付き人
雲風「えっ?ミ、美美さん、だったんですか、兄さんの骨を折ったの」
雲風君はやはり驚いたようで、少し怖がっている。それもそうだ。テコの原理で骨を折ったけど、はたから見れば怪力で折ったように見えたんだろうな。まあとりあえず返事はしておこ。
「そうよ。あと、そこの東宮さんが言ってるんじゃないんだけど、交換条件。あなたがわたしの付き人になる代わりにあなたとお兄さんの血がつながっているかを調べてあげる。それでもしも血がつながっていなかったら本当の身元も調べてあげる。これでも一応自由に動かせる化け猫を飼ってるのよ」
これでいけるかしら。
「いえ、結構です。それに、あなたは皇族でもないでしょう。化け猫を持っているわけがないです」
あーもう、駄目だったー。でも、皇族でもないというのはちょっと気になるわねえ。
美美は雲風の耳元に唇を近づける。
「わたしは皇族の不義の子。まあ、皇族って言っても先帝の妹の婿さんの娘だけどね。そのうちわたしが皇族だってことが知られるかもしれないじゃない。それに、その婿さんだって一応皇族の傍系の血筋だから、完全な皇族にもなるわね、わたし。これならわたしの付き人になっても良いんじゃないかしら」
最後のほうは耳元から唇を離し、にっこりと笑って言う。
雲風君は少し金色の瞳に好奇心を見せた。よし、もうひと押し!
「どう?あなたがわたしの付き人になったらお兄さんのことも秘密裏に安全に終わらせるわ。それこそわたしが保護してあげる。最後に訊くわ。どっちにする?」
「やってみます!付き人の仕事って、どうやるんですか!?」
「そうねえ、主に子ができたりしたら、その子の世話をしたり、主が持てない荷物を持ったり。あっ、無理なくで良いわよ?」
わたしは善意からそう言ったが、視線を感じて後ろを振り向くと、樹衣からじとーっという視線を向けられていた。さすがに失礼だ。わたしも一応はあんたの従伯母なんですが。
美美がそう思いながらじと目で見つめ返す。
うん?自分から見てきて顔赤くしてるのなんで?
不思議に思いながらもじと目で見つめ続ける美美であった。
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