第88話 驚愕の真実、まさかドンが......。
日が沈むように場の空気が暗くなっていく中、湯江はこれではいかんと言う意気込みで顔をブンブン左右に振るともう一台のスマホをテーブルにスッと置く。
「さあ、気を取り直して次に行くバイ。ほら、次はドンバイ。いつまでお菓子に夢中なんだバイか!」
湯江の横でポカンとしたドンはムシャムシャと口の中で噛んでいたお菓子をゴクリと勢いよく飲み込む。
「分かったよ。じゃあ次は俺の番な」
ドンはスマホを手に取りお菓子の食べかすを手の甲で拭いながらタップしていく。
「ど・ち・ら・に・し・よ・う・か・な・か・み・さ・ま・の・い・う・と・う・り」
真面目にやれっ!
ドンは真面目に選ぶ気も無く指先で誰に選ぼうかまさかの神頼みでアプローチを掛けようとしていた。
「よしこいつだ!」
選んだ相手は......えっ!?男!!!?
「おいドン、そいつ男だぞ」
さすがに男が男にアプローチを掛けるのは可笑しいと思い、俺はドンに指摘する。
「何言ってんだワン兄。なんで俺が男を落とさなきゃいけないんだよ」
「いや、益々意味が分からないんだけど。ドンは男だろ。普通は女性にアプローチを掛ける物なんだぞ。こう言うサイトは」
思わず怪訝な面持ちになる俺を横に、ドンもまた怪訝な面持ちで俺を見つめる。
「あれ?言ってなかったっけ。俺、女だぞ」
............
......
えっ?
女?
ドンが?
一同 「えええええええええええ!!!!!」
ドンが女性と言う事にドンを除いた俺たちは全力で奇声を上げながら狼狽する。
いや、待て待て!確かにドンの性別は確認した事ないけどまさか......でも声は女の子みたいに可愛いし容姿を見ても女性とも思えるから......ああっ駄目だ!混乱してきた!!
困惑する俺たちを横にドンは何で皆こんなに取り乱しているんだろうとポカンとした面持ちでいた。
「とにかく、俺は女にアプローチ掛ける気はないからな。そっちの趣味は無いんだし。いいよな湯江?」
「えっ!?......ええ、問題ないバイ。ここにも女性社員もいるバイから」
湯江は困惑しながらも問題ないとドンにOKを出す。
それを確認したドンは再びスマホに目を向け不器用ながらも文字を打っていく。相手はメルヘンと言う男性だ。
場の周りは戸惑いの渦が巻いてるままドンはアプローチを掛ける相手を決めた。
《よっ!俺はドンだ!よろしくな!》
《あらっ貴方、私にメールするなんて勇気あるじゃない。しかもあんた女でしょ!私みたいな男にアプローチ掛けるなんてお門違いよ!別の男にしなさい!》
相手の男性の謎の文面に俺は首を傾げる。
その男性にメールを拒否されたドンは何故か逆上し、そんな相手などほっとけばいいはずが、ますますムキになって返信しようとする。
《ふざけんな!お前男だろ!!どうせ彼女いない歴40年とかそんな奴だろ!今のうちに俺の誘いを受けておけ!じゃないと死ぬまで一生童貞だぞ!!》
《なんて下品な女なの。どうせあんたみたいな女なんて碌な人生じゃなかったんでしょ。大方、裏社会からこぼれ落ちたカタギでしょ》
ズバリ的を射た相手の男性の文面にドンは引きつった顔でしばし硬直する。
《別にいいだろカタギでも、今は真っ当に生きようとしてるんだから》
ドン!いくら何でもオープンにしすぎだ!!
ていうかドンから切ない感情が表情から漏れ出てるんだけど......大丈夫か?




