていく。学園都市名物の、朝の登校風景。様々な制服に身を包んだ百万を超える学生達が一斉に登校する様子は中々壮観に見える。


 けど、俺はこの光景があまり好きじゃない。


 俺の周りを歩く奴らは、どいつもこいつも、急ぎ足で学校に向かっている。


 時代の最先端をひた走るこの街で、周りの連中は急ぎ足で前に、前に進んで……そして、俺は一人取り残されていくような気がして。誰もが前に進めるのに、俺だけがここに取り残されているような気がして。取り残されるような人間は必要ないと、暗にそう告げられているような気がして。


 最も新しいものが手に入るこの街で、俺の望むものは手に入れられない。


 だが、それはこの街が悪いわけではない。


 性分だから、どうしようもない。そう分かっていても、な。


「どうすれば、いいんだろうな……」


 ああ、朝から嫌な気分だ。


 どうしようもないと分かっていても、空虚感と苛立ちは消えることはない。


 これからずっとこんな気持ちを抱えて生きないといけないかと思うと、気が滅入る。


「はぁ……」


 ため息をつきつつ、俺は一年三組、自分の教室の扉を静かに開けた。


「あ…………」


 誰かが上げた、戸惑いの混じる声。それだけじゃない。俺が教室に入った途端に、教室の空気が微妙に凍ったのが分かる。


 まぁ、仕方がないんだけどな。


 入学式に、斎藤……だったか? ……とにかく、俺に三週間、ある意味驚異的な粘着力を見せつけているあのリーゼント野郎は、それだけ有名人だったらしい。至極まっとうな人生を送っている高校生達にとっては、関わると碌なことにならない特大の地雷という意味で。おかげで、そんな奴に目を付けられている俺も、同様に地雷扱いだ。


 クラスメート達はみんな物怖じして俺に話しかけてくれない。こちらから話しかけても、地雷地帯に放り込まれたチワワのような反応しか返ってこない。元々友達が多い方じゃないが、それでも中学校の頃までは比較的まともな学生生活を送っていた。それが高校進学と共に離れ離れになり、同じ高校に進学した奴らも、目を付けられた日から段々と疎遠になってしまった。


 おかげで、俺にはほとんど友達がいない。


 まったく、本当に、とんだとばっちりだよ。それまで友達だと思っていた奴らにある日急に態度を変えられるのは、思っていたよりも辛い体験だったぞ。


 四面楚歌。悪い意味で注目されている、居心地の悪い視線を無視し、俺は自分の席に座る。


 だが、このクラスには一人だけ、俺に物怖じせずに話しかけてくる奴がいる。


「やぁ、戦人。朝からため息なんてつくと、幸運が逃げてしまうよ?」


「余計なお世話だ、まつり


 濃い栗色で少し長めの髪に、新月の夜空のごとく黒い瞳と長い睫毛。中性的な顔立ちで、服装次第で男にも女にも化けることができるだろう。その整った容姿で、椅子に座ったまま視線を身体ごとこちらに向けるこいつが、俺がこの学校で唯一の友達と呼べる人物。


 名前は、夜刀やとの祀。


 こいつとの付き合いは小学生のときから続いているが、他の離れていった奴らと違いこれまでと変わらない態度であり続けるこいつに、俺は正直、救われている。


「その様子だと、また絡まれたみたいだね?」


「まぁな。まったく、いい加減にして欲しい」


「ボクも、君の力になれればいいんだけど……」


「ありがとうよ。だけど、その気持ちだけで十分だ」


 言い、俺は祀の頭に手を置いて、ワシワシと、努めて無造作に撫で回した。


 いつの頃からか、俺は事あるごとに祀の頭を撫でるようになっていた。癖、なのだろう。実際、こいつは昔から、頭を撫でるのに丁度いい身長をしているのだ。高校生にもなって頭を撫でるのはどうかとも思うのだが、止める理由もないし、こいつも嫌がらないので、なんとなくそのままになっている。


