表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅の御簾とき  作者: 鈴のたぬき
第二章 旅
22/54

若草

 ガラス製の棺に入れられた死体は、病に臥せっていて家から出ていないはずの和陽さまの父親・和懣だった。和陽さまには兄がいるため、家の断絶は防げるものの、現当主が死んだとなれば一大事だ。和陽さまはお辛いだろうに、気丈に実家への伝令の手配をしている。皇帝は心配そうに和陽さまの肩を抱く。

「…好奇心で見てはいけないものでした」

美美は樹衣の隣で呟く。

正直言って、少し気持ち悪い。人の父親の死体を見て、痛わしいとか思わないのかとか言われそうだが、正直なところ本当に人の死体は気持ち悪い。眠っているようなのがまた気持ち悪い。不快だ、早くここを去りたい。

「見て気持ちの良いものではないな」

樹衣も少し気持ち悪そうだ。

美美がそう思っていると、樹衣が美美を、俗に言うお姫様だっこする。そして、人波に紛れ、屋敷に戻った。


美美は湯上がりほっこほこの状態で布団にダイブする。


ここは樹衣の部屋だ。樹衣の方は己の部屋なので、ベッドにダイブしてる。なぜ、樹衣と共に奴の部屋に居るかというと。あの死体を見た後、樹衣にお姫様だっこをされたまま屋敷に戻ったので、樹衣の部屋に連れて行かれた。そしてなぜか樹衣の部屋の隣に短い通路を渡れば入れるそこそこ大きな風呂と露天風呂があったので、そこを借りた。そして、裸で自分の部屋に戻るわけにもいかず。舞雪さまが用意した寝間着を身につけ。そのまま樹衣の部屋から出るのも疲れているので面倒くさいというわけだ。結局、舞雪さまが老体に鞭を打ち、床にわたし用の布団を用意してくれた。現状は、そこに顔からダイブしてる。とにかく、風呂で死体の匂いを洗い流せてよかった。

「お前も抵抗なしに俺の部屋に来るのだな、お前が寝た頃に間違いが起きるかもしれないのに」

樹衣が顔を美美の方に向ける。

目が笑っているので冗談なのだろうが、間違いとはなんぞや。

美美がきょとんとしていると、樹衣は目を細めながら苦笑する。

「ははっ、その様子では意味がわかっていないようだな」

「はい、間違いといっても眠りながら勉強なんてしませんし、どういうことでしょう?」

本当に分からん、どういうことだよ。

美美が苛立ち始め、言葉使いが荒くなってきたとき、樹衣が美美の布団に乗り、美美の手を取った。それを見た舞雪は「あら」と言って部屋を出ていった。

 読んでくださってありがとうございました!面白かったら、下の星マークから評価・リアクション・感想をお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