告白
今回、かなり短いです。
「え?何て言ったの?」
わたしの声が小さすぎたらしく、鞠藍さんが聞き返してくる。わたしはもう一度、少し大きな声で、ゆっくり、はっきりと言葉を発した。
「緑の宮」
「緑の宮?なぜ、そんな方と繋がっているの?」
少し動揺したような鞠藍さんの声が聞こえる。そうなるのも無理はない。だって、緑の宮は東宮なのだから。
「わたし一応、緑の宮の侍女をしていたんです。その関係で」
わたしが答えると、鞠藍さんがようやく話し出した。
「ねえ、じゃあなんでそんな良い生活を捨てたの?」
怪訝な顔をした鞠藍さんに、わたしは微笑んだ。
「それは教えられません。隠したいこともあるんです」
記憶を失う前の自分の行動のせいで勝手に逃げ出して来たことなんて、恥ずかしくて言えるわけがない。
「今はとにかく、子供のことを考えたいんです」
平和な日常は終わったけど、好きだった人の子供は持つことができた。それは、奇跡に近いことだと思った。そこまで考えて、わたしはひたと止まった。
「菁凜さん?どうしたの?」
心配そうな鞠藍さんに、わたしは潤んだ目を向けた。
「最悪です。もうお酒が飲めない!」
わたしは酒に強いのと同時に酒が大好きで、週に一回、密かな楽しみとして瓶二本を飲み干していたのだが、妊娠が判明した今となってはもう駄目だ。悲しすぎて両手で顔を覆っていると、鞠藍さんの湿度を多分に含んだ視線に貫かれた。
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