対面
「張今だ。こんなところに年の離れた妹がいるとは思わなかった。人前では皇帝の従兄弟と皇帝の甥の侍女のふりをしてくれ」
張今と美美はそれぞれ隣に異性を座らせながら対面していた。美美の隣には樹衣、張今の隣には妻の楪蝶が座っている。夫か恋人のように隣に座る樹衣に、美美は苛立ちを隠せない。
「はい、兄さま」
美美は慎ましく返事をしながら、樹衣のことを横目で睨む。だが、再び張今が話し始めたので、視線をそちらに送る。
「最近は宮都も少し物騒になってきた。樹衣と共に美美も武術の訓練をしないか」
「い、いや、従伯父さま、何をおっしゃるのです?美美は女子です、武術などこなせないでしょう」
「いや、美美はそれでも武術を極められた父上の子。やらせてみないとわからぬぞ」
「ですが…」
「兄さま、良いと思います。樹衣さま、稽古にご一緒させていただいても?」
美美が見つめると、樹衣はほどなく良い返事をした。
翌朝、美美は朝餉の準備もほどほどに、男物の薄手の運動服をまとい、髪をひとつくくりに結った。そして木刀を鞘に納める。そして、訓練場に入った。ほどなくして、樹衣がやって来た。
「おさみ、今日はとりあえず型を学ぼう」
「いえ、最初から実戦形式でお願いします」
「お前がそう言うのなら良いのだが…」
樹衣がそう言い、お互いに木刀を鞘から抜いた。
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