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紅の御簾とき  作者: 鈴のたぬき
第二章 旅
49/54

旅の再開と初めて

 更新遅くなって申し訳ありません!

 怪物騒ぎが解決してから三日後。わたしたちは督羅(カミラ)さんの宿を去った。(モン)家のことは気になったが、和陽(ワヨウ)さまのお父上・和懣(ワモン)さまの葬儀がかなり迫っているからだ。今回の旅の目的は和懣さまの葬儀に参加すること。本来の目的を忘れて寄り道をして本来の目的に間に合わなかったら困る。

「督羅さん、お元気で」

わたしは督羅さんの手を取って言う。いつの間にか親友のようになっていたわたしたちは、昨日の夜同じ部屋で眠って夜更かしした。わたしの央都の家の住所も教えた。

「はい、美美(ミイミイ)さん!またいつでも来てください!」

きれいな顔の督羅さんが目を潤ませているのは眼福ものだ。いつでも来てくださいという言葉にお礼を言い、わたしが馬車に乗り込むと、先客がいた。わたしは一応護衛として旅に同伴しているが、樹衣(ジュイ)さまたっての願いで護衛から外された。そのため、外で愛馬の相狼(アイロウ)に乗る口実ができない。そして、馬車の先客とは、わたしを護衛から外した張本人だ。

「樹衣さま、なぜあなたがこの馬車にいらっしゃるのですか?お付きの方々が困るのでは?」

わたしが尋ねると、一つ年下の彼は子供っぽく頬を膨らませる。

「お付きが困るのは分かっている。だったら、お前も俺の牛車に乗れ」

「いや、無理です。皇族の牛車に一侍女風情が乗ってたら後々めんどくさそう」

わたしが思わず本音を漏らすと、隣でブハッと吹き出すのが聞こえた。

「……何ですか?」

わたしが地を這うような低い声で言うと、樹衣さまは笑いをどうにか堪えた、というような顔になるが、正直そっちの方が傷付くしムカつく。

「わたし、血の繋がりはないですけど、これでもあなたの従伯母なんですよ」

わたしが冷たい笑みを浮かべると、彼はヒュ、と喉を鳴らす。効果あったか?

「おい、こんな所で言うな。お前の立場がおかしくなるぞ。それこそ、皇族だからって意に沿わない婚姻を強いられたり」

「黙って、樹衣」

わたしは悪戯も含めて彼の唇に人差し指を当てる。樹衣さまに敬語を抜いたのは初めてだ。そんなことを考えながらわたしは彼の顔を上目遣いに見て、唇から頬に指を滑らせる。爪に塗った花の汁から採れた爪紅(つまくれない)の鮮やかな赤が目を痛くさせる。今度はもう少し薄めの配合にしないと、自分の目によくない。わたしがそう思っていると、樹衣さまが口を開く。

「美美、お前、市井に生まれてたら絶対に高級娼婦になってるぞ。素質がありすぎる」

わたしは彼の言葉に、だったら仕事を無くしても大丈夫ね、と言おうとしたが、間髪入れずに彼と唇が重なる。接吻なんて、初めて。今日は何かと初めてが多いのね。わたしが現実逃避気味にそんなことを考えている間にも、樹衣さまの舌がわたしの口に入ってくる。そして、力強い腕に抱き締められる。何で、彼は顔だけの女にこだわるのだろう。頭が良いわけでもない。甘えたりする可愛らしさがあるわけでもない。武術はできるが、それだって女々しくない、男勝りだ。本当に、なんでなんだろう。わたしはそんな疑問を感じながら樹衣さまに啄まれる。でも、次の瞬間、彼の体を突き飛ばした。 

 読んでくださってありがとうございました!面白かったら、評価・リアクション・感想をお願いします!

 第二章はこれにて終わりとなります。いつの間にか第一章の約二倍の量を書いてしまっていました!今後もよろしくお願いいたします!

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