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-蓮-

~♪~♪


携帯の着信が鳴った。


「あれ?この音は?」


指定着信にしている蓮の音だった…


幼馴染ということもあって着信音は分けておいたのだ。


最近、何もしてこなかったからこの時のあたしは蓮のあの言葉を忘れていたのかもしれない…



「もしもし?」


「優紀?今から話したいことあるんだけど外に出てこれない?今、優紀んちの前にいるからさ!」


「えっ?」



部屋の窓から外を見るとこちらに向かって手を振る蓮の姿があった…


さすがに家まで来てくれてるのに会わないのもどうかと思ったので仕方なく行くことにした。



「わかった。じゃぁ、今から出るね…」



出来れば、2人っきりで会うことは避けたかったけど…


さすがに、外だったらいくら2人きりでも何もされないだろうし…


あたしは一応お兄ちゃんへの置手紙を残して外へ出た。



「優紀ごめんな。こんな時間に…どうしても話したいことが合って。近くに公園あったよな?公園で話そう?」


「…うん。」



あたしたちはすぐ近くの公園に向かった。


いつもはうるさいくらいなのに今日の蓮は無口だ…


少し嫌な予感がする。


そして、そういうときの感はイヤってほど当たったりする…



公園に着くと自販機であったかい飲み物を買い。近くのベンチに座った…



「お財布持ってこなかったから、ジュース代…後で返すね。」


「いいよ、いきなり誘ったのは俺だし。遠慮しないで!ねっ?」


「…うん。ありがと…」



やっぱり秋の夜は少し冷える…


買ってもらった飲み物をカイロ代わりにすることにした…



「でさ、話なんだけど…」



蓮が重い口を開いた。


やっぱり、どこかいつもと違う蓮の様子…


今すぐにでも帰りたかった…



「もしかして…優紀の彼氏って楓?」


「!?」



あたしは驚いて持っていた缶を落としてしまった…


聞き間違いだと思いたかった…でもそれはもう手遅れで…


蓮は動け出ないでいるあたしを見つめ、落としてしまった缶を拾って渡してくれた…



「ごめん。驚かすつもりじゃなかったんだけど…やっぱそうなんだ。」


「…ど…う…して…?」


「楓が男だってのは分かったんだけど、彼氏っていうのは優紀に鎌をかけてみた。ごめんな。」



あたしの頭は混乱していた。


蓮にバレたこと。


どうして楓が男だってバレたのか。


そして、楓の事をバラされたら一緒にいれなくなってしまうのではないかと…



「お願い!楓が男だってみんなには内緒にしてっ!!」



あたしは必死だった…


涙が出ているのにも気づかないほどに…



「優紀っ。泣かないで…そんな顔されたら俺…」



それは一瞬だった。


腕を引かれ何が起こったか事態を把握できなかった…


そして、気付くとあたしは蓮の腕の中にいた



「イヤッ!!」



抵抗をするけど蓮はビクともしない…


中学まではまだあたしの方が強かったのに…今の蓮はあたしの知らない1人の男のような気がする…



「優紀っ!!ごめん。泣かすつもりはなかったんだ…でも。少しでいい俺の話を聞いてほしいっ…」



蓮の必死な声にあたしはなぜか抵抗できなくなった…



「…ありがとう。…でも悔しいなぁ。必死になって泣いて俺を止めるほどあいつの事が好きなんだな…」


「…」


「こっちに転校してきて…楓が女だって思ってても優紀と仲良くしてるの見てちょっと妬いた…中学ま

では俺とずっと一緒だったのに。それに、楓と話してる優紀の顔は本当に楽しそうで…俺以外にそんな顔するのが悔しかった…」


「……」


「楓の事はみんなには言わない…でも、本当に少しでいいから、俺のこと見てくれないかな…?」



こんな蓮は見たことがなかった…


そして蓮の本音。


まっすぐな瞳で素直に伝えてくる蓮の言葉にあたしは頷くしかなかった…


頷いたあたしをみると蓮の顔は子供のような嬉しそうな顔をして笑った。


そんな蓮を見て少しドキドキしてしまった…



「あっ!優紀、もう1つだけ…いい?」



少し遠慮がちに聞いてきた蓮は抱きしめていた腕を緩めた。



「なに?」


「…うん。ごめん、我慢できなくなった…」



そういうと、蓮は顔を近づけてた…


いきなりの事で逃げるタイミングを逃してしまったあたし…


キスは唇に…軽く触れた…



「…っ!?///」


「…今のは忘れていいから…」



蓮は耳まで真っ赤にして反対側を向いた。


そんな蓮を見たら怒ろうとしていたのになんだか怒れない気がした…



「じゃぁ、そろそろ帰ろうか。さすがに、慎哉さんも帰って来る頃だろうしね…」


「…うん。」



蓮に家の前まで送ってもらった。



家の玄関を開けようとしたらいきなりドアが開いた…



「うわっ!」


「きゃっ!!」



ドアを開けたのはお兄ちゃんだった…



「お兄ちゃんどうしたの!?」


「あっ、イヤ。置手紙見て…それでちょっと…大丈夫だった?」


「えっ!?大丈夫って何が…?」


「えっと…」


「!?もしかして…蓮に楓の事言った!?」



そういうとお兄ちゃんの顔はみるみる青ざめていった…



「ごめん!!本当にごめん…」



本当に、悪気が合ったようには見えない。


てか、お兄ちゃんがそんなようなことをする人じゃないってあたしが1番分かってる。


きっと、勘違いしてついしゃべったか。蓮に上手くのせられたんだろう。



「いいよ、お兄ちゃん。あたしもちゃんと話してなかったのがいけなかったし。蓮と付き合う気がないからって逃げてたのはあたしだし…」


「ゆうきぃ…こんなお兄ちゃんを許してくれてありがとう…」


「ほらほら。男なんだから泣かないで!!」


「…泣いてなんかないぞ!!」


「はいはい。ご飯まだでしょ!?温めてあげるから着替えてきて!」


「はーい!」



子供のような返事をしてお兄ちゃんは部屋に向かった…



あたしはキッチンに向かいながら今日の事を思い出してしまった…



「はぁ。楓には今日のこと黙っておこう…」



楓に素直に言ったら何をしでかすか分んないし…


ちょっと心苦しい気もするけど…


それに迂闊とはいえ蓮にドキドキしてしまったから正直に言えないって言うのもある。


楓の事が好きなはずなのに…ちょっと蓮も気になったりする…



「はぁ。あたしどうしちゃったんだろ…」


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