第66話 償い?
「何も全て引き受けろと言う訳ではないバイ。この3つの内の1つを選び貴方たちの中から1人がその仕事を受けるバイ。残りの人たちは、あちきの独断と偏見で仕事を人選するバイ」
俺たちの中の1人がこんなやりたくもない3つの内の1つの仕事を引き受けろと言うわけか。
「ちなみに汚物掃除とは具体的にはどんな内容なんですかね?」
シルビーは冷や汗をかきながら恐る恐る聞いてみた。
「人間や動物から出た廃棄物とだけ言っとくバイ」
湯江の冷たい声に、俺たち全員は言葉が出来ない程、最悪な想像してしまった。しかしドンだけは涼しい表情していた。流石は元マフィア。
「フフフフフッ、どうやらこの中で誰がこの仕事をやるかは決まったようさ」
何故かダイスが不敵な笑みを浮かべ俺たちの方を見る。......もしや......。
「ここで私はさっきのトライアルアウトの命令権を使い、敗者であるシルビーにやってもらうさ!」
あっ、やっぱり。
ダイスが人差し指をピーンと伸ばしシルビーに向けるとシルビーは息を詰まらせたみたいな表情で酷く青ざめてしまい、その場で頭を抱え込んでしまった。
可哀そう、ほんと可哀そう。
俺はシルビーに深海よりも深い底から同情し、心の中でエールを送る。(頑張れシルビー)
そしてシルビーの3k職場に反対する者は誰も居なかった。理由は言うまでもないよね。(ごめん!ホッとしたから!)
「それでシルビーとやら、この中から何を選ぶバイ?」
「......汚物の掃除で......」
シルビーは枯れたような弱々しい声を出す。
麻薬とか死体関連だと法に触れそうだしね。消去法だと思う。
「それでは残りの仕事の人選ですが貴方たち女性にはメイド喫茶で働いてもらいます。それからそこのちっこいのはヒーリング会社の清掃をしてもらいます」
「おいっ!誰がちっこいだ!お前の方がチビだろ!」
ドンはちっこいと言われた事に激怒し、身を乗り出す。
「なんでちか、もし嫌ならその紙に記載されたどれかをやってもらうバイ」
「上等だ!俺は元マフィアだ!こんなの屁でもないぞ!」
バチバチと火花が出るように、いがみ合うドンと湯江。
「お二人ともどうか穏便に、それにドン様もマフィアから足を洗ったのなら普通の清掃で出来る正当なお仕事の方がよろしいかと」
キャンシーが穏やかな声でドンを説得するとドンは『チェッ』と不貞腐れながらも渋々と納得した。
「では続いてそこのいけ好かない男はそのシルビーの補助をするバイ」
そう言って湯江が指名したのはダイスだった。
「えっ、なぜ私さ!?」
「単に気に入らないからだバイ。それとも残りの麻薬の搬送か死体の処理でもするバイ?」
優江の独断と偏見による決定にダイスはテーブルに頬をぶつける勢いで深々と沈み込む。
「そしてそこのイケメンはある男と合流して仕事をしてもらうバイ。目的地はここだバイ」
そう言うと湯江は一枚の紙に書かれたこの周辺の地図を俺に渡してきた。俺はその地図に記された目的地を確認するとここからそう遠く離れていないブローダ―と言う店だった。
「このブローダ―てなんの店?それとある男って誰なの?」
「ブローダ―と言うのは飲食店だバイ。そしてその男の名前は知るにはその男自身からテストを受ける必要があるバイ」
名前を知るだけでもテストがあるとか意味が分からない。何かしら深い事情があるのかな?それにしてもロボット犬の為にここまでするとなると湯江にとってチロルは余程かけがえのない存在なんだろうな。
「......チロルがいないとあいつを殺れないバイ......」
「お前ロボット犬なにに使ってんだ!!」
チロルがいない不在間に、喪失したような声で物騒な事を口にした湯江。俺は悲しみに憂いそうになる自分を脱ぎ捨てた。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
償い?はここで終わりです。
引き続き書いていきますのでよろしくお願いします。




