第91話 136歳。その正体は!!
緊迫した糸が張り詰める中、俺は生唾をゴクリと飲み込み動揺しながらも文字を打っていく。
《そのお年で出会い系サイトを利用するなんて、凄いですね。自分もそのチャレンジ精神を見習いたいです》
《チャレンジだなんてそんな大それた物ではありませんよ。ただ私も貴方と同じ純粋にこの出会い系サイトを利用しているだけですよ》
マイの返信を見た俺は心が痛んだ。何故なら俺たちは半ばゲーム感覚でやってるからね。
どんどん心が荒んでいくのを実感していく。マイの出会い系サイトを利用する真摯さに俺は深く俯き本当に何をやっているんだろうと、自暴自棄に陥りそうになる。
それでもこれはヒーリング会社のためだと自分に言い聞かせ、俺は奮起する想いで再び文字を打ち始める。
《マイさんは普段何をなさっているのですか?》
なんとか重くなる気持ちをリセットしようと無難な質問をしてみる。
《普段は旅をしています。前までは家から一歩も出ず閉ざされた生活をしていました。しかしある人がきっかけで私も外の世界に足を踏み入れる事が出来たのです。その人には感謝してもしきれませんし、何より......その......心からその人の事が......》
何やら歯切れの悪い文面に俺は首を傾げるが、余り深く考えず俺は返事を返す。
《そうですか。それはいい人に巡り合えましたね。自分も昔は閉ざされた生活というか悲惨な生活をしていましたが、ある事がきっかけで今は爽快な生活ができています》
《それは素晴らしいですね。もしかしたら私達似た者同士かもしれませんね。......あの、もし良ければ......お付き合いを前提にお会いしませんか?》
まさかの急展開に俺たち全員がスマホに身を乗り出す。似た者同士と言う点が好感度に影響を与えたのだと。
でもまてよ?実際にメールを打つ相手は俺でも会う人はヒーリング会社の社員だよな。今更だけど、これ騙してないか?
「なあ湯江。これって騙してない?実際に会うのは俺じゃないんだよな?」
俺は心で思った事をそのまま湯江に言ってみた。
「大丈夫バイ。その選ばれた社員には口裏を合わせて置くバイ」
だからそれ騙してんだって!!
おいおい、と思いながらも、これも少子化のためだと思い俺はなんとか気持ちを切り替えマイとの提案を受け入れる事にした。
《ええ、是非会いましょう!》
俺は心の中でなんども、『ごめんなさい』と謝罪しながらも文字を打っていく。
《それでですね、場所は......
《場所はヒーリング会社で良いんですよね。分かってるから大丈夫ですよ》
えっ!?なんで!!?
俺が文字を入力している途中にすぐさま返信してきたマイ。しかも内容が明らかに可笑しい。なんで俺がヒーリング会社と言うのが分かったんだ。
《あの、なんでわかったんです?》
俺は恐る恐る文字を打っていく......すると。
コン、コン。
返信してから3秒程経つと不意にドアからノックする音が無音の部屋に響く。
全員がビクンと身体を跳ね上がらせると、各々が動揺した面持ちでキョロキョロと見合わせていく。
俺はなんとか意を決して立ち上がり、ドアにゆっくりと近づいていく。
「......はい......」
引きつった面持ちで俺はゆっくりとドアノブを回すと......。
「お待たせしました。......さあ、ハジメ......ゆっくりと語り合いましょうか」
なんと、目の前にいた人物はレイナだった。そしてレイナはなぜか笑っているようで、その身体からは歪んだ黒いオーラを纏っている。声のトーンからしてもどことなく冷気を帯びているような感じだった。
これは間違いなく怒ってる。そして確信した。先程のマイと言う女性はレイナだと!!




