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失踪
宴の翌日、ある男が消えた。皇帝に仕える者は全員で捜索している。消えたのは皇帝の従兄弟・張今だ。
誰が失踪しようが、わたしには関係ない。今は昨日の宴の騒ぎのせいで謹慎処分を食らい、部屋で読書などをしている。わたしのせいではないのに。男たちが騒いだのはわたしの美しさのせいだと言いがかりをつけられた。わたしが美しいのは望んだことじゃないのに。
美美は不満たらたらだ。
「あら、不満のようね」
「はい。退屈で仕方ありません」
「ふふっ、でもね、樹衣さまがいらしたわよ」
「はあっ!?追い返して下さい」
美美はそう言ったが、すでに樹衣が部屋に入っていた。
「退屈だったので、来てしまったぞ」
美美は椅子から立ち上がり、戸を閉めにいく。だが、樹衣の大きなごつごつした手に、細い手首を掴まれ、部屋から引っ張り出された。
「従伯父さまが消えた。おさみに探してもらいたいのだが?」
「は?なぜわたしに?」
「いや、退屈そうだったからな」
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