 ……それにしても、相変わらず良い撫で心地だな。


 なんというかサラサラしていて、質の良い布を触っているような気分になる。


「わ。もう、戦人。最近、乱暴じゃないかい?」


「ああ、すまんな」


 パッと手を話すと、僅かに涙目になって、恨めしげな視線を向けていた。


「戦人。最近君はボクのことを、愛玩動物かなにかだと思ってない?」


「そんなことはないぞ。イイ奴だと思ってるよ」 


「……やり直しを要求する」


「はいはい」


 あと、こいつも撫でられるのが好きなのだ。本人から直接聞いたわけじゃないが、昔から事あるごとに要求されてきたし。おそらく間違いない。


 高校生にもなって、まったく。しょうがない奴だ。


 わざとらしく聞こえるようにため息をついてから、今度はなるべく優しく、祀の頭を撫でる。


 周りから見られるのは多少気恥かしいが……満足げに微笑む祀の顔を見ると、まぁ、イイかと思えるから不思議だ。それに、長年続けてきただけのことはあって、俺もこいつの頭を撫でると、なんとなく落ち着く。


 ま、どうせクラスメート達からは避けられてるんだし、今更多少のことで変わりゃしないさ。


 祀は祀で、男女分け隔てない性格が幸いして、こんなことをしていても友達はちゃんといるみたいだしな。問題ないだろう。その辺の社交術は、俺には真似できそうにない。


「君も大概お人好しと言うか、優しいよね」


 藪から棒になんだ、その感想は。


 なにをどう考えれば、そんな言葉が出てくるんだ?


「言葉のままの意味だよ。まったく。ボクのことと言い、斎藤さんのことと言い」


 意味が分からない。が、祀は頭が良いからな。俺が知っていることは大体知っているし、俺が知らないことを沢山知っている。


 だから、祀がそう言うからには、そうなのだろう。俺には理解できないが。


「ふふ。まぁ、だからこそ、ボクは君のことを好ましく思っているんだよ」


「そりゃ、どうも」


 満足したらしい祀の頭から手を離す。


 それを切っ掛けにしたように、祀が話し始めた。


「……ああ、そうだ。戦人。君は、都市伝説に興味はあるかい?」


「ない」


 そう言えば、祀は昔からそういう話が好きだったな。


 都市伝説とか、怪談とか、土着の神話だとか、そういう得体の知れないモノの話。


「……即答だね」


 苦笑を浮かべる祀。


「まぁ、そういう反応が返ってくるのが君らしいけどね。周囲に惑わされないそういうところも、君の魅力だとボクは思うよ」


 褒められて悪い気はしないが、生憎俺自身はそういう類の話に興味がないんでな。


 そして、そういった話題を振って来た祀に対して、俺が素っ気ない反応を返すのも、昔からのパターンで。祀はその苦笑を微笑みに変えてから、話を続けた。


「最近、このいざなぎ市……特に学園都市近辺で、都市伝説が流行っているんだ。戦人も、話くらいは聞いたことがないかい?」


「……ないな」


 都市伝説と言えば、こっくりさんとか、口裂け女とか、そういうのだよな。


 そのくらいの有名なのなら、俺も聞いたことがある。


「それで、だ。この辺りにも、とうとう骸骨侍が出たらしいよ」


「骸骨侍?」


 だが、祀が言った都市伝説は、俺の聞いたことのないものだ。


 なんだ、そのB級ホラー映画に出てくる妖怪みたい名前は。

「知らないかい? 去年の暮れくらいから話題になりだした都市伝説で……なんでも、鎧を着た骸骨が日本刀を持って、街を夜な夜な彷徨ってるらしいよ」


「……本当に、B級ホラー映画じみてきたな」


 ため息混じりに俺がそう言うと、祀は何故か、心底愉快そうな表情を浮かべた。


 まるで、俺がそう言うのを待っていました、と言わんばかりに。


「面白いと思わないかい? この最先端技術の結晶であるいざなみ市で、都市伝説なんて言う古びた話が流行り……しかも、新しい都市伝説が生まれるなんて」


 祀の話を聞いていて、ふと、気付いた。


 持論を語りだした祀の瞳が、いつもとは違う輝きを放っていることに。


 しまった、と思ったときにはもう襲い。


 これは、スイッチが入ってしまったな。


「同時にいざなぎ市、特に学園都市に通う女学生達の間では、こっくりさんが流行っているんだ。それも従来の占いの延長線上にあるちゃちなそれではなく、新種とも言えるべきこっくりさんがね。同様にこっくりさんが流行り、次々と新しい都市伝説が流行したのは一九七〇年代、高度経済成長期の真っ直中だ。そして、いざなみ市は連日進化を続ける都市。規模こそ違えども、刻々と社会状況が変化しているという共通点があるんだ。この共通点、中々面白いと思わないかい? ボクが思うに社会環境の劇的な変化というのは人々の心に希望を生むと同時に変化による不安……移り変わり、忘れ去られることに対する根源的な恐怖が混じっていると――」


