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-卒業-

月日は流れ、あたしたちは3年生になっていた…



あたしと楓は同じ大学に行くことにした。



あたしは、医学部。楓は経済学部。



だから、3年のほとんどは勉強に費やしていた。



楓は、ちょっと勉強に問題ありだったから…お兄ちゃんにも手伝ってもらった。





合格発表当日。




「あぁー、緊張するーー」



「俺も…あんなに勉強したのに手ごたえなかったもんなぁ…」



「あたしもぉ…」




2人ともやれるだけやったんだけどやっぱりこういう時ってかなり緊張する…



合格発表が貼られている掲示板の前に近づくと歓喜と落胆の声どっちも聞こえてくる…




「着いちゃったね…」



「あぁ…」



「せーので見ようね…」



「あぁ」



「いくよ…「「せーの」」




バッ!!




あたしは勢いよく顔をあげた…



あたしの受験番号は『3428』




「さんぜん…よんひゃく……よん…」



「あっー!!!!!!!!!!!!」



「な、なに!?」




横からの楓の大声であたしは自分の番号を見失ってしまった…




「ゆ、ゆーきー!!俺、あったよ!!!見て、見て、見て!!ほらっ!」




そういって楓が指さした方には確かに…




『1526』




楓の受験番号があった。




「楓―!やったね!!おめでとうー!!」



「ありがとー!!優紀はどーだったっ!?」



「あっ、まだ見つけてない…」




楓が合格してたことで危なく忘れるところだった…




「そっか、えっと…『3428』だな!」



「う、うん…」




再び自分の番号を探す。




「「さんぜん…よんひゃく…よんひゃく…にじゅう…」」




3418


3423


3424


3428

  ・

  ・




!!!!!!




「「あったー!!!!」」



「うっそ、信じられない!!」



「すげーじゃん、優紀―!!」




ギュー!!



楓に思いっきり抱きしめられた!!




「か、楓!苦しいぃ…」



「あっ、わりぃ。興奮しすぎた(笑)」



「ううん。あたしも嬉しいし…///」




まさか、あたしも受かってると思わなかった。



楓と一緒に頑張れたおかげかなww




「2人とも合格ってことはあとはアレだけだな…」



「うん。アレだけだね!」





卒業式当日。



式が終わり、今は、先生からの最後の言葉。




「……これで、私の最後のHRになります。みなさん卒業おめでとうございます!これで、解散となりますが最後に何か言いたいことがある人はいますか?」



「「はい!!」」




手を挙げたのはあたしと楓。




「なんだ?2人で…じゃぁどっちからでもいいがどっちからにする?」




先に答えたのは楓だった。




「いえ。それぞれからじゃなくて2人からです。」




楓がこっちを向いて目で合図をしてきた…


あたしは頷いた。




「そうなのか?じゃぁ、2人とも前に…」



「「はい」」



「なんだ、なんだ?まさか、結婚宣言!?」




周りからからかう声も聞こえてきたが、あたしたちの真剣な表情から違うと察したようだった…



そして、楓と共に教壇に向かった。



呼吸を整え…




「まずは、みなさん卒業おめでとうございます。今から、みなさんに大事なお話があります。」



「副会長?なに?」




すると楓が答えた。




「僕たちは…性別を偽ってこの学校に通っていました…僕は本当は『男』です」



「私は…『女』なんです。今まで、黙っていてごめんなさい…」



「………」




クラスのみんなは言葉を失っていた。




「あー。先生から一言いいか。こいつらにも理由があるんだ。特に桜川には…」




先生がフォローをしてくれた。



でも…




「けどょ…騙してたことには変わりねーじゃん。理由、教えてくれないのか…?」



「そうだ!そうだ!」




教室は一瞬にして騒然となった。




「は、話します!!」




あたしはとっさに答えた…




「………」



「私は…中学の頃、クラスでいじめられていました…理由は本当些細なことだったんです…いじめはどんどんエスカレートしていき…っ…わたしは…」




目の前が一瞬暗くなってあたしの体はグラついた…



教壇に手をつきなんとか倒れずには済んだけど…




「優紀、大丈夫か!?」




昔のことを思い出すとどうしても具合が悪くなるらしく…



楓が心配そうな顔であたしの顔を見つめている…




「大丈夫…。…そして、わたしは…命を落としかけました…そして、人、特に女子に対して恐怖症になってしまったわたしは高校に行くのを悩みました…その時、兄からこの学園に来ることを勧められました。この学園にいる桜川先生は私の兄です。兄がその時、男装して入学することを提案してくれました。そうすれば、女の子と関わることが少なくなると…これがわたしが男装していた理由です…」



