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王の居ぬ間に サロンドゥキュー 朗読会

今まで身分と名を隠してキュー商会を経営していたキャロラインマチルダ王妃は遂にサロンドゥキューの女主人として、表舞台へと飛び出していく。


挿絵(By みてみん)

綺羅びやかな金の燭台にクリスタルガラスの巨大なシャンデリア。

柱と床は最高級品の大理石を白と黒の格子柄に敷き詰めた。

壁紙は季節に合わせ今は初夏の草花を散りばめた女性らしく、そこかしこに今流行りの田園風景や自然の景色を描いた当代最高峰の画家の絵を飾っている。


周りにはソファーやテーブル、そして椅子が置かれ、好き好きに軽食と飲み物を用意し給仕がスタンばっている。


完璧ね。

会場を一望出来る使用人出入り口で、息を潜めてその時を待った。


招待客は続々と入室してくる。

着飾った女性達はいかにも裕福なご婦人の装いながらもゴテゴテした成金的な印象を受けない。

彼女達なりに気をつかったファッションと見える。

ドレスは最高級品の絹ではあるが、装飾は最小限、持ち物や髪や身につける宝飾品も極めてひかえめで、それが上品さを醸し出していた。

男性もしかりでシンプルなジャケットに黒のパンツで清潔感と知的な印象を受けた。

外出着でさえ控え目に装わざる得ない身分差という現実がある。

しかしデコった宮廷の貴族達より品格があるかもとさえ思える。


「ご主人様。

 そろそろ登場の時間でございます」

サロンドォキューの支配人が知らせてきた。


「えぇ。

 行きますわ」


扉を開けてゆっくりと会場に入る。


招待客の視線は真っすぐに私に向けられた。

沈黙の後僅かに漏れる息で私への関心は最高峰に達しているとわかった。


もう大丈夫。

私は王妃ではない。

私はサロンドォキューの主催者。

ばれはしない。

ばれるはずがない。

強い確信は自信へと繋がり、堂々として胸をはってサロンのオーナーとして振るまう。


「皆様。

 この度はサロンドォキューの催しにご参加くださり誠にありがとうございます。

 今日1日素晴らしい懇談になるのをお約束いたします。

 私当サロン主催者のキャロン・キューと申します。

 幼少期の事故で顔に火傷をおい、このような見苦しい仮面をつけざるをえない事をご理解くださいませ。

 皆様。

 本日は第1部は当代最高峰と名高い詩人を招いての朗読会を。

 第2部はこれから花咲くであろうファッションのショーをご覧いただけます。

 是非お楽しみくださいませ」


観客は頬を染めて羨望の眼差しを私に向ける。


軽くカーテシーを披露して一旦部屋を離れ、人々の関心を詩人へと譲る。


今回はヴェルサイユで人気の詩人を招いての朗読会だ。

この為に莫大な渡航費と何よりフランス国王から召喚する為に渡した金額がとんでもなかった。

彼個人からオファーすればよいが、そのやりとりの間にフランス宮廷から呼び出されたら彼としては国王の意に沿うしかない。

何せ収入のほとんどは宮廷費から出ているらしい。

なので、フランス国王の打診が必須だった。これがとんでもなかった。

国王自身ではなく間、間に入ってきた貴族達が我先に仲介役を勝手でて、しかも2重3重の仲介役が現れたから大変だった。


しかしこれもこのサロンドォキューの知的センスの評判になれば、大きな出費はやもうえない。

最終的にキュー商会の利益になればいいの。

彼にはデンマーク国内の新作の詩集の版権を買い取り、今回会場内で出版販売する。

挿絵(By みてみん)

後日大型書店に卸す予定。


ただでは起きないわよ!!

彼のコントラバスの音色の様な声が会場に響く。

美しい異国の姫と王子の物語をモチーフにした物語を詩に託して語り始める。

偶然の出会い、恋人の逢瀬、悲劇、逃避行、そして悲劇的な別れ。


会場から婦人の泣き声が漏れ聞こえた瞬間、輝かしい成功を収めたのを知った。


鳴りやまない拍手を撓むけに詩人は静かに会場を去っていく。

皆余韻に浸る暇も無く、次の催しに集中しなくてはいけなかった。



今日のメインイベント。

ファッションショー。


どこまでも貪欲に追求するわ。

私の目的の為に全てを。

朗読会の後、今回の一大企画であるショーがスタートする。

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