接近
美美が目を覚ました時には、すでに台所の煙突から湯気が出ていた。おそらく舞雪が朝餉の準備をしているのだろう。美美が袖をたすき掛けにして台所に向かった頃には、あとは盛り付けだけ、という状態だった。
「舞雪さま、遅れてしまって、申し訳ありません。いまからでも、やることはありますか?」
「ああ、美美。ちょうどいいところに。朝餉を運ぶのを手伝ってくれる?」
「はい。」
美美は素直に朝餉を運び込んだ。入る部屋は樹衣の寝室だ。
ん…。すごい色気。香も色気に合っている…。あっ、いけないいけない。朝餉を運ばなきゃ。
「ん?どうした?早く机に置いてくれないか」
「すみません。色気に当たったものでー」
「お前、顔はいいのに喋り方は惜しいよな。」
はあっ!?あなたが目上の人だからってこっちは気を遣ってるんですけど!!
とまあ、怒りがわいてきましたが、さすがにそこまで申しません。
「そうでしょうか」
額に青筋が浮いてくるが、なんとか押さえる。
「思ったんだが、お前、俺に何か言われると青筋が浮くよな?」
げ、バレてた。ここは白を切ろう。
「失礼ながら、見間違いではないでしょうか」
美美がまた青筋を浮かせながら言う。
「ならば、この場で確認するか?」
樹衣がこちらに歩いて来た。
「えっ…?」
樹衣が額に触れた。
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