表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君の為の進行劇  作者: ラツィオ
78/111

第78話  職務を終え


 ......良かった......本当に良かった。


 俺は目の前で再開を果たせた田辺親子に涙した。涙腺からゆっくりと大粒の涙が溢れ出てくる。


 「お二人とも本当にありがとうございました。なんとお礼をしてよいやら」

 「ヒーリング会社に支払われた依頼領分の仕事をしたまでだ」


 1000万も負担するのによく言うよ。お人好しだな光輝は......


 俺たちはそこで最後の別れの言葉を掛け合った。離れながらも俺は田辺親子に大きく手を振りそれに大きく手を振り答える田辺親子。光輝は柄じゃないのか背後を背に片手だけを上げ応える。そして視界に入らなくなった時には俺も前を向いていた。


 「さてこれで仕事は終えたわけだ。このままヒーリング会社に行くぞ。東条の仲間も戻っている頃だろうしな」

 「うん。そうだね」


 そのまま道中を歩いていると......


 「ハジメーーーーー!!」


 聞き覚えのある声で俺の名前を背後から叫ぶ人物。


 ギョとして振り向いた俺の視界に入ったのはメイド服を着たレイナが駆け足でこちらに向かってくる。どうやらメイド喫茶の仕事を終えたらしい。そしてその後ろからは普段のメイド服姿のキャンシーが平然とした姿勢で後をゆっくりと付いてくる。


 「良かったわ。一のはどんな仕事か分からなかったから心配していたのよ。大丈夫?怪我はない?」


 息を切らしながらも俺の安否を気に掛けるレイナ。レイナからフワァとした甘い匂いが俺の鼻孔をくすぐる。それにしてもレイナのメイド服姿はあまりにも妖艶としていた。ミニスカの黒と白のメイド服。ふくよかな胸を強調する様にデザインされた大きく開いた胸元と、白いストッキングで隠された足は視線を釘付けにする色香を漂わせる。マジで目の保養だ。俺もレイナに接客されたかった。


 「うん大丈夫だよ」


 俺は視線を泳がせながら、ぎこちなく答えた。レイナは俺のぎこちなさにキョトンとした目線を向ける。


 「お疲れ様です一様。息災そうで何よりです。......そちらの殿方は?」


 追いついて来たキャンシーは俺を気遣うと、光輝の存在が気に掛かっていた。


 と言うか名前なんて聞いたらまた俺みたいに殴りかかるんじゃ!


 俺は光輝がレイナやキャンシーに殴りかかるのではないかと警戒心を強める。


 「泉 光輝だ」

 「初めまして。私はレイナ・ロンドと言います」

 「わたくしはキャンシー・ピークと申します。以後お見知り置きを」

 

 どう言う訳か殴り掛からなかった光輝は、素っ気ない一言で自己紹介を終えるとレイナとキャンシーは深沈な面持ちで答える。


 理由はどうあれ俺はホッと胸を撫で下ろしていた。


 「光輝はヒーリング会社から受注していた仕事の請負人で、今日の俺の上司みたいな人なんだ」


 仕方なく俺が光輝との接点を軽く説明する。

 

 「そうだったのですか。今日は一様がお世話になりました」

 「仕事だからな」


 キャンシーがペコリとお辞儀をしても相変わらず光輝は素っ気なく返事をする。


 基本、光輝は冷然な姿勢だから仕方ないよな。


 「そうだったのですね。それでお二人とも職務を終えたのですか?」


 話を戻したキャンシーはどうだったのかと首を傾げる。


 「うん、そうだよ。これからヒーリング会社に戻るんだ」

 「なら一緒に帰りましょう。私たちも今日の職務は終えたので」


 にっこりと微笑むレイナの顔を見ると俺は今日の疲れが一気に吹っ飛ぶのを感じていた。

 

 仕事帰りのサラリーマンを暖かく迎え入れる新妻のように思える。


 「そう言えば一のお仕事ってどう言う内容だったの?」

 

 歩き出した俺の横でレイナは首を傾げる


 「うーん、話すと長いから後で教えるよ」


 流石に行方不明者を探し、人外と戦って、女の子を蘇らせたなんて公衆の場で言う訳にいかないから保留する事にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