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紅の御簾とき  作者: 鈴のたぬき
第二章 旅
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決闘!?

 怪物討伐の日。わたしは、樹衣さま選りすぐりの地元の武の達人と黒い化け猫・蘭蘭(ランラン)を引き連れて、怪物の住む森・竜神の森にたどり着いた。なぜ蘭蘭を連れているのかというと、蘭蘭は化け猫。何にでも化けられる特別な猫だ。すなわち、怪物にも化けることができる、ということだ。そして、督羅さんに聞いた神話によると、この地方に伝わる神話で、竜神の森にはその名の通り竜神が宿っており、龍が現れた時に、その龍に力を与えると、言われているらしい。もちろん、その力を悪用しようとしている龍にも、力を与えるのだと。本当かは分からないが、試してみる余地あり、となり、樹衣さまに話すと、快く引き受けてくれた。なんか、「美美が言うのならきっと正しい!よし、早く準備しよう!」らしい。まあ、恋人の頼みだからね。わたしは凶悪な表情で笑う。その表情を見たのは蘭蘭だけだったので、まだよしとしよう。

「おい、侍女さんよぉ。あんた、そんなちっせーのに戦えんのかよ」

ガラの悪い、舐めた口調で声を発したのは、地元の用心棒・絆堵(ハント)だ。

「そうお思いなのであれば、今手合わせ致しますか?お相手して差し上げますよ?」

わたしが挑発するように言うと、絆堵はピシッと音を立てて手を組む。

「上等だ。一分で片付けたる」

「では、決まりでございますね!わたし、最近旅ばっかりで少し憂さ晴らしをしたく思っておりましたのよ。武器は素手?剣?」

「剣だ」

「お、おい、やめろよ」

声がした方を向くと、小太りの男が震えていた。わたしたちが勝手に話を進めているので、止めに入ったようだ。

「あら、申し訳ございません。今更止やめるつもりはありませんの」

「そうだ。討伐の前に手合わせで良いだろ。そうすれば相手の実力も分かる」

「そ、そっか。じゃあ、邪魔しないようにするよ……」

「ええ、そうなさって」

わたしはそう言って、近くの空き地に入っていく。後ろから絆堵に他の男達が続く。

「絆堵さん、お先にどうぞ」

「はあっ!?」

絆堵はそう言いながら鞘に入れた剣を振り回して攻撃してくる。そんなに振り回してたら、実戦では体力ものすごく消耗するし周りの味方も傷つけかねない。ただ振り回してりゃ良いってことじゃないってわからないのか。わたしはそう考えながら攻撃を受け流す。そして、刀の持ち手で彼の鳩尾を突いた。すると(ひょう)の姿になった蘭蘭が走ってきて、ふさふさの毛に絆堵の顔がボスっという音を立てて埋もれた。周りの男たちが「おお!」と言って呆然としていたが、少し経ってから絆堵を抱えて地面に寝かせた。

「ウソだろ……絆堵は梅川地方で名の知れた用心棒だぞ……?」

そんな一人の男の呟きは、わたしの耳には入らなかった。

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