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【ミコログ@神待ち配信】神様とVTuberやってんだけど、聴いてかない?  作者: 神代翁
1配信目 If it`s a sweet dream, don`t wake up(甘い夢なら醒めないで)
12/35

幼馴染も来た……!

 窓の外から急ブレーキの音と、須佐の「ぐぇ」という悲鳴が響いた。窓から下を見下ろすと、自転車に()かれた須佐が転がっている。その前で、ショートカットの女の子があわあわと動いている。


「え、アイツまた轢かれてる」


「あの方は大波(おおなみ)にぶつかるという宿業を負ってますので。あれも()()()()なのでしょうね」


「やべーよ、須佐だけでもやべーのにもう一人やべー女の子が追加されちゃった」


「ニカツくん、それは心の中に(とど)めておいた方が賢明な台詞ですわよ?」


「すいません……櫛灘さんがヤバいくらい可愛い女の子、というのの略です」


「うふふ……もう一声。あの方も絡めてくださいまし」


「すいません……美少女の須佐だけでもやべーのに、まだ蕾ながら〝立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花〟へ至ることを思わせる端麗(たんれい)にして楚々(そそ)のやべーロリっ子櫛灘さんが追加されたことで、俺の処理能力(キャパ)を超えちゃう――の略です」


「むふー」


 櫛灘にご納得頂けたところで、俺はアパートの下へ向かう。アパートの下では自転車に()ねられた須佐が転がったままだ。どうやら縁石に頭をぶつけたらしく、マジで痛いらしい。頭をおさえて(うな)っている。

 その横で、中学校の制服に身を包んだ少女が救護(きゅうご)活動を行おうとしている。日焼けした様子からは活発な印象を、落ち着いた瞳からは冷静な印象を受ける。


 上から見た時点でもしやと思っていたが、幼馴染の関守文乃だ。


「あ、頭をぶつけた時は動かしてよいのでしょうか……出血はないようですが……」


「文乃、コイツ轢かれなれてるからたぶん大丈夫」


「あ」


 文乃が俺を仰ぎ見る。すると、無機質な瞳にパッと光が差し込む。


「せんぱいって、おいくら出したらワタクシ氏と一緒に逃げてくれますか? 死体を埋めてくれますか? ワタクシ氏を捧げれば、一生一緒にいてくれますか?」


 なんでコイツは、瞳に光が入っている時はヤバいことしか言わないのだろうか。思えば、俺が部活を辞めることとなった事件を契機(けいき)として、ネジが外れた気もする。


「どぅどぅどぅ」


「低い声がワタクシ氏の混乱をすぅーっと弱めていくぅー」


 文乃を落ち着かせていると、痛みに(うめ)いていた須佐がこちらを見た。


「――――なんか、対応違くないかの?」


「お前には櫛灘さんがいるだろうが」


 櫛灘もアパートの下にやってきた櫛灘は着物を丁寧に抑えてしゃがむと、須佐に「どぅどぅどぅ」と俺の真似をした。須佐は舌打ちすると、アパートの二階に戻っていく。

 と思うや、須佐はアパートの壁から顔を出して、


「みんな飯食ってく? ちょうど来たみたいだしの」


 と呼びかけた。


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― 新着の感想 ―
須佐ちゃんがまた轢かれてて笑いました。 文乃ちゃんの小麦肌ヤンデレという属性は新しくてなんだか新鮮です。 応援してます!
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