王に相応しい愛妾とは…Ⅳ
夫クリスチャンⅦ世との初夜を無事に済ませ何とかまともな夫婦関係を営み始めた王妃に吉報が!!
私がベンダーゲン嬢を公娼に推薦すると夫に進言してから、夫との夜の営みの回数は格段に増えた。
かなりの効果です。
愛なんかいらない。
世継ぎを産む。
私の義務をはたしてから自由をこの手にする為の儀式だと自分にいいきかせる。
そして待ちに待ったこの日!
何せ前世では二人の子供のを持つ母だった。
大体体調の変化はすぐにわかるわ。
月の物がなくなり、とにかく所かまわず睡魔が襲いすごく眠くなる。
だるい。
味覚が変わる。
イライラする。
これは来た!!
すぐさま体調不良を理由に宮廷医を召した。
診断結果は祝懐妊!
今世で初めての妊娠。
まだ初期。
主治医にきつく懐妊報告はしないように口止めしたわ。
まだ妊娠初期なので慎重に行動し、食べ物にも気をつけるように言って宮廷医は退出していった。
霧の中を手探りで歩いていた。
その暗闇の中に一点の光が射した。
そう輝かしい光は私の希望の子を絶対に守って見せる。
庭を散歩する時も足元に気を付けて一歩一歩ゆっくり進め、宮殿内は階段では手すりを使い部屋の中でさえも注意をはらっていた。
誤って流産しては元も子もない。
何せあの短い夜の営みで妊娠したのだ。
絶対に無事に出産してみせる。
従来身体が丈夫だったのか。
つわりは辛かったが、故郷の母からの手紙で気分もすっきり。
子供は愛おしい。
まだ大きくなっていないお腹をさすりながら思い出している。
前世であの男の子をを二人授かったけれど嫌いな男の子供だったけどお腹を痛めた子供は二人とも可愛らしかった。
ゲオルク・アウグストと私と同じ名のゾフィー・ドロテアは私の生きがいだった。
でも結局子供も選帝侯の跡取りと言って姑に取り上げてしまった可愛い二人の子供。
少しの間でも会えた時は本当に嬉しくて可愛らしくて、いまでも二人を思い出すと涙が出そうになる。
そしてあの私の全てを失った運命の日から二人には一切会う事を許されなくなった。
息子ゲオルクが一度幽閉先のアールデン城に馬に乗ってやってきたけれど、侍従に拘束されて会えなかった。
私は二階の窓からあの子は馬で現れたのを見た時は嬉しすぎて窓から飛び出そうになったわ。
私の為に鞭を激しくうって猛スピードで近づいてきたの。
でも門の手前で警備兵に捕まってしまったの。
「お母様」
あの涙ながらに私を呼ぶ声は今でも忘れない。
私が去った後でなんとか部屋から持ち出した小さな私の肖像画を唯一隠し持って大切にしていてくれたというの。
愛しい子だった。
そして娘は成人した後、ブランデンブルク選帝侯家に嫁ぐ時、私の侍女を連れて嫁入りしたそうよ。
親孝行な子供達。
息子が成人してイギリス国王として即位後、息子と元夫と犬猿の仲会えばいがみ合う親子になったそうよ。
ゲオルクは私を慕う子供に容赦なかったのね。
この親子不仲はイギリス王室の伝統になったみたい。
その子供と孫も不仲で生涯和解する事はなかった。
その頃には私ゾフィードロテアは亡くなっていたけどね。
そうそう今世の私の公娼推薦の提案に王は度肝を抜かれたようだったのだけど、明らかに以前より陽気に見えた。
基本的に食事の時と公式行事にしか顔を見ないけど……。
いつも楽しそうで荒れた様子は少し落ち着いたみたい。
そんなある日、私の耳元で囁いた。
「昨日ベンダーゲン嬢を仮面舞踏会に誘ったんだ。
楽しかった!
きっと宮廷で彼女と過ごせたら更に楽しそうだろ。
ベンダーゲン嬢を宮廷に呼ぼうと思う。
君も一緒に遊ぼう」
はいはいお好きにしてくださいな!!
遊びにはまったくもって私は遠慮します。
ベンダーゲン嬢には宮廷生活の指南書を送るとしましょう。
この時までこの案がとんでもない波乱を巻き起こすなんて、まったく予測すらしていなかったのよ。
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「陛下。
私が宮廷に入るのは勿論公娼としてですわね」
野望に満ちたギラギラした瞳で国王を見ているアンヌにクリスチャンⅦ世は満足そうに彼女の身体を力まかせに抱きしめた。
熱いアンヌの熱が伝わって心地いい。
「…ぼ…僕は…そのつもりだよ」
力強くさらにアンヌを抱きしめる。
豊満な女の肉体と温かい温度が冷えた身体を心を満たしてくれる。
クリスチャンⅦ世はうかれてこれからの宮廷生活が楽しみで仕方なく頬が紅潮する。
四六時中二人で自由に堂々と宮廷にいれるのだ。
想像して高揚するだけで嬉しくてしかたがない。
「ただの愛人なんてごめんよ。
宮廷費、交際費金がかかるもの。
城もいるわ。
当然爵位もよ。
陛下に捨てられたら…それと……年金。
陛下が私に飽きたらおいだされるだけなんて嫌よ!!
お金がなきゃ。
のたれ死は嫌!
きちんと老後の面倒見てもらわないと!
だから!
年金もよ!きちんとしてよね。
公式の愛人としてよん」
身体を絡ませながらまるで蛇の様な周到さで国王を凝視した後、クリスチャンⅦ世の身体を大きく突き放して睨みつける。
宥め猫なで声でねだるよりもこの方が効果高いのは知っている。
いつもそうだ。
他の娼婦に侮辱されたり、トラブルに巻き込まれたり、事ある毎に国王に激情的にうったえたほうが確実に満足のいく行動をしてくれたからだ。
「アンヌ…アンヌ……。
わかってるよ。
まだ皆には公表出来ないけど。
王妃は君を気にいっているんだから。
どうにかなるって!
大丈夫だよ」
アンヌの頬を両手で包みとるとその真っ赤なぷっくりした唇を自身のそれに当てて貪りつく。
アンヌはすぐにその唇を無理やりにはがし、嫌らしく微笑んで囁いた。
「ほんとに…?陛下!
嘘だったらただじゃないから。」
腕を組んで怒っているそぶりさえ見せる。
「わかってるよアンヌ。
それよりか続きをしようよ」
そう言って頬を紅潮させてクリスチャンⅦ世は鞭を手にそれをアンヌを渡した。
私はこの場にいないが。
おいおい夫なにしようとしているの?
そんな馬鹿ップルの会話を聞かなくてすんだけど。
まさか私は来て早々ベンダーゲン嬢が騒ぎをしでかすとは思ってもいなかった。
ゾフィー・ドロテアは一男一女を生んだと夫との同衾はなくなります。
彼女の長男が後のジョージⅡ世、そして彼女と同名の長女ゾフィードロテアはブランデンブルク選帝侯妃となり、あのフリードリッヒⅠ世(サンスーシー宮殿を建てさせたプロイセンの大王)の生母になります。