「あー、わかった、わかった」


 こうなると、祀は独自の世界に突入する。


 祀は普段から人当たりが良く、話をするのも聞くのもとても巧いのだが、昔からこういう考察が好きで、ときたまスイッチが入ったように持論を次々と語りだす。そうなると、もう止まらない。そして、その被害を受けるのは大抵俺なのだが、悲しいかな、俺は祀ほどに賢くないし、そういったことに興味もない。


 そういうことは俺じゃなくて、もっと頭の良い奴と話せばいいのにな。


 だが、祀の意見ももっともだと思う。


 この街は人工浮島群上の最先端都市だ。骸骨とか幽霊とか都市伝説とか、そういう古びたオカルトからは日本で最も程遠い街だ。


 彷徨うならこんな場所じゃなくて、もっと相応しい場所があるだろうに。


「……なんでまた、こんな海の上の街を彷徨ってるんだ?」


 なんの気なしに、そう呟いていた。


 ――それが、不味かった。


「これは、ボクの私見だけど。未練、じゃないかな。なにに対して未練があるのかは分からないけど、(むくろ)とはいえ侍。戦う相手を求めて……もしかしたら、死に場所を求めてるのかもね。侍らしく」


 未練。死に場所。


 その言葉に、全身の筋肉が硬直したのが分かった。それだけじゃない。酷く、嫌な気分になる。内臓が内側から押し上げられるような、心臓を鷲掴みにされたような、そんな感じ。


 自分でも、自分の表情が変わったのが、分かった。


「……戦人?」


「……すまん。なんでもない。気にするな」


「でも――」


「はーい。朝のホームルームを始めるわよ」


 言葉を続けようとした祀の言葉は、しかしいつの間にか教壇に立っていた担任の明るい声に遮られた。ほれ、前を向け、と微妙に視線を逸らしたまま祀に催促すると、祀はしぶしぶとだが素直に前を向いた。


 正直、今の表情を、祀には見られたくない。


「…………クソ」


 誰にも聞こえないように、小さな声で悪態をつく。


 ムカムカしたものが、再び胸の中に生まれる。


 聞くんじゃなかった。


 まるで呪いのように、俺の心を苛むこの思い。


 戦うことに未練を残して、現代を彷徨うなんて。


 まるで、俺みたいじゃないか。





 結局、その日最後の授業が終わっても、俺の気持ちが晴れることはなかった。


 元々スッキリした気分でいられる時間の方が短いが、今回はかなり長引いた。


 俺の心の中にある、戦いに対する異常な妄執。すべての価値観が戦いに支配され、平和な日本で命を賭けることも厭わない、狂った趣向。人間として大切なものの欠落。異常だと自分で理解しているが、どうしようもないということも分かっている。


「じゃあ……ね。戦人」


「ああ。また、明日な」


 ……そろそろ、俺が降りるバス停が見えてきたな。


 祀の家は、俺の家のある第一区画――戸建中心の中密度居住区ではなく、第二区画――高層マンションやアパートが中心の高密度居住区にある。乗り込み人数の関係で朝は同じバスに乗ることはないが、帰りとなると話は別だ。第一区画を通り第二区画に向かうバス。俺も祀も部活はしてないから、授業が終われば自然と二人で同じバスに乗り、俺が先にバスから降りて別れるのが、昔から繰り返されてきた習慣だ。


 今日もいつも通りバスが止まる前に言葉を交わし、開いたドアに向かって祀に背を向けたところで、ふと思った。


 俺の根源を構成するこの狂った思いに、人間としての欠落に、こいつは……夜刀祀は、気付いているのだろうか。


「…………戦人!」


 バスから地面に足を降ろした瞬間に突然、呼びかけられた。それも、普段の祀からは考えられないくらいに、大きな声で。 


 おいおい。お前の声に驚いて、バスの中の他の連中までお前に注目してるぞ。


 一体どうしたんだ?


