第87話 求めドМ!肉好きのメイ
クイーンとのメールを断念したダイスはどんどん海底に沈没していくような感じだった。そんなダイスを見て俺は苦笑いするしかなかった。シルビーは隣で口元を手で押さえながら笑いを堪え、湯江はこれは仕方ないと、きっぱりとした泰然とした様子。ドンは相変わらずお菓子を満面な笑みで頬張っていた。
「では気を取り直して次にいくバイ」
「じゃあ今度は僕の番だね」
シルビーは嘆いているダイスの横に置いてあるスマホを片手に慎重にタップしていく。
そして一人の女性に目を付けると、すかさずアプローチを仕掛ける。
《こんにちは、僕はシルエットと申します。もし良ければ貴方の時間を少しばかり僕に分けてくれませんか?》
《ハッアーーイ!!いいですよーーー!!!私はメイって言います!!!よっろしくね!!》
メール越しでもやたらとハイテンションと分かるメイと言う女性はあっさりとシルビーとのメールを承諾する。
シルビーは眉一つ動かさず淡々とスマホをタップしていく。
《メイさんのご趣味はなんですか?》
《私の趣味は空手よ!拳が肉に触れ、打撃を与えた感触がなんとも言えないぐらい私に未知の快楽を与えてくれるの!ちなみに殴る箇所で一番好きなのは顔面ね!直接、肉に触れるポイントとしてはうってつけな箇所なの!!》
やばい、思った以上にサイコパスだこの人。
シルビーはスマホから距離を取るぐらい引いていた。
無理もない。メイと付き合える相手がいるとしたらそんなん生粋のドMぐらいだ。
シルビーは頬を引きずるような面持ちでどうしたらいいか湯江に視線を向ける。
「だっ、大丈夫だバイ。その人に適応した人材も我が社にはいるバイ」
さすがの湯江も引いていた。
と言うかいるんかい!そんなドM!!
《それは中々の性癖をお持ちで、個性は大事ですからね》
額に嫌な汗をかきながら文面をタップしていくシルビー。
《それはそうと、私と付き合うなら年収一億ないと無理だからね!!それから一日10回は股間を蹴らしてね♪♪私もそろそろ新たな扉を開きたいの!!》
なんかここ一体の町が少子化な理由が分かった気がする。こんな金やら性癖が滅茶苦茶な人たちと付き合うどころか、ましてや結婚なんて論外だ。
バキイインッッ!!!!
なんと湯江はその文面を見るや否や物凄い勢いでシルビーの持っているスマホを取り上げ地面に叩きつけた。そしてスマホは見るも無残な分解されたような壊れ方をしていた。
「はあっ、はあっ、全く!見るに堪えないバイ!!ここいらの女性は一体どうなってるバイ!!」
全く持ってその通りで。
メイとメールをしていた当のシルビーは、憔悴しきったかのようにぐったりとテーブルに凭れ掛かっていた。




