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轟く宮廷 宇宙の恋人の顛末Ⅳ 

とりあえずアンヌを宮廷から退出させた王妃。

アンヌを助ける為に行動を起こします。


今月末に出産を控えている私だがそんな事を気にしている場合ではない。

どうしても今日秘密裏に外出しないといけないのだ。


この子の将来にも影を落とすかもしれない出来事を回避しなくてはいけないから。

私はこの国を去るけれど、我が子に遺恨や重荷を残す訳にはいかないもの。


その固い決意を胸に秘めて、男装をして出来るだけ地味な馬車を用意した。

そして秘密裏に宮殿を出てとある邸宅に向かっている。

事前に訪問のアポイントメントはとったものの、私の正体や具体的な内容については伝言していなかった。

もし私の願いを会う前に拒否されてしまったら説得出来ないからだ。


訪れたのはうっすらと雪の積もる肌寒い日で、けれど澄み切った青空の広がる冬の黄昏時だった。


旧市街の一角に3階建てのグレーがかった石作りのシンメルマンの邸宅の前で馬車が停まる。

市民がシンメルマン宮殿と呼んでいるのもわかる。


彼は優秀な経営者で十分な財があり、邸宅に金をかけることもいとわなかったのだろう。

由緒ある貴族の邸宅というよりも宮殿と言っても過言でなはいくらいだ。

外装の所々に金で装飾され、邸宅の前方に水を高く吹き上げる噴水がある。その周りにはマロニエの木々が縁取って緑の豊かな香りが開けた窓から香ってくる。


後方には季節に美しい花や緑が広がる広い庭園が広がっているという。


邸宅の周りでは数十台はあるだろう荷馬車から使用人達が肩に荷を乗せ次々と裏手に運んでいた。


金銀で装飾された重厚で豪華な扉の入口にはこざっぱりした服装の中年の男が玄関口で待っていた。


「お待ちしておりました。

 主が客間でお待ちしております。

 どうぞご案内いたします」


そう言われ私は颯爽と邸宅の中に入って行くと、広いエントランスホールに立派な螺旋階段が目に飛び込んで来た。

エントランスはさまざまに行き交う商人達で熱気が溢れていた。

見るからに外国人や黒人達の誰も赤らめて興奮した様子で活気がある。

今コペンハーゲンで飛ぶ鳥を落とす勢いのある商人の邸宅に相応しいものだった。


そしてまさに今、客間でこの館の主と向き合っている。

ハインリヒ・カール・フォン・シンメルマンと初めて膝をわって話す機会に恵まれた。


私が見上げるほどの長身のその紳士は40半ばだと聞く。

見た目にははるかに年長に見えるもののいかにも商人というに相応しい風貌だ。

ただ人を一瞬で見抜くような眼力から私は目が離せない。


これは交渉にかなり苦戦しそうだわ。


彼は元々ドイツ人の商人で造幣所の硬貨製造で富を得て、その商才を買われデンマーク宮廷に召喚された外国人。

デンマークは人口はそれほどないから、人材も枯渇気味で優秀な外国人を政務に関わらせる事は多い。

だから王宮ではドイツ語が公用語の様な扱いを受けている。


商人、銀行家そしてデンマーク宮廷の政治家として経済で夫の助言役を担った人物。

遂にはリンデンボー男爵という名の爵位を得た新興貴族の一人。

現在は夫の廷臣となりこの国の実務型の財政担当者外国人だったがデンマーク市民となった。

ある程度夫に助言出来る立場にある今回の依頼にはうってつけの人物だった。


「破竹の勢いがあるキュー商会のオーナーに訪問いただけるとは。

 長くこの商売をして驚く事は少なくなりましたが。

 使者がやってきた時は本当に半信半疑でしたが…」


シンメルマンの口にした言葉とは裏はらに猜疑心を表情jに隠さない。

いかにも私が本当にキュー商団のオーナーかと疑っているのだろう。


そう実は今回の訪問はキュー商会のオーナーという肩書で面談しているの。

だっていきなり王妃だと名乗ったらどこでどう宮廷に噂が漏れるかはわからないから。

男装して臨月のお腹は肥満の男性に変装しメイクもバッチリ決めた。


私身元を隠してキュー商団を運営している。

商売の事は商才に長けた右腕に任せているしほぼ資金だけ出しているだけだけど。

つまり金は出すけど口は出さない。

顔も出さない。


元々はこの国に輿入れしてすぐに持参金と化粧代で商団を作り、イギリスからの貿易で利益を出してきた。

何故なら「出国した後、財力が最低限必要で、まず財があって先にすすめる」そう思ったから。


念のため顧客は新興貴族か中産階級をターゲットにしている。

何故なら宮廷に出入りしている貴族達向けに商売したらそのうちオーナーの身元がわかるかもしれない。

それに彼らは伝統やブランドよりも実用性や斬新で新しい物に目がなく金もいとわなかった。


挿絵(By みてみん)

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 私の事をキュー商団の経営者として不審に思われるのは仕方ない事。

 私は身元を隠して商団の経営をしておりましたから。

 キャロン・キューと申します。

 我が子の故郷であり、統治する国であり、不安定な財政を抱える我が国の支えになればと。

 設立したのがこのキュー商団です。

 今回はイギリスの商品の輸入の独占販売権を貴女に任せたいのです」



 




 









男装して廷臣のシンメルマンに面会。

王妃である事実を隠してキュー商会のオーナーとして巨大な取引を進言する。

シンメルマンはどう答えるのか?


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