第二章壱記「懇願」
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知らなかった……(本当)
あと、今回はすごく短いです。
すみません。
男が目を覚ますとそこは牢獄だった。
手足を鎖で縛られ、銀の首輪が施錠されていた。
黴臭い。
泥糞の臭いと人肉の腐敗臭が混ざった悪臭が鼻腔を衝く。
「臭い」
唯一の記憶の中にある、あの黒岩の監獄を思い出す。
だが、あそこもこの悪臭漂う牢獄ほど臭くはなかった筈だ。
「暑い」
蒸し暑い。
感じたことの無い暑苦しさを体感し再び苦言を洩らす。
「痛い」
疼痛。
褐色の肌に覚えの無い傷跡が無数に残っている。
無言が続き、静寂が世界を支配する。
男は、まだ朧げの意識を徐々に覚醒させていく。
そして、小さく、微かに、叫喚する。
「フェルニゲシュ」
男の瞳には涙が溜まり、大粒の雫となって零れ落ちる。
「フェルニゲシュ」
呼ぶように。
「フェルニゲシュ」
居場所を確かめるように。
檻の隣で牧草を食んでいた馬が、突然嘶いた。
黄昏る空の色が、幽暗な牢獄に侵食する。
橙黄色の光が暗黒を払拭し、彩りの無かった獄中に鮮やかな色が宿る。
射光の源は大きく開かれた扉の向こう。
そこに一つの影があった。
――――ふぅ
大きく深呼吸をしたのだろう。
吐息が聞こえるほどに吸って吐いてを繰り返した。
「来るな!」
男は逆光の中でその影を認識していた。
そして、明確な拒絶を示す。
「来るな!」
忌避を示しても、どんなに大きく喚いても影の主は近づくことを止めない。
少しずつ、少しずつ、僅かにだが、歩み寄る。
それは、怖々ともとれるし堂々ともとれる。
表情は逆光で読めない。
「そう、悲観しないで下さい」
顔が見える見えないの瀬戸際で、影は立ち止まり会話をする。
「貴方にとって得がたい存在は未だ生きています」
声は震え、どこか哀しい響きを持つ。
「ですが、今のままではそう遠くない内に、本当に(・・・)無くなってしまいます」
だが、覚悟を持った、そんな声音。
「そこで、貴方に一つお願いをしたいのです」
これは、男に対する唯一の懇願。
「我々の手助けをしてくれませんか?」
たとえ罵られようとも、たとえ憎まれようとも、贖いと償いの為に。
黄昏の色光に照らされた牢獄は、夕闇の空を象徴しているかのようだった。
各々のサブタイトルが思いつかない……
どうしよう……
次回は反動で長くなるかも(ここ強調)しれません。
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