「あの……上手く言えないんだけど……なにか辛いことがあるなら、ボクに話して欲しい。戦人は強い人だから、ボクじゃ助けにならないかもしれないけど……話せば楽になるかもしれないし、もしかしたら、ボクにもなにか出来るかもしれない。だから……」


 珍しいこともあるものだ。


 祀が言葉を詰まらせるなんて。


 祀は、頭が良いからな。全知全能……と言ったら、言いすぎなのだろうが。知識もあるし、それ以上にその知識を行使する頭の回転がすごい。


 だからきっと、俺の妄執にも気付いているだろう。俺の中にある、薄汚くて仄暗い感情にも気付いているのだろう。戦いを厭わないということは、誰かを傷つけることを躊躇わないということだ。人として唾棄すべき、俺の在り方。生まれ持ってしまった、変えることのできない、俺の本性。


 その上で、祀はこう言ってくれるのだ。


 ……本当に、祀には助けられてばかりだ。


「……ありがとよ、祀」


 胸が一杯になる、ってのは、こういうのを言うんだろうな。


 さっきまでの嫌な気分が、嘘みたいだ。


「大丈夫だ。今は話せないが……いつか、解決するさ」


 惜しむらくは、この感情の整理がつくかどうかは、俺自身にも分からないということだ。


 いや、望みは薄いだろう。気付けば心の中にあったこの血に塗れた妄執が、そう簡単になくなるとは思えない。俺が人間としてなにかが欠落しているからこうなのだ。時間が解決する? そんなに悠長な感情なら、俺は苦労なんてしていない。


 それに、いくら祀でも、こればかりは解決できない。


 祀には武術経験はないし……なにより、女の細腕では、俺には絶対に敵わない。


 その気持ちは、ありがたいんだけどな。


 だからさ、祀。そんな悲しい顔をしないでくれよ。


 俺の執心にお前を付き合わせるのは、俺の本意じゃない。


 俺の欠落のためにお前が苦しむのは、俺が望む解決ではない。


 だけど、どうすればいいのか分からなくて。


 祀の、今にも泣き出しそうな顔を見ていられなくて。


 次のバス停に向かって走り出したバスに、俺は逃げるように背を向けた。


 ……情けないよな、ちくしょう。


 自分のイカれた願いにイラついて、祀まで巻き込みそうになって。


 ――生まれてくる時代を間違えた。


 もっと昔、戦うことに疑問のない時代に生まれていれば、こんなに苦しまなくても良かったのだろうか。欠落があっても、それでもまともに生きていくことができたのだろうか。


 なんとなく立ち止まって、空を見上げてみる。


 第一区画。機械の塊で出来たこの人工浮島群の中で、唯一土が存在する場所。他の場所の植物はゲル状の特殊な培養素材に植えられているからな。そのおかげで、この辺りでは雨上がりのときなんかは土の臭いを実感することができる。街並みも、昭和の日本をイメージして構成されているから、他の区画と比べて街灯も少なく、その光も弱い。機械で出来た、眠らない街の中で、唯一眠りを必要とする場所。


 そんな街だからなのか、ここには他の区画に比べて穏やかな空気が流れている。


 日本どころか世界の先頭を走り、立ち止まることなく最新を求める機械の街に流れる煌びやかで、でもどこか焦っているような、息が詰まってしまいそうな、そんな空気とは対照的で。


 ……苦手なんだ。


 この街にいると、自分の異質さが際立つようで。


 誰もが前に進み続けるこの街の中に、俺だけ取り残されていくようで。


 お前のような存在はこの世界にいてはいけないと、そう言われているようで。


 いつしか、ここは俺の居場所のない街だと、そう思うようになっていた。


 そんな街の中で、俺の家のあるこの区画だけは、比較的遅く歩いてくれる。


 こんな俺でも、ここにいてもいいんじゃないかと、淡い希望を抱かせてくれる。


 この街で一番ゆっくりな場所。


 時代遅れな俺には相応しい街で、



 後から思えば、だからこそ俺は、この場所で、そいつに出会ったのかもしれない。



 カツン、カツンと、アスファルトを叩く硬質な音。


 その音が聞こえる範囲に、どういうわけか俺以外の人間はいない。夕方の住宅街だと言うのに、不気味なほどに静まり返っている。


 思わず、息を呑む。


 一歩、また一歩と俺に近づいてくるのは、紅い鎧を着た骸骨。所々が欠け、年月を感じさせる古びた鎧とは対照的に、その右腕に握られた刀には曇り一つなく、夕陽の光を反射して黄金色に輝いている。


