-学祭②-
初めは緊張してたあたしだけど回ってるうちに気にならなくなってきた…
楓とこうして学校にいられるなんて思っても見なかったし。
きっと普通に出会ってたらこんな感じだったんだろうな…
「すいません!!」
後ろからいきなり声をかけられた!
振り向くとそこには…生徒会の1年生の子だ!!
「ヤバい!」あたしはとっさに下を向いた…
それを察知した楓が
「え~と?なんですか?」
「いきなりすいません。実は午後から行われるミス&ミスターコンテストの一般参加者を探してたんですが…よかったらお2人に出ていただけないかと思いまして声をおかけしました。」
「本当ですか!?」
「えっ!?」楓なんか嬉しそうなんだけど…
ま、まさか!?
「俺達でよかったら出ます!どこに行けばいいですか?」
「ありがとうございます!!じゃぁ2時に体育館に来てください。生徒会に声をかけていただければ後は大丈夫ですから!それでは、失礼します。」
「あっ!ま、待って…」
あたしが言い終わるより先に楓に口をふさがれてしまった。
「んぅぅ~!!」
役員が見えなくなるとやっと楓は離してくれた。
「ふはぁ。楓!!なんで引き受けるのよ!!」
ちょっと怒り気味に聞いた!
「だって…学祭といえばミスコンじゃん…それに俺の優紀をみんなに見せたかったんだもん!」
「…っ///」
また、楓は…
今日は楓に振り回されてる気がする…
午後2時。
あたしたちは言われた通り体育館に来た。
「すいません。役員の人にミスコンの件で誘われたんですけど…」
「あぁ、聞いていますよ!こちらへどーぞ!」
準備があるとかであたしと楓は別々の場所に案内された。
あたしの他に一般参加の人は5人くらい…やっぱりみんなキレイだ。
あとは各クラスの代表。あたしのクラスの子もいる。本当は楓だったんだけど…
この高校のミス&ミスターコンは『ファッションショー』形式でプロにスタイリスト&メイクをしてもらってドレスアップをしてステージを1周する。
最初は男子からで…次に女子。で投票で1位を決めて記念撮影で終わりなんだけど…
音楽とともに学祭恒例の『ミス&ミスターコンテスト』が始まった!
出場者の登場で会場は大盛り上がりだ!!
次々に出場者が登場し会場もヒートアップしている!!
……
「次は…我が校の生徒会長も務めます、智くんです!!」
智の名前が出ただけで会場から女子の声援が半端ない!
さすが学校1のイケメン(笑
……
「そして最後は、一般参加の『翔』くんです!」
あっ!楓だ。
さすがに本名はまずいからって偽名にしたんだけどやっぱうけるなぁ。
ちなみにあたしは「優美」理由はないんだけど、思いついたのがこれしかなかった…
紹介とともに楓がステージに出た瞬間、会場がざわめき始めた…
気になったあたしはステージの袖からのぞいた
そこには…
芸能人並みの美形男子が…
「うそっ…。」
あたしは楓のその姿から目が離せなかった…
元々かっこいいのは知ってたけど…プロの手にかかるとここまで…
会場もその美形ぶりに驚いてるようだ。
そして…音楽の曲調が変わった瞬間、ざわめきが歓声に変わった!!
男子の中で1番の大盛り上がりだ!!
しかも、楓めっちゃ楽しそうだし。若干慣れてる感がするのは気のせい…?
見とれている間に楓の出番は終わってしまった。
次は女子の番だ。
あたしは最後から2番目。着慣れないドレスだけど楓気に入ってくれるかな?
女子もどんどん進んでいく。
こんなこと慣れていないあたしは緊張しまくりだった…
いよいよあたしの番…
……
「では、次は一般参加の『優美』さんです。なんと、先ほど出演していただいた『翔』くんの彼女さんです!」
えっ!?ちょっと、MC!それはないんじゃない!?
