-新学期-
夏休みはあっという間に終わってしまった…
思い出といえば楓と2人で行った旅行くらい。
でも、忘れられないくらいいい思い出。
それにね…楓とあの旅行の帰りに決めたことがあるんだ!
「あっ、おはよー。優紀君。」
「おはよう。楓さん。」
って、この会話からわかるかなぁ?
つまり、付き合ってるってことは言えないけど、友達として仲良くなったってことにすることに決めたんだ。
だから、学校での会話も普通にするんだ♪
「優紀君、夏休みの宿題終わってる?」
「もちろん、全部。楓さんは?」
「まだ…だから、数学貸してくんない?」
「しかたないなぁ、いいけど、提出前には返してね!!」
やっぱ、楓と普通に話せるって幸せ。
でも、他のクラスメイトはすっごい驚いてる感じ(笑
しかも、みんなの会話聞こえてるからね!
「おい!副会長が楓ちゃんと仲良く話してるぞ!」
「まじ!?」
「まじだよ!しかも、あの副会長が笑ってる!?」
「楓ちゃんマジックか??」
っておい。あたしだってそりゃ笑うよ。
しかも、『楓マジック』ってなんだよ!って心の中で突っ込みいれてみたり…
楓も、横で笑いこらえてるし!!もぅ~
そのとき…
「あっれ~、意外な組み合わせだね!?」
「あっ!おはよう、智」
「おはよー智君」
「いつの間に仲良くなっちゃったの?俺さみしいなぁ…」
そういえば、智、楓のこと好きだったんだよね…
「実はね、夏休みにバイトしてたら優紀君がたまたまお店に来て、それから仲良くなったんだ!」
ナイス!楓。
「そうそう。だから!」
「ふぅ~ん。だったら、優紀、俺も誘ってくれたらよかったのに!」
「ごめん。ごめん。」
「まだ、バイトしてんの?してんなら俺行こうかな?」
「もうやめちゃったんだ。夏休み限定でさ!」
「そっかぁ。残念…」
智、本当に残念そうだし…
そういや、楓、夏休みの間、智から何度か誘われたって言ってたもんな。
智には本当の事言った方がいいんじゃないかな?って最近思う。
あとで、楓と相談しよ!!
なんて、話してたら先生が入ってきた…
「おまえら、元気だったか?先生に会えなくて寂しかったろ!」
「ないない!」(全員)
「おまえら~先生泣いちゃうぞ!!」
相変わらずのクラスだな。なんて、思う。
最近なんだか居心地がいい気がしてきたし…
楓がいるのもそうだけど、クラスのみんなと打ち解けてきた気がする…
でも、女ってことは言えないからあんまり仲良くなっちゃいけないんだよね…
「今日は、また、転入生を紹介するぞー!入ってこい!」
この時期に転入生なんて珍しい。
しかも、1年に2度も。それに、どうしてこのクラスばっか…
「…えっ!?」
あたしは思わず声を出してしまった…
楓が驚いてこっちを振り返った。って楓だけじゃないクラス全員が!
「なんだ、優紀!知り合いか?」
「あっ、いえ…その…」
まずい…
「まぁ、まずは自己紹介してもらうか!」
その、転入生はあたしの方を見て…
「はい、楠木蓮(くすのきれん)です!よろしくお願いします。実は、優紀とは小さいころから幼馴染なんです。親の転勤でたまたまこちらに来ることになったので、驚かそうと思って優紀には内緒にしてました!」
「なんだ、そういうことか先生もビックリだな!!ハハハ!」
蓮…聞いてないよ…
しかも、親の転勤なんて嘘でしょ!
親、地元で会社経営してんじゃん…
何考えてるの!?
あたしは、頭の中で必死にいろんなことを考えていたらしく百面相をしてたみたい…
「優紀君?顔すごいことになってるよ!」
あたしは楓の声で我に戻った。
「あっ!ありがとう楓…さん」
危ない!思わず呼び捨てにするとこだった…
「じゃぁ、副会長!楠木の知り合いならまたお前に面倒係頼むな!」
「あっ!はい…」
とりあえず、蓮に話を聞かなきゃ!!
授業中、楓からメールが届いた。
『あいつについて聞きたいから昼に屋上で待ってる。』
あたしも、すぐに楓と話したかったけどまずは蓮と話をしなきゃと思って…
『昼は蓮と話してくる。今日、帰ったらあたしと楓の家の間の公園で待ち合わせしよ!』
『わかった。あいつには気をつけろよ…』
『うん。蓮はただの幼馴染だし大丈夫だよ!』
この時のあたしはそう思っていた…
~楓サイド~
授業中のメールのやり取り…
優紀、わかってんのかな?
あいつ、蓮は絶対優紀を追いかけてきたに違いない!
あいつからは俺と同類の臭いがする。
せっかく、優紀と上手くいき始めたのに邪魔かよ…
昼。うまく、話し合いが出来ればいいけど…