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銀の首輪の小英雄  作者:
束縛編
14/17

第二章壱記「懇願」

小説家になろう 勝手にランキングに参加致しました!!

押してね!!(強制)

こんなランキングがあるとは……

知らなかった……(本当)

あと、今回はすごく短いです。

すみません。

 




 男が目を覚ますとそこは牢獄だった。

 手足を鎖で縛られ、銀の首輪が施錠されていた。

 黴臭い。

 泥糞の臭いと人肉の腐敗臭が混ざった悪臭が鼻腔を衝く。

 


「臭い」



 唯一の記憶の中にある、あの黒岩の監獄を思い出す。

 だが、あそこもこの悪臭漂う牢獄ほど臭くはなかった筈だ。

 


「暑い」



 蒸し暑い。

 感じたことの無い暑苦しさを体感し再び苦言を洩らす。



「痛い」


 疼痛。

 褐色の肌に覚えの無い傷跡が無数に残っている。

 


 無言が続き、静寂が世界を支配する。

 男は、まだ朧げの意識を徐々に覚醒させていく。



 そして、小さく、微かに、叫喚する。



「フェルニゲシュ」



 男の瞳には涙が溜まり、大粒の雫となって零れ落ちる。

 


「フェルニゲシュ」



 呼ぶように。



「フェルニゲシュ」



 居場所を確かめるように。



 檻の隣で牧草を食んでいた馬が、突然嘶いた。

 黄昏る空の色が、幽暗な牢獄に侵食する。

 橙黄色の光が暗黒を払拭し、彩りの無かった獄中に鮮やかな色が宿る。



 射光の源は大きく開かれた扉の向こう。

 そこに一つの影があった。

 


 ――――ふぅ



 大きく深呼吸をしたのだろう。

 吐息が聞こえるほどに吸って吐いてを繰り返した。



「来るな!」



 男は逆光の中でその影を認識していた。

 そして、明確な拒絶を示す。



「来るな!」



 忌避を示しても、どんなに大きく喚いても影の主は近づくことを止めない。

 少しずつ、少しずつ、僅かにだが、歩み寄る。

 それは、怖々ともとれるし堂々ともとれる。

 表情は逆光で読めない。

 


「そう、悲観しないで下さい」



 顔が見える見えないの瀬戸際で、影は立ち止まり会話をする。



「貴方にとって得がたい存在は未だ生きています」

 


 声は震え、どこか哀しい響きを持つ。



「ですが、今のままではそう遠くない内に、本当に(・・・)無くなってしまいます」



 だが、覚悟を持った、そんな声音。



「そこで、貴方に一つお願いをしたいのです」



 これは、男に対する唯一の懇願。



「我々の手助けをしてくれませんか?」



 たとえ罵られようとも、たとえ憎まれようとも、贖いと償いの為に。
















 黄昏の色光に照らされた牢獄は、夕闇の空を象徴しているかのようだった。











各々のサブタイトルが思いつかない……

どうしよう……

次回は反動で長くなるかも(ここ強調)しれません。



※お気に入り登録や感想を頂けると嬉しさのあまりコサックダンスを踊りだします。

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