第61話 初めての宇宙旅行 4話
歌い終えたキャンシーに、おーーーと歓声を上げ拍手する俺たち、キャンシーは少し頬を赤めながら一礼して座った。
「じゃあ次は俺だな!」
キャンシーの美声の余韻に浸りながらなのかドンの顔色は少しおっとり乙女の様な表情だった。そのままボックスの紙を一枚手にする。
「なになに、嫌いな相手を攻撃する......。くたばれーーー!ダイスーーーー!!!」
先程の余韻に浸っていたのどこに行ったのやら。一変してダイスに牙を向け攻撃に転じ拳を叩きこむ。
「甘いさ」
しかし当たったと思いきやその拳はダイスの幻影だった。ダイスの顔をすり抜けたのを見たドンはうわっ、と困惑していた。
「私はいついかなる時もその場で幻影へとなることが出来るのさ」
俺の背後で不と聞こえるダイスの声に全員がダイスの方へとギョっと視線を向ける。ダイスも四賢者なだけあって一級品な能力を保有していた。
「こうなったら!」
ドンはすかさずマジックバンの構えを取る。
「ドン!もうよせって!さっきの攻撃でもう十分だろ」
俺はドンを宥めドンは悔しそうな表情で不貞腐れながら元の場所に戻る。
「さあ次に行こうか。一君の番さ」
俺はこの人はと呆れながらも苦笑いしボックスに手を伸ばす。
「えーと、ここにいる全員を下僕にする。......出来るか!こんなの現実的じゃないよ!!」
「いや、実際にリアルではある事だからさ。それに、下僕の最低限の条件である複数の人間がいると言うのは既に満たしてるさ。つまり現時点では可能な命令なのさ!」
「そんなの絶対におかしい!......はあ......」
俺の抗議はダイスに、透かさず反論されてしまう。虚しさに打ちのめされた俺は奥歯を噛みしめながら青いカードを裏返す。
「誰ですか!こんな最低な命令を書いたのは!?名乗り出なさい!!」
常識外れの命令に、レイナは堪忍袋の緒が切れたかのように激怒する。しかし俺はただ、ただレイナの目を申し訳なさそうに向けられずにいた。他の皆も気まずそうな感じだった。やはり勝つためにはある程度、無理難題の命令を書くの戦術の内なのだ。しかしダイスだけはニマニマした目線をレイナに向けている。
「レイナ様。このゲームは相手を貶める為のゲームと言ってもいい。だからこそ無理難題な命令を書く者も要れば、自分に当たった時の為にどこまでリスクを抑えた命令を書くかの二者択一と言ってもいいゲームなんですよ」
シルビーが冷静にレイナを説得する。そしてレイナは切なそうな面持ちでいた。
「私は少しでも皆様と楽しもうと思ったのです。それに窓を見てください。この輝かしい星々で満ち溢れる広大な宇宙を、清らかな心で居座れると言う物です。なので私は!」
「レイナ様。どれだけ抗議してもレイナ様の番は変わりませんよ。さあお引きください。さあ!さあ!さあ!!」
「うっ!」
ダイスの圧力に、レイナは無念そうな面持ちでその場で重々い腰つきで座り込む。
と言うかレイナ。今の抗議はもしかしたら負けるのが嫌でこのゲームから抜け出したいと言う思惑でもあったからかな?......まさかね......。
「......では......引きます」
憂鬱な面持ちでレイナはボックスに手を伸ばす。そしてその引いた一枚には......。
「......全裸になる......」
ビリッ!ビリッ!ビリッ!ビリッ!
まるで親の仇の様な怒りの矛先を紙に込めた破り方をするレイナに、俺たちは恐怖する。
「今すぐこれを書いた不届き者は名乗り出なさい!!」
「そんな事を言っても駄目ですよ。さあレイナ様。青いカードを伏せてください」
「ムムムムムッッ!」
激怒するレイナを冷静に笑顔で諫めるダイスに、レイナは頬をパンパンに膨らませ青いカードを伏せた。
それにしてもレイナの全裸か......。うおーーー!いけなーーーい!こんなこと考えちゃ!!
思春期真っ最中の俺は脳裏にレイナの全裸をイメージする。しないを何度も繰り返し卑陋な己と戦っていた。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
初めての宇宙旅行が長々と続きすいません。もう少し続きますので何卒よろしくお願いします。