 顔を覆う面具からのぞく眼窩は落ち窪み、眼球が無いことは一目瞭然なのに。


 その骸骨と、目があった、気がした。


「――――」


 その瞬間、全身が総毛立った。


 その瞬間、すべてを理解した。


 すでに物言わぬ骸となったそいつの、すでになくなった眸が、語っていた。


「そうか、お前も――」


 ここにいちゃいけない存在なんだな。


 その無言の視線が、全身から滲み出る殺気が、錆一つない得物が、訴えている。


 だから、こそ。


 俺は、構えた。左足は前、右足は後ろ。相手に対して半身を切り、重心を若干前に寄せる。顎の高さまで持ち上げた左手は軽く指を伸ばし、腰の高さにある右手は軽く握る。腰は落とし、視線は真っ直ぐと真正面を見据える。


 戦うことを渇望し、その乾きが満たされなくてもひたすらに磨き続けた御薙流古武術の構え。


 この日を願って、一心に鍛え続けた、俺の出せる全力。


 それに呼応するように、目の前の骸骨もまた、刀を構えた。


『御薙流、戦場戦人』


『――――』


 自然と、名乗り上げていた。


 面具に遮られたのか、声こそ聞こえないが、眼前の骸骨も名乗り上げたのだと思う。


 戦う意志を、『この戦いに己の誇りと魂を賭ける』という意志をお互いに確認し、睨みあい硬直する。


 ……背筋がゾクゾクする。


 今までにないくらい心臓が高鳴っているのが分かる。身体の芯が熱くなり、なにかが湧き上がるような感覚。全身の血液が歓喜に沸き上がり、沸騰しそうなくらいに興奮していて、そのくせ頭は妙にスッキリしている。肌を焼くようなピリピリした感覚は、相手が向ける殺気と闘気があまりにも強烈だから。身体中が燃えるように熱く、それでも薄ら寒さを感じるのは……おそらく、俺が怖れているから。

 どうやら俺の中にも、少しだけ、真っ当な感覚が残っていたようだ。


 戦うことを、傷付くことを、死ぬことを怖れる、人間として当たり前の感情。


 だからといって、退くことは有り得ないんだけどな。


 土壇場になって、改めて自覚する。


 俺はこんなにも狂っている。人間として大切な何かが欠けている。武器もないのに、戦えるからという理由だけで、戦おうとしている。戦うということを心底愉しいとそう思っている。もし相手が人間であっても、それは変わらない。誰を傷つけることを厭わない、人間として唾棄すべき、穢れた思想。


 だが、上等だ。


 例えどれだけ不利な状況でも、尋常の勝負ができると言うのなら。


 ――俺はここで、死んでもいい。


 そう思ったのと、俺達が踏み込んだのが、ほぼ同時で。


「――止まりなさい!」


 そして、突然聞こえた凛々しい声に思わず動きを止めてしまったのは、それから塵のように僅かな時間の後だった。





 凛と響く、まるで心に直接訴えかけてくるかのような、とてもきれいな声。思わずその声に意識を取られてしまい……俺がそれを自覚したのは、全身が完全に硬直してから一秒以上過ぎた頃だった。


 マズイ。


 敵前で動きを止めるなんて、殺してくれと宣言しているに等しいじゃないか!


 だが、絶好のチャンスだったというのに、骸骨侍は俺に斬りかかるどころか、姿勢を戻し、踏み込む前の構えの体勢に戻っていた。しかも、その視線は俺ではなく、どこか別の方向に向けられていた。


 ……手加減、されているのか?


 舐めやがって。


 よそ見をしている骸骨侍に不意打ちでもしてやろうかと一瞬考えたが、それはいくらなんでもフェアじゃない。相手の意識が別の方向を向いてしまっているのだから、俺もそれに習わなければならない。


 それが、俺が望む戦いというものなのだ。


 だから仕方なく、水を差されたことに苛立ちを覚えつつも、俺もその声の方を向いた。


 そこにいたのは、女の子。


 年の瀬は俺と同じか少し下くらい。目測で身長は一五〇センチ弱、軽く天然パーマの入った鳶色の髪をサイドアップにまとめている。身に纏うのはミチザネ学園都市でも評判のお嬢様学校の制服だが、気品と言うよりは小動物のような人懐っこさを感じる。顔立ちもそうだが全身のバランスが良く、美少女アイドルとしてテレビに出ても見劣りしそうにない。


