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紅の御簾とき  作者: 鈴のたぬき
第二章 旅
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旅報告

 「おさみ、俺と共に旅に出てほしい」

「えっ?」

樹衣の口から聞こえたのは、予想外の言葉だった。共に旅に出ろということは…。

「わたしのことを妻だか愛人だか言って、美男美女だと騒がれたいのですか?」

美美は本当にきょとんとして言う。わざとではない、率直な疑問だ。

「そうではない。先ほどお前が風呂に入っている間に伝令が来てな。和懣の死を次期皇位継承者として俺から東国の民たちに伝えてほしいらしい。そこで侍女を連れていかねばならないのだが、舞雪に長旅は辛い。だからお前に頼みたい。お前なら変に近づいてくる女もいろんな意味で撃退できるだろう」

「なんかものすごく失礼なことを言われている気がします」

美美は久々に青筋を浮かべる。顔こそは微笑んでいるが心の底では笑っていない。

何かいじめるようなことを言って撃退しろ、ということである。それでもしつこく絡んでくる女は力ずくで撃退ねえ…。

「失礼ですが、他の侍女を連れていかないのですか?」

「他にはお前の妹が来る」

「へっ?い、妹ですか?」

「ああ。立栄の愛人の娘で、菻明(リンメイ)というそうだ。今14だと言うから、お前より2歳年下だな」

「菻明…。聞いたことがありません。兄さまは知らないのでしょうか」

「おそらく、従伯父さまは知らせれていない。お前のこともご存知なかっただろう」

そういえばそうだ。例の失踪事件の後に対面した時、こんなところに年の離れた妹がいるとは思わなかった、と言っていた。だが、不義の子であるわたしとは対照的に、菻明は公開されている子のはずだけど。

「なぜ、兄さまは公開されているはずの妹のことも知らないのかしら…」

「実は、菻明の母が反逆者の娘でな、先帝の妹婿の愛人が反逆者の娘で、しかも娘を産んだというのなら大問題だろ」

「そうですね~、では、おやすみなさいませ」

美美はそう言い、樹衣の手を振り払う。そして、布団に入り、樹衣とは反対側に顔を向け、眠りに落ちた。

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