「……」




クラスの誰も何も言わなかった…




「上木、お前は?」




そう言ったのは…先生だった。



楓は、ウイッグを外した…



みんなは驚いた顔をしている…




「俺は、初めは単なる好奇心だったんです。前の学校がつまらなくて…それで女装して転校したら面白いだろうって…でも、優紀が男装していることを知り、そして理由も知りました。そしたら、自分がこんな事してるのが恥ずかしくなった。だから、早くにみんなに話そうとも思ったけど…俺の事を話して、もし優紀のことまでバレたらって考えたら言えなくなって今日までみんなを騙すことになってしまいました。本当にすいませんでした…」




クラスのみんなは複雑そうな顔をしていた…




「俺から一言いい?」




智だ…




「俺は、途中で優紀が女だってことを知った。初めは裏切られたってか…騙されてた事に正直腹が立ったこともあった…けど、みんな優紀の気持ちを考えてやってくれ!いくら男装してたからって言っても、結局はこの学校にも女子はいる…優紀は男装したけど、でも逃げないで1人で戦ってたんだ…そして、それを支えたのは楓だ。楓が来てからの優紀はみんなが知っての通り変わってったろ?」



「まぁ、確かに…入学当初よりは話しやすくなったし…明るくなったよな?」



「俺からもいいかな?」




今度は、蓮だ…




「俺は優紀とずっと幼馴染をやってる…中学の時のいじめには俺にも原因はあるから、優紀を追ってこの学校に来た。でも、すでに、優紀は昔を取り戻し始めてた…楓のおかげだ。確かに、騙されたって感じはするだろうけど2人を責めないでやってくれ…」



「智、蓮…ありがとう…」




心の底から嬉しかった…



あたしはいい友達に巡り合えた…




「ねぇ…どうして話そうと思ったの!?もう卒業だし…別に言わなくてもよかったんじゃない!?」




確かにそうだ…



でも…




「男装してた以上ずっと隠し通すつもりだったよ…卒業したらみんなとも関わらないつもりだったから極力、人と付き合うのを避けてきた…けど、あたしは…このクラスが…みんなのことが好きになったから…嘘ついたままなんて嫌だった…」



「俺もだよ!このクラスの奴らはすっげぇいい奴ばっかだ…だから、2人で相談して決めたんだ…」



「………」




口を開いたのは智だった…




「みんな、今の2人の気持ちは嘘じゃないってわかるよな!?俺らずっとこのクラスで見てきたじゃん…性別は偽ってたかもだけど、その他は何も嘘ついてないんだよ!だから、許してやってほしい…」



「智…」



「俺…許すよ…2人とも大好きだし…」



「私も…」



「俺も…」




えっ!?



1人の子に続きクラスのみんなが…




「み…んな…あり…がとう…」




あたしはとうとう泣き出してしまった。



悲しいんじゃない…嬉しいの…



許してもらえるなんて思ってなかったから…




「副会長―泣かないで!!」



「そうだよー!!」




みんなから優しい声がかけられる…




「あたし…このクラスで…よかった…みんな…大好き!!」



「優紀、よかったな…」




頭をなでながらそう言った楓も…



泣いてるじゃん…




「楓、泣いてる…」



「うっそ!?…あっ、ほんとだ…」



「楓ちゃんまで泣くなよー!!てか、ちゃん付けじゃダメかー!」




そう言うとクラスに笑いが起きた。



あたしと、楓の気持ちはみんなに伝わったみたい…



これで心残りなく卒業が出来る…



みんな…本当に…ありがとう…




「わたしたちの話は以上です…」




こうして、長い高校3年間は終わった…



楓と出会い。



大きく変わった人生…



あたしはこれからも楓と共に同じ道を歩んでいく…そう決めた瞬間だった。



[完]


以上で『クローバー』完結です。

最後、時間が一気に飛んでしまいましたが私の力不足です。

今後もちょっとずつ『クローバー』でのショートストーリーなど書けたらいいなと思っています。


最後まで読んでくださったみなさま本当にありがとうございました。

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