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君の為の進行劇  作者: ラツィオ
96/111

第96話 正体隠してイザベラとの再会。


 ◇◇


 時は戻り正午12時50分。


 俺たちはイザベラを出迎えるべく、各々で変装が上手く言っているか確認し合っていた。


 「それにしても、こんな事で鬘を被る機会が訪れるなんてな」


 俺は初めての鬘に違和感があり、なんども手で触り確認する。


 男子の執事服はこれといって特徴のないオーソドックスな黒で、鬘は薄白いボサボサのショートヘアで、所々クルクルと巻き上げられたくせ毛が特徴的だった。女子は黒いロングヘアーに白いカチューシャを付け黒と白の合わさった、これまた定番のメイド服だった。


 ちなみにドンの服は本人が執事服がいいと頑なに言い張るので仕方なく執事服にした。


 「さて、そろそろ来るバイ。みんな準備はいいだバイな?」


 湯江の言葉に俺たちは決心を固めた目で力強く頷く。


 そして1時になると......。


 ウイーーン。


 自動ドアが左右に開くと見知った顔が先頭に立っていた。


 「どうも、お初にお目にかかります。湯江さん。イザベラです」


 その男は黒いベストを着てその上から白いコートを着たイザベラだった。狐の様な細い目でほくそ笑むその笑みからは、どことなく薄気味悪さを感じる。後ろには部下であると見える黒いスーツの筋骨隆々な男が10人程いた。


 「初めましてイザベラ様。私が湯江です。以後お見知りおきを」


 さすがは社長といった所か、堂々とした佇まいで出迎える湯江。俺たちも『ようこそイザベラ様』と声を合わせ深々とお辞儀をした。


 出だしからドンだけは大欠伸をしていた事に俺たちは、まずいと思い生唾をゴクリと飲み込む。


 「何やってんだよドン」


 俺は横にいたドンに小声でありながらも慌てて叱る。


 「あっ、わりい、わりい。慣れてなくてさこういうの」


 ドンも小声でペロッと舌を軽く出しながら俺に謝罪するが、この様子だとまた何かやらかすのではと、俺たちはイザベラ以上にドンに警戒心を強めていた。


 敵じゃなくて味方に警戒するとか、本末転倒だよな。


 「ハハハハハ。中々ユニークな執事がいるものですね」


 ドンの無礼な態度に咎めることなく陽気な笑みで返すイザベラに湯江はなんとかなったと、安堵する。


 「申し訳ありません。何分新人ですので、後で厳しく叱りつけておきます」

 「いえいえ、お気になさらず、それよりも例の件ですが」

 「はい。イザベラ様。こちらでございます。お食事を用意してありますのでそちらの席でお話ししましょう」


 湯江は先導してイザベラを大広間にまで招く。イザベラは無表情なまま無言で湯江に着いて行き、その後ろを10人の部下たちが足並みを揃え付いていく。俺たちは最後尾から付いていく。


 それにしても湯江が真面目に接客する時は『バイ』て語尾が抜けるんだな。初対面の俺たちには、素顔で十分だったわけね。......気にしたら負けだよね。


 移動の最中、俺は正体が気付かれないか、心配だった。緊張とはまた別のハラハラした動機が俺の心に鐘を強く慣らす様に全身に響き渡る。俺はこめかみから、顎先までついつい、力んでしまう。


 「ちょっとハジメ君。そんなんじゃ持たないよ」


 その動機が俺の顔から浮かび上がっていた事に気付いたシルビーが小声で指摘してくれる。


 「う、うん。なんとか大丈夫」


 俺は問題ないと少し無理して笑顔でシルビーに返す。


 このままでは不味いと思った俺は周囲に気付かれないように一度軽く深呼吸する。すると少し落ち着きを取り戻した。


 それを見たシルビーはにっこりと微笑み安堵した。


 そしてしばらくすると、俺たちは大広間の前に着いたのだった。

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