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せとうち旅  作者: 桐紋橘
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一日の海

瀬戸内旅を始めた流菜。初めての一人旅で出会ったのは、もしかしたら前世の幼馴染かもしれないカイ!?でも、すごいチャラそうな見た目で全然信用できない。けど、瀬戸内のことは知ってるみたいなので案内してもらうことに。

『姫路駅行きが到着します。出口は右側です』

「お、やっとついたか。ここで何すんだ?」

「姫路城に行って観光、その後はホテルにチェックインです」

「姫路城か!いいな!」

  改札を通り、バス停で姫路城行きのバスを待つ。

「なぁ、あんたのことなんて呼べばいい?」

「................。なんでもいいですよ」

「じゃあルーナな。俺はカイって呼んでくれ。あ、ちなみに漢字は海でカイ」

 今の名前は流菜だから前世の名前はちょっとややこしいけど、いいか。すると、バスが来たので乗る。中は、たくさんの人がおり席は空いていなかった。ほとんどの人たちは姫路城に行くのだろうか。私たちは出口近くの吊り革を掴んで到着するのを待つ。

「次は姫路城大手門前、姫路城大手門前。お降りのかたはブザーでお知らせください」

 目的地に着こうとしたのでボタンを押そうとすると、すでに押されていた。やっぱり、姫路城に行く人がいるみたいだ。

 バスが到着扉が開く。私たちは定期をかざし、後の人の迷惑にならないように素早く降りる。

「おー。姫路城に来んのは久しぶりだな。ルーナは来たことねぇの?」

「あまり他県には行ったことがありませんから。でも、姫路城は絶対に来たいと思ってました」

「え?何?歴史好き?」

「はい。姫路城は最初は赤松則村が姫山に最初の砦を築き、次に黒田官兵衛が豊臣秀吉に城を献上しました。それから江戸時代では——

「ストップストップ!俺は、歴史系は苦手なんだよ!ルーナが歴史オタクってのはわかったから!」

 私は小学生の頃から歴史が好きで、本を読んだりネットで調べたりして、完全に歴史オタクになった。前世でも歴史好きだったな。カイは運動は得意だったけど座学は苦手だったな。

「なぁ、姫路城って天主から海が見えたはずだぞ。海見るのが夢なんだろ?ここでも見てみようぜ!」

「ちょっ.......」

 姫路城から見える海か........。これも写真撮ろう。途中で大手門茶屋があったためお土産と飲み物を買って、ゆっくり姫路城天主に向かう。海さんは少し暴走気味なので止めながらだが。

「あっ!おい!海だぞ!」

 なんとか天主につき海のある方向を見ると、夕日に照らされている昼に見た海とは違う海がある。私が見惚れていると、海さんの方からシャッター音がした。見てみると、海さんが私に向かってスマホを向けている。

「なっ......!何勝手に撮ってるんですか!」

「いいじゃねぇか。それに綺麗だったぞ?そうだ。送ってやるからライン繋ごうぜ」

「あとでです」

 この人は......。と思っているが、私も写真を撮ろう。もちろん私は写さないで。ついでに海さんも写そうか。そう思い、海さんの方に海が背景になるように写真を撮る。

「あっ!お前も写真撮ってんじゃねぇか!」

「先に勝手に撮ったのは海さんです」

「ぐっ.......。も、もう帰ろうぜ!この後ホテルだろ!?」

「はい。でも、海さんは泊まるとこないですよね?」

「お前と同じところに泊まるよ」

 さらっとこんなことを言えるなんて、さすが金持ちと思う。泊まるホテルの近くにはバスがないので、タクシーを捕まえてホテルまで向かう。今日私が泊まるホテルは部屋が五室ぐらいしかない小さいホテル。けど、口コミを見る限り、評判もいい。

「今からここに泊まってもいいですか?」

「はい。今空いてる部屋は二○三号室ですね。扉の開閉はカードキーでできます。エレベーターもカードキーをかざさないと動きません」

 どうやら、無事にチェックインできたみたいだ。二○三号室だったら、私の隣の部屋か。私もチェックインできたので、二人で部屋に向かう。

「あ、先にライン繋いとこうぜ。何かあった時のために」

「わかりました」

 ラインを交換し、部屋に入る。夕飯はすでに買ってあるので、私は部屋にあるシャワーでも浴びておこう。ここはお風呂などはなく、部屋にあるシャワーを浴びるしかない。海さんの方は夕飯があるだろうか。

 すると、スマホが振動したので見てみると、海さんからラインが来ていた。

『なぁ、ここの近くに絶景スポットがあるらしいから見にいこうぜ!』

 時計を見ると、七時ちょっと過ぎで時間もちょうどいいので『わかりました』と送っておく。すると、すぐにチャイムが鳴った。海さんか。一応のためにドアスコープを覗くと海さんだった。電気を消してカードキーを取る。

「ほら、早速いこうぜ!」

「はい。ところで、海さんは夕飯大丈夫ですか?」

「おう。お前がホテルに泊まるって言ってから、予想して買っておいたぜ」

 ホテルを出て、海がある方向に向かう。この先って確か公園があったっけ。

「絶景スポットってどこですか?」

「ん〜?この先にある公園。なんか、このホテルの口コミ見てたら、『近くにある公園絶景!』とか書いてあったから、行ってみようと思ってな。夜中の海も見てみたいだろ?」

「夜中の海はちょっと怖そうです」

「まぁ、場所によっては真っ暗だからな」

 夜中の海。写真とかではすごい綺麗そうだけど、実際に見たら真っ暗そう。ホラーは苦手.........。

「そうだ。二人でツーショット撮ろうぜ」

「いいですよ。でも撮るの任せていいですか?」

「おう」

 坂を下っていくと、公園が見えてきた。見た感じ人はいなさそうだ。酔っ払いとかがいたら絡まれそうだったので良かったが。

「どうだ?夜の海は」

「思ったよりも、暗くて綺麗です.......」

 写真で見るよりも暗くて、そして星や月の光でとても綺麗。海は、昼でも夕方でも夜でも綺麗なんだなと今日1日過ごして思う。

「それは良かった。ほら、写真撮るぞ。こっち来い」

「あ、はい。ポーズってどうしたらいいんですか?」

「なんでもいいよ」

 わかんないので、とりあえず笑顔でする。海さんが「三、二、一...」とカウントダウンをとったら、カシャっと音がする。

「後で送っとくわ。で、今日一日瀬戸内で過ごしてどうだ?」

「海って、昼でも夕方でも夜でも綺麗なんですね......。”前世”でも見たら良かったな。あっ......」

「ん?なんて?」

 良かった。小さく言ったから聞こえてなかったみたいだ。この人が幼馴染のカイだったとしても、今この人に言うのはやめておこう。

「明日、朝の海も見てみたらどうだ?」

「それもいいですね。でも明日はもう少し兵庫県でゆっくりするので、今度の機会にします」

「そうか。じゃ、写真と兵庫のおすすめスポットも送っとくよ」

「ありがとうございます」

「帰るか」

 なんだかんだで最初は信頼してなかったけど、色々とお世話になってるな。この人がカイだったら他の前世の仲間もいるのかな。いたら嬉しいけど、今は瀬戸内旅を楽しまないと。

途中で流菜が歴史オタクと言うことがわかりましたが、これは作者の私ですね。と言っても、歴史オタクと言えるほど詳しくはないんですが。図書室にある歴史関係の本を全部読んだことがあるだけです。それに、最近は世界史にも興味が湧いています。あと、今はこの「せとうち旅」に集中して「知らない罪」はお休みします。

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