-秘密-
いつもより早く学校に着いた。
きっと、いつの間にか早足になってたみたいだ…
「…楓、来てるかな?」
早く会いたい…
でも、ばれないようにしなきゃ…
葛藤と闘いながら、教室に向かった。
教室に入ると楓はまだ来てない様子だった。
「だよね…。」
あたしは席に座りいつもの真面目な副会長として本を読み始めた。
しばらく経つと…隣に気配を感じた。
楓だ!!
あたしが顔をあげるとそこには…やっぱり楓がいた…
「優紀君おはよー!」
女の子の姿をした楓。でも、先週までとは違う…あたしの彼氏なんだ…///
「お、おはよう!上木さん…」
普通なあいさつをしたつもりだったのに…
楓が席に座ると小声で「優紀、女の子の顔してる!!ばれちゃうよ」って…恥ずかしい…///
でも、やっぱり付き合ってるんだって実感できた。
楓が来るとすぐに人が集まりだした。
おかげであたしと楓の学校での接点は少ない。
だからばれる事はなさそうだけど、ちょっと寂しいな…
智もあいかわらず学校来るなり楓のところだし。
そういえば、楓と付き合うことになって智への気持ちは恋じゃなかったって気付いた…
あえていうなら、女の子の気持ちを忘れないために恋だと思ってたのかも。
あたしはお兄ちゃんとの約束の為にも、学校での楓との会話は事務的な感じだけにした。
授業中、たまに楓からくだらないメールが届いたけど(笑
それに…家に帰れば電話もできるし、休みの日はよく楓と出かけてたから学校でのことは我慢できた。
楓があんなことを考えてるとは全然思いもしなかった…
~楓サイド~
付き合うことになった。俺ら。
でもあの日の約束通り、学校での関係は『上木さんと副会長』のままだった。
俺がたまにメールを送ると優紀は楽しそうに笑っていた。
まっ、ばれないようにだからすぐ戻っちゃうんだけど…
それでも嬉しかった。優紀の笑顔が見れるなら。
こんな日常がしばらく続いた。
ふと思った。俺はやっぱりわがままらしい…
学校ではただのクラスメート。そうするって決めたのに…
…学校でも優紀の近くにいたい…と思うようになっていた…
俺の最近の悩みだ!!
ある日、生徒会長の智から面白い話を聞いた♪
来月『文化祭』があるらしい。
さらに②生徒会も学祭を楽しめるようにって生徒会顧問の桜川先生の提案で役員も必ず1日はフリーの日を設けるように決まったらしい!!
「桜川先生!サンキュー!」俺は心から感謝した!
ちなみに、俺がこの話を聞けたのは智から「空きの日に一緒に回らないか?」って誘われたからなんだけどね。
そんなことより俺の頭には優紀と回ることしかなかった!!