轟く宮廷 宇宙の恋人の顛末Ⅸ
シンメルマの計画は実行に移される。
アンナはどう助けられるのか!?
ああぁ〜とうとう宮廷を追い出されてしまった。
まぁ別にはなっからいたかった訳じゃない。
贅沢は出来たけど、宮廷で会う貴族達は冷たくて高飛車で面白くない世界だった。
女達は贅沢と華やかさとしょうもない噂話と恋花しかしない脳みそZERO状態だし。
男達は夜会うのとは違う軽蔑した視線を隠そうとしなかった。
王は終始ご機嫌だったけど、過激なSEXは出来なかったし。
召使いという名目でいた生意気なスパイ達。
裏でコソコソ言ってたの知ってっから。
絶対色々チクってたに違いない。
それにあの貴族達。
中には私の上客もいたけど、娼館で来た時と全然違う顔をしやがった。
完全無視所か軽蔑するような顔をしやがって!
クソっ!!
あんなとこ頭を下げられたっていってやるもんか!!
けど陛下がうちにくるのは構わない。
あんな上客なかなかいない。
しかも何でも聞いてくれるし。
慰謝料ぶんどってやるんだから!
鏡の映った長くしなやかで豊かな栗毛の髪をブラシッングしながら自分の顔をじっと眺めてみる。
勝気な瞳にメラメラと燃える野心に我ながらふっと自然に笑いがこみ上げる。
私は父を知らない。
母はある王族の邸宅で仕えていた下働きの女だった。
王族の邸宅で働いていたからといって楽な生活じゃない。
奴らは快楽に商売娘だけでなく、邸の使用人に手を出すのは日常茶飯事だった。
親達はわかっていて娘を奉公に出す。
流石に賃金は他とは比べ物にならないくらいよかったから。
そういう母も親達に無理やり連れてこられ年頃になった頃、邸の王子に手を出され、しかも妊娠してしまった。
王子は焦って選んだ方法が自分の家来に母をめとらせて体のいい厄介払いしたの。
金と権力に家来の男は何も抵抗出来なかったろう。
私は誕生後すぐに里親に出され、その後実父から養育費を支払われていた間愛情のない養父の元で育った。
この養父は金使いが悪く養育費もやがて枯渇するようになって私は再婚したばかりの母の元に帰ったわ。
私は再婚後の義父の姓を名乗り、若い頃から女優の肩書でこの肉体で金持ち相手の愛人達を渡り歩きながらまさに花に群がる蝶の様に過ごした。
楽しかったわ。
誰も彼も私を狂う様に競いあって奪い合った。
イギリスの大使、オーストリア大使、そしてとうとう我が国の国王陛下の愛人になったわ。
愛なんていらない。
そんなものどうでもいい。
必要なのはただ本能の赴くままに生きる。
ただそれだけ。
金、宝石、ドレス、豪華な食事、舞踏会、カードゲーム、賭博の全て。
強欲さも欲情も、嫉妬も、怒りも全てを欲するままに。
いままでもこれからも。
ドン!!
突然扉が開く。
「アンヌ・カロリーナ・ゲンターベン!
御前を宮廷侮辱罪で逮捕する」
アンヌの娼館を多くの秘密警察員達が押し寄せたかと思ったら、あっという間に大勢の男達に囲まれてさすがのゲンターベン嬢も抵抗できずそのまま牢獄に収監された。
私は驚きのあまりにしばらく硬直して動けなくなったわ。
そして冷たい監獄の最上階の広い部屋に連れてこられ監禁された。
この部屋は囚人には相応しくないほどごうかで、ただ全ての窓に鉄格子と扉は施錠され見張りの兵士と召使いが5名つけられている。
囚人には似つかわしくない扱いだった。
暫くして、ノックする音と同時に扉が開かれた。
どうも行政官と兵士が2名様同席して現れた。
「今から首都を離れる。
宮廷を騒がせた罪により。
首都追放を王命がくだされた」
無機質な行政官の表情で罪状と刑を言い渡されると、私の両腕を兵士ががっちりと捕らえてそのまま出口まで誘導し、粗末な馬車に押し込められた。
馬車は別れの挨拶も許さず、そのまま速度をあげて走り出す。
こんなはずじゃなかった!!
あたしの!
くっそ〜!!
史実では捕られたアンヌは監獄とは名ばかりの田舎でなに不自由ない監禁生活を送った。
クリスチャンⅦ世が外遊した際に会おうとしたが、阻止されその後釈放された。田舎町で2度の結婚を経て天寿を全うしたそうです。
クリスチャンⅦ世、キャロラインマチルダ王妃より彼女は自由で人生を謳歌したそうです。




