表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅の御簾とき  作者: 鈴のたぬき
第二章 旅
30/54

襲撃

 襲撃はいきなり始まった。兄さんが牛車の護衛の中で一番線の細い人に刀をふるった。振り向いたその人の唇は、真っ赤に染まっていた。


 気配を感じて、美美はとっさに太刀を避けた。襲撃に気づいた樹衣が端正な顔を歪め、自身の太刀を抜く。幼なじみが襲われているとはいえ、東宮という立場では助けることもできないのだろう。

 危ないなあ。この男、わたしが女だと気づいてない?それなら困る。

美美は太刀を抜きながら、

「すみません、あなたは、わたしが女だと気づいてない様子ですが?」

と言う。男は驚いた顔をする。

「はあっ!?そりゃあいい。弱いじゃねえか」

かかったね、盗賊さん。別に女だったら弱いって訳じゃないんですよ。

美美は即座に男の太刀を弾き、腕をとらえ、男を地面に投げた。

「どこの骨を折って欲しいですか?自由に選べますよ」

美美は満面のニコニコ笑顔で物騒過ぎることを言う。周りの人間の心情は

変能者(サイコパス)

ただそれだけだ。

当の本人は相変わらずのニコニコ笑顔だったが、そっと唇を男の耳に近づける。そして、

「選ばねば、利き腕を折ることになりますよ」

驚くほどに低い声でそう言った。盗賊は恐怖に声を震わせながら、

「ひ、左腕と左足を、お願いします…。」

と言ったきり、気を失った。

 結局、折った盗賊の骨は左腕だけだったが、素手で盗賊の腕を折ったわたしの右腕の親指、中指、薬指の骨は反動で折れてしまった。その手当てをしたのは、まさかの樹衣だった。包帯の巻き方は少し下手だったが、皇族自ら侍女の手当てをしてくれたのだ、感謝しよう。そして、わたしは右腕に包帯ぐるぐる巻きの状態で盗賊が襲撃をしてきた場所にいた男ー盗賊には全く似ていないどこか高貴な雰囲気を感じさせる盗賊の弟ー・雲風に会いに行く羽目になっている。部屋で仕女に念入りに化粧をされ、羽衣付きの豪華な衣装をまとわされ、部屋の外に出ると、樹衣が立っていた。

 読んでくださってありがとうございました!面白かったら、下の星マークから評価・リアクション・感想をお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