 だが、なによりも俺の目に止まったのは、その瞳だった。


 日本人離れした、まるで上質な紫水晶のように濃い深紫。さきほどの声が嘘みたいな幼い顔つきをしているのに、瞳に宿るのは信じられないくらいに強い輝きを灯した光。


 ああ、正直に告白しよう。


 戦いの最中だと言うのに、殺意も敵意も苛立ちも忘れ、俺はその瞳に目を奪われた。


 紫水晶の瞳の中にある神秘的な輝きと、そのさらに奥になる何かに、俺は完全に意識を持っていかれていた。


「私は警視庁公安捜査部公安第零課第一公安捜査所属、芹沢梢です! この場所での戦闘は許可されていません! ただちに武器を引き、両手を上げなさい!」


 そう宣言しながら、右手で手帳を開き中の顔写真付きの証明書をこちらに示している。そこには警察のデカイ紋章と、なんだか小難しいことが書いてあった。


 なにが起こっているのかイマイチ理解できないが、芹沢梢と名乗った子の言うことを信じるなら、この子は警察で、人気が無いとはいえこんな街中で一戦おっぱじめようという俺達を静止しようとしているのだろう。その声色からも、明確な警告の意志が滲んでいる。


 その声に呑まれかけ、その少女と視線が合う。


「――――」


 吸い込まれそうだ、と反射的に思った。


 まるで本物の宝石のような魅了。


 俺を見つめる深い紫色の瞳は、不思議な吸引力を持っていた。


 その瞳に意識まで吸い込まれそうになり……地面を鳴らす硬質な音に、俺の意識は引き戻される。


 その音は、目の前の骸骨侍がアスファルトを刀の先で軽く叩いた音で。その音を聞いた瞬間、身体の内側から再び、闘争心が湧き上がってきた。思わず喉を掻き毟りたくなるほどに俺のことをずっと苛んできた渇きと、煮えたぎるような殺意。ずっとずっと抑圧してきた、相手を滅茶苦茶に破壊したいという願い。例え自分と刺し違えてでも相手を殺そうとする執念。


 ああ、そうだったな。


 俺の心はいつも悲鳴を上げていたんだ。


 いっそ狂ってしまった方が楽になれそうなほどの、乾いた叫び声。


 だから、悪いな。


 ようやく俺は、俺の本懐を果たせる相手に出会えたんだ。


 こんなところで、たかだが警察の制止を受け入れて、たまるかよ。


「……そうだよな? 骸骨侍さんよ!」


 言うが早いか、その少女の制止を振り切って俺は踏み込んだ。


 骸骨侍が持つ刀の間合いの更に内側。いわゆる直接打撃制フルコンタクト空手やなんかで打ち合う距離。不意打ち気味の動作に骸骨侍が刀を振り上げるが、それを振り下ろされる前に、俺はその距離で打撃を放つ。


 ハッキリ言って、この戦いは俺の方が不利だ。相手はどう見ても達人級の実力の持ち主。それに素手で相対するんだ。刀と拳の間合いの長さ以前に根本的な実力差が俺達の間には存在していて、だからこそ俺は、ギリギリの勝負を挑む。


 実力差のある相手に無傷無策で勝とうなんて、有り得ないのだから。


全身の筋肉だけでなく歩法から呼吸法まで人間の運動に関わるありとあらゆる要素を連動させ、人間の身体に眠る潜在能力を極限まで使用することを基本理念とする御薙流の基本の一撃。中国武術では崩拳と呼ばれる中段正拳に、更に独特の捩りを加えた《捩木》。狙うのは古びた甲冑のど真ん中。掛け声と、身体の内側から湧き上がる激情と共に打ちこんだ拳は予想以上の威力で、骸骨侍はたたらを踏み、二歩後退する。


