表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/14

闇のようなブラック

 確かに全員ではない。中には、医療従事者の中にも良い人もいるだろう。


 しかし、私が知っている医療従事者は全員クソだった。


 小学校の時もいじめっ子は看護師になった。


 中学の時のヤリチンは歯科医師になった。


 高校の時の万引き常習犯は薬剤師になった。


 揃いに揃って「何であんなヤツが!?」と言うのが正直な感想である。思うに医療ドラマ、漫画、映画などのエンタメは、医療従事者を神格化し過ぎているのかもしれない。


 特に医療ドラマは美男美女が演じている。医療従事者=素晴らしい人格者という思い込みは、こういった所から始まるのだろう。ステータスや金に目が眩んで医者になってるものだっていないとは言い切れないが、医療ドラマを見ているとそんな事は夢にも思えない。


 そして2020年に始まったこの疫病騒ぎ。


 テレビで偶然、「医療従事者に感謝を」などと言って芸能人がお菓子とか手紙を病院に送っているのを見た。


 それを見てたら、私の中でプツンと何かが切れた。


 パソコンにある彼との写真やLINEのスクショ画像を纏め、ある週刊誌の編集部に持っていった。消さないでよかった。いつか役に立つだろうと思っていた。


「へぇ、あの人気作家の佐野翼先生って不倫してたんですか?」

「ええ」


 対応した記者は全く驚いていなかった。慣れているのだろう。


 通された応接室は狭く、テーブルの上にはコーヒーが乗っていた。闇のように真っ黒なコーヒーだった。まるで私の心の色みたい。


「あんなイケメンな小説家なのに。彼の医療小説も何本かドラマ化されていたよ」

「イケメンだから、選べるんでしょうね。私みたいな冴えない感じの女など、キープにちょうど良かったのでしょう」


 別れ際、あの男は「キープしている女のうちの一人だから」と吐き捨てていた。


 彼にとっては、女とはそんなものだろう。


 あるシナリオ教室で彼と出会った。二つ上の先輩で、すでに大きな賞も受賞して作家活動もしていた。現役医者作家として医療小説を執筆していた。メディアでも持て囃され本も売れていた。


 キープしているのは、女だけではなかったかもしれない。作家活動がダメになっても、実家の病院を継ぐから安泰だと笑っていた。派遣社員をしながら作家を目指している私をよく馬鹿にして笑っていたっけ。


 そんな彼でも好きだった。先輩として優しく、文の書き方や取材の仕方を教えてくれた。


 彼に奥さんがいる事を知るまでは盲目だった。


 この事をネタに作家の卵と先輩の青春小説も書いていたが、芽は出なかった。たまたま読んで貰った編集者には「先輩のキャラが嘘くさい」という感想をもらった。自分では実体験をリアルの描写したはずだが、モデルが実際嘘つきなのだから、そう言われて当然だ。


「しかし、医者で不倫っていうのはねぇ。作家活動はアレでも、これで炎上したらヤバイねぇ。中絶もさせてるのは……。医者やってる作家だなんて、芸能人より安定してそうだけど一瞬先は闇だねぇ」


 記者は、苦笑しながら私が持ってきた証拠を見ていた。特にLINEのスクショはゲスい発言ばかりで、笑うしかないようだ。


 他の記者によると他にも彼の被害者が似たような証拠を持ち込んでいるらしい。


 記者達は彼が原作を担当したドラマの初放送日に、記者はこのネタを記事にすると言っていた。


 テーブルの上のコーヒーを見る。


 真っ黒な液体は、鏡のように私の笑顔を反射していた。


 ちなみに私は医者と冴えない喪女のTL小説でデビューが決まってる。濡れ場のシーンはほぼ実話だ。ある意味こっちの方が彼にとって恥ずかしいかもしれない。今後も医者がヒーローのポルノ小説を書いていきたいと思う。


 人生何があるか全くわからないものだ。


 一寸先は闇。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