そんなこと言ったら会場からブーイングだよ…
出にくい空気を作ったMCを恨みながらあたしはステージに出た…
やっぱり…MCのせいで微妙な空気が流れていた。特に女子からの視線が痛い…
「やっぱり、やめればよかった…」
ぼそっと言った瞬間。あたしにスポットライトが当たりいっせいにみんなあたしを見た…
「うそっ!?」
「やばくない!?」
……
会場から話声が聞こえる…
「うぅ。やっぱり…いやだ帰りたい…」
そう思った次の瞬間。
音楽とともに会場が湧きあがった!!
「えっ!?」
あたしには何が起こったか分らなかった。
わからないままとりあえずステージを1周して戻ると、楓と目が合った!
口パクで何か言ってる…
「キ…レ…イ…だ…よ!?」
あたしは恥ずかしくなって急いで指定された場所へ移動した。
でも、あの会場の反応が気になる…
全員が終わると1度出演者はステージ裏に戻った。この間に投票が行われる…
あたしは急いで楓のところに向かった!!
楓を見つけるなりあたしは言った…
「楓!あたしやっぱり出なきゃよかった…」
だって、あんなかっこいい楓の彼女だって言われて…
きっと批判されてるに決まってる…
「…そうだな。出さなきゃよかった…。」
「やっぱり…」
楓もそう思ったんだ…ちょっと悲しくなった…
「だって、優紀かわいすぎ///会場だって優紀出た時、驚いてたじゃん!!」
「えっ!?さっきのは…」
あたしは訳がわからなかった…だって、だって…
「あれは、優紀がかわいすぎたからだよ。だって、俺が出た時以上に盛り上がってたじゃん!ねっ!」
楓は、そう言った。
楓がそう言ってくれるならって思ったけど…
それでもあたしにはまだ信じられなかった。
「出演者のみなさん集まってください!」
スタッフから声がかかった。
「結果がでました。3位から順に呼びますので呼ばれたら男女の同じ順位の方とペアでステージに上がってください!!」
あたしは呼ばれるはずないって思ってたから気楽に待っていた。
「それでは、1位の発表です!!」
ドラムロールの終わりと同時に名前が読み上げられた
「今年のミスターは…一般参加の「翔」くんです!」
会場が盛り上がった!!
やっぱりね。さすが楓だ。
「おめでとう!」って言おうとしたあたしの唇に楓は人差し指を当てた。
するとすぐに女子の発表が始まった…
「続いて、ミスの発表です。」
また、ドラムロールが鳴った。
そして…
「今年のミスは、なんと…同じく一般参加の「優美」さんに決定いたしました!!」
「えっ!?」
あたしは思わず声に出してしまった。
「だから、言ったでしょ。優紀がかわいすぎたんだって」
楓は当然!とばかりにあたしの手を取りあたしをリードしてステージに連れて行ってくれた。
その後のことはよく覚えていない…
少しインタビューがあったけど何言ったかもわからないし…
たしか…楓がいろいろ答えてくれてた気がする…
それから楓とのツーショットを撮って、最後に出演者全員で記念撮影をしたはず…
なんか夢みたいだったな…
そんなこんなで『学祭デート』は幕を閉じた…
家に帰ってから「ミスコン」をたまたま見学していたお兄ちゃんにすごく怒られたけど…
それでも楽しかったって思える。
楓に感謝しなきゃね!!
~楓サイド~
「~♪~♪」
携帯が鳴った。優紀からのメールだ!
『楓のバーカ!!…でも、ありがとう。楽しかった。』
「バカってひどっ!(笑」
俺は、ミスコンでの優紀を思い出した。
「まぢ、かわいかったな…」
思い切って出場してよかった。
学校の奴らに俺は優紀と付き合ってるんだって言えた気がした。
あくまで俺の勝手な思い込みだけど…
それに優紀は自分が美人だって思ってないみたいだから、それに気づいてくれたらいいんだけど。
あの、名前呼ばれた時の顔なんか、傑作だったな!かなり驚いてたもんなぁ
それも優紀のいいところなんだけどさ。
そういえば!!優勝の商品で温泉旅行もらったんだった。
今度は、優紀と旅行の計画立てよ♪