「……はは」


 一度開いた距離をすぐに縮めるだけでなく、そこから更に一歩詰める。


 それだけの動きに、思わず笑い声が生まれる。


 身体の内側から何かが湧き上がる、その感覚が心地良い。


 今しがた打ちこんだ右手が悲鳴を上げる。自分の拳が他ならぬ自分自身の攻撃によってダメージを受けているのが分かる。だが、他にどうしようもない。


 俺は、不完全な人間だから。


 こうでもしないと、戦えない。


 俺自身の血に濡れ壊れかけた右手を引き、その腕に添うようにして左の拳を突き出す。右手は砲身、左手は砲弾を模したアッパーカット。《撃水》。これまでに何千何万と繰り返してきた動作が、これ以上ないというくらいに……むしろこれまでの人生で最高の一撃だと言えるくらいに淀みなく発露され、骸骨侍の顎を撃ち抜く。普通の人間が食らえば脳を揺らされ、平衡感覚が狂う一撃。骸骨には脳みそはないが、手ごたえはあった。


 面具を破壊され、後退する骸骨侍。


 面具の壊れた兜から覗く顔面は、その名前の示す通り、薄汚れた頭蓋骨。


 その落ち窪んだ眼窩が、俺のことを睨みつけた、気がした。


 ――いつの間にか骸骨侍が後退して、刀の間合いになっている――


「っ!」


 咄嗟に間合いから離れようとして後方に飛ぶ。


 だが、僅かに間に合わない。

 ほとんど前振りもなく振り下ろされた刀の切っ先が俺の身体を捉え、左肩に鋭い痛みが走るが、思っていたほどには痛くない。きちんと動く。なにも問題はない。


 そのまま後方にステップを踏み、間合いをあけて互いに睨みあう。


 刀の間合いからは完全に離れた距離。


 俺と骸骨侍、どちらが先に動いたにしても相応の距離を詰めねばならない。その瞬間にはどうしても生じ、攻撃を受ける側が有利になる。つまりこれは、先に動いた方が負ける状況。


 攻めあぐね、膠着する。


 互いに睨みあい、相手の隙を窺う。呼吸や意識の方向を探り、相手の意識の隙間に潜り込むタイミングを察知するために、つぶさに相手を観察する。


 その間にも俺の身体の芯から湧き上がってくるのは、言いようのない感覚。


 全身の血液を一旦身体の中心に集めてから別のものに創り変えているような、今までに味わったことのない不思議な感覚。しかも、それは相手に一撃を加える毎に強くなっていた。膠着状態に陥った今でも収まることはない。そしてその感覚が強まることに身体が戦いに順応し、歓喜の悲鳴を上げているのが分かる。もっと熱を寄こせと喚いている。身体が燃えてしまいそうな、内から無限にエネルギーが湧き上がるような、このまま身を委ねれば蕩けそうになるくらいの、莫大な熱量。


 ――ああ、なんて愉しいんだ――


 その感覚に溺れてしまいそうになる心を、ぐっと堪える。心の奥底からふつふつと湧き上がってくるような、暗くドロドロとした負の感情。相手を破壊したい。戦いたい。毀したい。斃したい。心を塗り尽くす、タールのような漆黒の想い。


 我慢しろ、俺。ようやく巡ってきた、本物の闘争の場なんだ。


 こんな快感に任せて、ぶち壊してくれるな。


 このまま何も考えずに打ちこみたい衝動と、自身の魂と誇りを掛ける真っ当な決闘をしたいという願いが俺の中で交錯し、それを堪え続け、相手の隙を窺う。そうして骸骨侍と睨みあっていた時間は、体感でおよそ一〇秒弱。


 結論から言えば、先に動いたのは骸骨侍の方だった。


 ただ、一体いつ、俺の前に接近したのか。


 それを俺は、察知することができなかった。


「は――」


 気付けば、俺は刀の間合いに入っていた。


 気付けば、骸骨侍は刀を振り上げていた。


 全身を寒気が襲った。全身の筋肉が全力で警鐘を鳴らしていた。


 骸骨侍が全身から発する裂帛の気合い。それは、先程までのそれとは完全に別次元のものだった。


 俺は完全に読み誤っていた。


 相手は最初から本気だったのだと、そう勝手に思い込んでいた。


 実際には、これまでの動きはただの様子見のもので――


「おおおっ!」


 振り下ろされた刀の腹を、咄嗟に左手の裏拳で右から左へ横殴りに薙ぎ払う。拳の硬いところと鉄の塊が激しく打ちつけられ、鈍い音がする。


 もし、今の拳の動きが、ほんの僅かでも遅ければ。


 もし、今の太刀筋が、ほんの僅かでも迅ければ。あるいは、遅ければ。


 ゾワリと、背筋が泡立った。


 その仮定が導き出すもしもの結果に――命懸けの実戦であるということに、心が震えた。俺と骸骨侍の間には圧倒的な実力差があり、僅かでも気を抜けば一瞬で鱠にされてしまうというのに、自然と笑みがこぼれた。


 今にも殺されそうだと言うのに、気付けば俺は笑っていた。


 ああ、なんて愉しいんだ! 堪らない!


