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君の為の進行劇  作者: ラツィオ
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第64話 与えられた責務


 その幼児は、おかっぱ頭で愛くるしい瞳をした女の子。なまった口調がとにかく印象的だった。片手に幾つかの串刺しにした肉を持ち、パクリと頬張る。


 「モグモグ、それより六車(むしゃ)、あちきまだ食い足りないバイ。なんとかならん?」

 「少々お待ちを湯江様。直ぐにこの場を清掃しパーティーを再開致しますので、その際には精製した食事をお持ちいたします」



 先程の小太りの中年男性、六車に、キョトンとした面持ちで頼む湯江にハンカチで汗を拭きながら懸命に頭を何度も下げながら答える六車。


 それにしてもあんな子供にペコペコ頭を下げる上に馬鹿でかいビルに周りの湯江以外の人間がスーツ着てるって事は、あの湯江って子は社長の子供かなんかかな?


 「ああ、それと貴方たちは服装から見て異星の人たちだバイな。とにかくその宇宙船をどかすだバイ。それからこの騒動を起こした責任を取ってもらう為、このパーチ―が終わるまでの間、謁見の間で待機してもらうばい。ヨロチイバイな?」

 「ああ!?なんでガキのお前にそんな事指図されなきゃいけないんだ!ぶちのめすぞ!」


 だからマフィア感だすのやめてくれドン!どう見てもこの現状、俺たちの責任だから!


 「控えろ貴様ら!このお方はヒーリング会社の社長であらせられる湯江様だぞ!」


 お前が社長だったんかい!!


 六車の一喝に、俺は思わず仰け反りそうになる。


 「はじめまして湯江様。私はダイスと言う者です。無礼を承知でお聞きしたいのですが、ヒーリングと言うからには私達には何かしらの慈悲があると期待してもよろしいでしようか?」


 先程の逃げる様子はどこに行ったのやら一転して靦然(てんぜん)たる姿勢に切り替わるダイスに俺はずっこけそうになる。交渉のつもりか?流石に図々しくない?


 「もちろん、貴方たちに可能な返済プランを提案するバイ。もし拒むのであれば容赦なくケイチャツ(警察)に突き出すバイ」


 えっ、返済プラン?良くわからないけど強制に仕事させるって事?ダイスじゃないけどヒーリング感あんま感じないのは気のせい?


 「でも安心するバイ。ここで被害にあったのは良くて料理やテーブル類ぐらいだバイ。だからそんな無茶難題なプランは」

 「大変です湯江様!湯江様が大切になさっていたチロルが下の湯江様のお部屋で息を引き取っております。恐らく先程の衝撃でショック死したのかと思われます!」

 「なんでちとーーーーーーーーー!!!」


 別の社員が扉から入ってきてチロル?と言う何かが息を引き取ったと知らせに来た途端、湯江はガビーンとしたリアクションで膝から崩れ落ちていた。


 何か嫌な予感がすると大量の冷や汗が俺の全身からブワッと溢れ出て来た。他の皆も顔を青ざめながら茫然自失と化していた。


 「......どうやら貴方たちには......死をもって償わなければ、いけなくなりまちたバイ」


 ヒーーーリンーーーーグーーーーーー!!


 俺はこの時、心からヒーリングを受けたいと熱望していた。

 

ここまでお読みいただきありがとうございます。

与えられた責務はここで終わりです。

これからもよろしくお願いします。

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