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紅の御簾とき  作者: 鈴のたぬき
第二章 旅
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旅の再開

 雲風を美美の付き人にした翌日、樹衣の一行は旅を再開した。牛車に揺られながら、樹衣は昨日の美美が見つめて来たときのことを思い出していた。

 じと目とはいえ、少し嬉しかった。意中の相手に見つめられたら、正直言ってどんな状況でも小躍りしそうな気分になる。あの時のおさみは最高に綺麗だった。左右少しだけ取った髪を前側に垂らし、後ろはハーフアップに俗にいうくるりんぱという髪型だ。金の髪飾りの中央には青い宝石がつき、おさみの雰囲気によく似合っていた。あれは本当に逸材だ。傾国の美女以外の何者でもない。同時に、少数の人間にしか見せてはいけないものでもある。束縛のようだが、そうしないと宮都が滅び、他国も滅びる羽目になる。そこは十分に理解した上で恋というものをせねばならないのだ。

 樹衣はそう思いながら護衛をしながら馬で気持ち良さそうに風をきって走る美美を見る。

記憶を失ったくせに、訓練をすれば俺よりも武術の腕が上達するだろう。記憶がある頃は、俺に媚びを売りまくっていたから、あまり好みではなかったが、記憶を失ってからは媚びを売ることもなく、共にあおりあって(ほとんど正論で返されたり返す言葉が見つからないが)楽しむこともできるようになった。おさみに記憶を失う薬を飲ませた仕女は、なんという名前だったっけな。ああ、漣漣(レンレン)だったかな。めちゃくちゃ感謝しような、俺。あ、だからといっておさみに興味がなくなるわけではないぞ。漣漣ではなく、おさみが俺の、その、いわゆる…好きな人ってやつだからな。

樹衣は、東宮ではないただの16歳の青年らしいことを考えながら、牛車に揺られていたのであった。

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