 一歩間違えれば死んでいたというのに、身体の内側からは更なる熱が生み出された。その熱がエネルギーとなり、全身の筋肉を更に活性化させる。普段ならできないことができると、根拠のない自信が漲ってくる。


 俺はまだ、戦える。戦える。戦いたい。戦いたい。


 俺と、戦え。


「――らあっ!」


 足に力を込め、骸骨侍を蹴り飛ばす。足がビリビリと震え、振動が足の裏から直に伝わってくる。まるでコンクリートの壁を蹴ったかのように、信じられないほどに重い。それが、嬉しい。その足目がけて、骸骨侍は刀を逆袈裟に斬り上げた。


 それを回避するため、一気に骸骨侍から距離を離す。その飛距離は、間違いなく普段のそれに倍するものだったのだが。


 その動きを、骸骨侍は完全にトレースしていた。


「あ……」


 一気に距離を稼ごうと跳躍したのが拙かった。地に足がついていない状態では運動の方向を制御することはできない。あわよくば着地したところで、そこから方向転換するには更に僅かではあるが絶対的な隙が生まれる。それだけの時間があれば十分、目の前の骸骨侍は、俺のことを両断することができるだろう。


 腕を犠牲にして防ごうとしも、きっと腕ごと断ち切られる。


 どう足掻いても、俺は死ぬ。


 脳裏に瞬間的に浮かんだ、俺が頭から両断される瞬間の、いやにリアルな情景。


 だけど、それでいいと思った。


 俺のような、人間として大切なものの欠落した人間の末路なんて、ある程度想像がついている。まともな最後は望めないだろう。最後にこうして尋常の勝負ができただけでも、幸運なんだ。それにどうせ俺に、居場所なんてないんだから。俺はこの世界にいては、いけない人間なのだから。


 だから俺は、これでいい。


 そう思い、全身の力が抜けた瞬間。


 乾いた音が二発、耳に届く。


 その音が銃声なのだと俺が認識するよりも早く、骸骨侍は俺から離れていた。


「――な」


 驚愕の声はかたちにならなかった。


 反射的に、銃声が聞こえた方へ視線を向ける。


 そこには、一体どこに隠し持っていたのか。二丁の拳銃を構えた、先程の少女がいた。


「警告を無視するとは、いい度胸をしてるの。……あと一度だけ待ってあげるの。止まりなさい。さもないと、私はあなた達を――」


 そう、言い切るが早いか。


 骸骨侍は刀を古びた鞘に収めると、俺達に背を向け走り出した。


「え?」


 これは流石に予想外だったのか、その少女も口をポカンと開け、対応が遅れる。


「ちょ……ま、待つの!」


 慌てて拳銃を構え直すも、時すでに遅く。


 骸骨侍は、忽然とその姿を消していた。


「…………」


「…………」

 後に残された俺達に言葉はなく。


 肩透かし。拍子抜け。そんな言葉が脳裏に浮かぶほどに……幕引きは呆気ないものだった。


 おい、これ、俺はどうすればいいんだ?


「んー……とりあえず、頭を切り替えるの」


 俺とは対照的に、少女はもう頭の切り替えができたようだ。


 どうするつもりなのだろう、と俺は無意識のうちに少女の動きを視線で追いかけていた。


 その視線の先で、少女はトテトテと歩き、俺の正面で足を止める。身長差があるため、自然と少女が俺を見上げるかたちになる。


 それから、なにをするつもりなのだろうか、と少女を見つめる俺に向かって。


「……とりあえず、あなたに話を聞かせてもらうの。抵抗すれば……今度こそ、容赦しないの」


 未だほんのりと熱の残る銃口を俺の顎にごりっと押し付けてから、ニッコリと微笑み。


 その予想外の動きに、俺はただ為されるがままになってしまったのだった。


 ……おいおい、マジかよ。


 有り得んだろ、こんなのよ。





 後になって振り返ってみれば。


 これが芹沢梢という、俺の人生に多大な影響を与えた少女との、酷い出会いだったのだ。



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