第58話 初めての宇宙旅行
ドンは歯をキリキリ噛みしめながら猛獣の様に睨みつけていた。でも愛くるしい風姿でもあるせいかダイスの言う通り何かもったいない気がする。
「君のギャップ萌えに敬意を表してサクッと教えようか。ルクシス星にその重大な手掛かりはある」
「......えっ、終わり?」
「ああそうだよ」
あまりにも短い上に、中身がない説明に俺は唖然とする。
「行ってみれば分かるよ。ちなみにそれはゼファイアに関する情報だ」
「ゼファイア!!」
その名前に俺たちは驚愕する。
「まあ君の情報だから信じるよ。ただ行く手段だがね。僕の転移では無理だね」
どうやらシルビーの転移は極端な長距離は不可能らしい。ブラスタ星からだとかなりの道筋のようだ。
「そう思ってここに宇宙船を手配しといたよ。これで一つ貸しだからねシルビー」
「はあー、わかったよ。でもありがとう助かったよ」
大きいため息を吐くシルビー。そしてしばらくしてから宇宙船がやってきた。巨大な円盤の形状で七色に色分けされ宝石のように眩しい輝きを虹色の様に放つ。俺はその眩しさに思わず目を伏せる。
「宇宙船の名前はロンデニウム。ロンデニウムにはボルテクトが使用されていてさ。ちなみに費用は新王が『シルビーから差し引いといた理由は100年も賢者の椅子を空けていた罰だとでも言っておけ』だってさ」
「そんな理由でかい!!」
膝から崩れ落ちそうなるシルビーに俺は心咎める思いで目を瞑るしかなかった。宇宙一硬い金属なんて嘸かし高いんだろうな。聞かないどこ。
シルビーの足取りが重いまま俺たちはブラスタを旅発った。ルクシス星までの間ダイスも同行する事になった。
入ったロンデニウムの内部は一流ホテルのようなイメージだった。綺麗に磨かれた床や壁、ふかふかのソファーなどが配置されている。テーブルの上にはワインやそのグラスまでもが置かれていた。
「......どれだけ掛かったんだい」
豪華な内装に冷や汗が滝の様に流れ続けているシルビー。
「ヒ・ミ・ツ」
人差し指を口に当てたダイスのウインクにイラっとしたシルビー。
テーブルの近くに寄ってみるとその上にはワインやグラス以外にもボックスの様な箱に、そして青、黄色、赤の三色のカードがあり、白紙の紙が三枚と筆が俺たちの人数分がセットで並べられていた。
「ダイス様。これは?」
神妙な面持ちでキャンシーが答えるとダイスはほくそ笑みながらテーブルの前に立つ。
「どうせ長旅になるんだからそれなりの娯楽を提供しようと思ってさ、みんなで今からゲームをしよう。名付けてトライアルアウト!」
「何それ?」
ダイス以外がクエスチョンマークで固まる。
「まずはこの白紙にそれぞれの要望を書く。書いた紙をこのボックスの中に入れ順番にランダムで一枚づつ引きその書かれた要望を実行する。そして出来なければ青、黄色、赤の順にカードを伏せていく。つまり三回その要望に応えられなかったらその人の負けと言うシンプルなゲームなのさ」
「へえー面白そうだな。ちなみに勝ったらなんか貰えたりするのか?」
ドンが純粋な眼差しで興味をそそられていた。
「勝てば負けた相手からどんな願いでも応じるの事さ」
そんな危険な賭けなんでこんなアットホームな状況でやんなきゃいけないんだ!ルクシス星に着くまで英気を養わせてくれよ!
満面の笑みで語るダイスに全員がどんよりとした暗い面持ちで立ち尽くしてしまう。




