妹
旅支度を終えた美美は、樹衣の部屋に通され、妹・菻明と対面していた。
ふむ。なかなか美人で頭が良い。これは樹衣さまのことを一緒にあおれる仲間ができた…。うっしっしっし。
「菻明、はじめまして。わたしは美美。仲良くしましょう…樹衣さまのことを煽って」
「は、はい、お姉さま。ですが、樹衣さまを煽るとは、どういうことでございましょう」
お姉さまはお美しかった。それこそ傾国の美女だ。私もなかなか美しいと言われていたけど、絶対にこの方のほうがお美しいわ。噂では、武術の腕も男である樹衣さまを上回るとか。
「本当に、お姉さまは凛々しくて…。羨ましいです。武術の腕も強いのでしょう」
「まあ、やめて、菻明。恥ずかしいわ」
褒めたら顔を赤くするお姉さま。それでもお美しく見える。女の私がそう思うのだもの、殿方からはもっと美しく見えるのね。殿方が羨ましい。
「いきなりうちの主が呼び出してしまって、ごめんなさい。しかも長旅に。あの人は美しいけど、本当に自分勝手で迷惑な主人なの。でも、わたしが守ってあげる!」
熱意を込めて菻明に言うと、苦笑いを返される。
「大丈夫だと思います。舞雪さまから樹衣さまは自分勝手なことをするのはお姉さまに対してだけだと聞いておりますので」
「そ、そうなの。初耳よ」
妹の前だが、思わず青筋が浮いてしまう。あのキラキラ色気野郎、全員に自分勝手なことしろよ!
「お姉さま、少し落ち着きましょうか。殺気が漂っています」
菻明、意外と大人である。これならわたしを押さえることもできるやもしれない。
「ごめんなさい、けど、主はわたしの幼なじみだから、皇族でも多少のことは言えるわ」
美美、満面の笑みで言う。菻明、苦笑い。少し変なことも話したが、ことなく終わった。
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