具としての旅立ち----料理への旅路----
どうもシュールストレミングです。
スキマ時間に軽く読めるような短編小説を書いています。
良ければ最後までご覧下さい。
野菜室で眠っていた
ある日突然、扉が開けられた。それと同時に明るい光が差し込んできた。
それまでの暗闇から解放された瞬間だった。私たちは揺られながら、どこかへと移動させられた。
最初の数時間は混乱した。私たちがここにいる理由もわからず、ただ揺らされるだけだった。
しかし、その後、私たちは周りの声や香り、そしてやわらかな手触りから、私たちの未来を感じることが出来た。恐らく調理されるのだろうと。
最初に私たちは切られた。包丁の刃が私たちの身体を通り抜け、それぞれが別々の形になった。
私たちはそれぞれが役割を持ち、一体感を感じた。調理者たちは丁寧に、美しく私たちを準備してくれた。
それは私たちを次の段階へと導くための準備だった。
次に私たちは熱い油の中に入れられた。その瞬間、私たちは新たな体験に直面した。何か変な香りがする。
熱さが私たちの身体を包み込み、外側がこんがりと焼けるのを感じた。
それは時には痛みを伴うものだったが、私たちは互いに支え合いながら、その瞬間を乗り越えた。
そして、私たちは調理室に漂う美味しそうな香りを感じながら、盛り付けられた。
お皿の上で美しい彩りを見せ、完成された料理の一部として誇らしく並べられた。
その時、私たちはただの食材ではなく、物語の一部として新たな人生を歩む存在であると、実感した
この料理される旅を通じて、私たちは自分たちが生まれて初めての冒険を経験した。
それは私たちの存在意義を深め、調理者たちが私たちを愛し、尊重してくれていることを知る機会でもあった。私たちの物語は、単なる食材ではなく、生命としての尊厳を持つことを教えてくれた。
野菜や食材たちは、ただ食べ物として扱われるのではなく、それぞれが持つ物語や意味を理解し、尊重されるべき存在であるということを示す象徴となった。
そう調理とは新たな道への分岐点にすぎないのだ。
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