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「ええーーー!!! 俺が異世界にーーー!!!」


「ああ、そうじゃ。おぬしは今日をもって異世界へと転生することなるのじゃ」


 本当に突然の出来事だった。

 国語の授業中まったく理解できない古文の解説に耐えきれず睡魔との戦いに終止符を打った俺は夢の世界へと旅立ったのだ。

 すると、どうだろう。知らない空間へ導かれ、現在に至る。

 なんか神々しいオーラを放つ自称神の爺さんから告げられた。今日から異世界で暮らしてもらうという言葉に驚天動地、千変万化、森羅万象……うん、なんか難しい言葉使いたい気分だったから挑戦したけど俺の語彙力じゃ無理だったわ。まあ、ビックリ展開だ。


「じいちゃん、それほんとなのか? もう俺は古文の勉強をしなくて済むってことか?」


「それは知らんが、異世界でおぬしが勉強しようと思わん限りはないじゃろうな。思う存分はっちゃけるといい」


「ありがとう、じいちゃん!! この世で一番無駄な古文の授業からすくってくれて。じいちゃんが死んで星になっても俺はこの恩を忘れないから!!」


 本当に神様のようなじいちゃんだ。これで夢から覚めた時には古文の授業も終わっていることだろう。そろそろ、起こされる頃だろうか?


「わしは死なんぞ。神じゃからな。それにそこまで感謝せずともよい。わしはこれまで大勢の人々をすくって来た。おぬしもその中の一人でしかないんじゃからな」


「じいちゃん……ありがとう」


 感動的な感じを適当に演出してみる。やっぱり夢だとなんでもできて楽しいな。


「そろそろ、授業終わったかな。起きるか」


「なんじゃ、おぬし何を言っておるんじゃ? 授業にはもう戻らんぞ。異世界に転生するって言ったじゃろ」


 おかしなじいちゃんだ。俺は夢に神を名乗る謎のじいちゃんが出てくるほどユニークな性格はしてないと思うんだがな。どこかでこういうことを見たのかもしれないな。


「はいはい、夢なんだからもういいよ。いつまでも現実逃避してられないからな」


「夢なんぞではないぞ。これは正真正銘現実じゃ」


「しつこいぞ。じいちゃん。もういいから、古文の授業さえ終われば俺は頑張れるんだ」


 いい加減にしてくれないかな。早く夢が覚めてくれよ。もうこのじいちゃんのことがうざくなってきたんだ。


「わしは神じゃと言っておろうが。はやく信じんとチート能力を授けてやらんぞ」


 なんだよ、チート能力ってじいちゃん頭おかしくなってんじゃん。なかなか夢も覚めないしもう一回のっかってやるか。


「ええーーー!!! チート能力なんてもらえるのか!! だったら俺は、大好物のハンバーグを無限に出せる能力がいいな」


「あほかおぬしは!! 異世界には魔物が巣食っておるのじゃぞ!! そんな舐めた能力では1日ともたぬわ」


「魔物までいるのかーー!! なんてこったーー!! それなら、見るだけで魔物を殺す能力にしてくれ」


「ほう、それはかなりのチート能力じゃな……うむ、よかろう。おぬしの能力は見るだけで魔物を殺すことのできる魔眼にしてやろう。この能力なら簡単に死ぬこともないじゃろ」


 なんか適当に言った能力貰えたんだが。すご、魔物を見るだけで殺せるって。せっかくだし、使えるところまで夢もたないかな。


「相手を殺すトリガーは魔物を直視することと、おぬしの意思の二つにしておいておこうかの。見るだけですべての魔物を殺してしまうのは不便かもしれんじゃろうからな」


「ありがとうじいちゃん。この恩はじいちゃんが遺骨になって墓に納められても忘れないからな!!」


「だから言ったじゃろう。わしはもうすでに数々の人々を救っておるのじゃ。おぬし一人どうということもない。それにわしは神じゃから死なんぞ」


「ありがとう……じいちゃん」


 また感動的な雰囲気を演出してみる。おっと、こんなことしている場合じゃない。夢が覚めてしまう前に転生とやらをして能力を試してみねば、せっかくの夢が中途半端に終わってしまうじゃないか。急げ、速く転生してもらえるように話をまとめるんだ。


「じいちゃん、俺異世界でも頑張るから。古文の授業さえなければ俺は無敵だ。じいちゃんも残り少ない余生を謳歌してくれよ」


「おぬし、なんかさっきから話を聞いてないような気がするのじゃがわしの気のせいかの?」


「聞いてるって、俺はじいちゃんへの感謝の気持ちをあらわしてるだけだよ」


 いいから、速く転生させろよ爺さん。もったいぶってるうちにおきちゃったらどう責任取ってくれるつもりだ。


「それよりさ、異世界に転生させてくれよ。もう楽しみで仕方ないんだ」


「まあ、行き急ぐでない。説明もまだじゃろう? そんなことではすぐに死んでしまうぞ。話は最後まで聞くものじゃ」


 はあぁ!? いいから早くしろよ、もったいぶるなよ。夢だから能力を使った後に即死しようが俺は何も問題ないんだから。


「まずは、おぬしが転生する世界についてじゃ。魔物がいるといったがその中でも魔王というものがおってじゃな」


「てんせーーーい!!!!」


 じいちゃんの説明をさえぎるように叫んだ。すると、不思議なことに俺の真上から光が降り注ぎ、周囲をかこうように光に包まれた。


「何かってなことやっておるんじゃーー!! まだ説明は終わっておらんぞ!!」


「さらばじいちゃん。もし俺はまた同じ夢を見ることがあったらまた会おう」


 そのまま俺は頭上の光の中心へと吸い込まれた。


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