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君の為の進行劇  作者: ラツィオ
45/111

第45話 宣言、次なる破壊者 2話


 あれだけ賑わっていた会場が静まり返っていた。漆黒の覇者の幹部がまさかの敗北に誰しもが想像していなかったからだ。


 「やりましたわね」

 「ああ、そのようだ。ただ僕たちにも影響でるんだね」

 「かっ、身体が......」


 シルビーとレイナはバッチンの影響の余波で少し悪寒が走り身体を摩っていたが俺は未だ身動きが取れず身体を震わせ悶えるしかなかった。


 「おーい、ワン兄ーー!」


 満面の笑みで俺たちの所に戻ってくるドン。


 「なんだよ、それまだ解けてなかったのか。ほらよ!」


 シルビーとレイナの間を割って入りホバゼリーを勢いよく剥がしとった。


 「キュッ、キュッ!」


 剥がしとられたホバゼリーはスライムの様な物質になると元気よく飛び跳ね地中へと潜りその場を去っていった。

 

 「ありがとうドン」


 俺がドンにお礼を言うとドンはにっこりと笑う。


 「そうだ!キャンシーは!?」


 キャンシーの方に目を向けるとまだぐったりと横たわっていた。俺たちは急いでキャンシーの元へ向かう。


 「おいっ、キャンシー!しっかりしろ!」


 俺はキャンシーの身体を抱きかかえ揺さぶるとキャンシーの意識が徐々に現実へと向かっていく。


 「あっ、うっ、......一様......私は?」

 「もう大丈夫だよ。俺の仲間たちが助けてくれたんだ」

 「そうでしたか。皆様、助けて頂いてありがとうございます」


 俺たちはキャンシーのお礼に笑顔で答える。


 「お前たちよくもここまで派手に暴れた物だ」


 不意に聞こえる若い男の声が俺たちに敵意を感じさせる。その声の主は観客の中にフードを被り紛れ込んでいた。そして観客たちはそのフードの人物から憂懼を抱き離れていった。

 

 「何者です!」


 レイナが鋭い眼差しを向けるとそのフードの人物はニヤリと笑いフードを勢いよく脱ぎ捨てる。


 「俺はゼファイア。この世を新たに統治する全知全能な覇者だ」


 「ゼファイアって漆黒の覇者の王だよな。つまりあいつが(トップ)て事か!?」


 まさかのラスボスの登場に、俺たちは困惑し動揺していた。赤い髪に真紅の瞳。端正の顔立ちをした若い男。しかし人を纏めるにしてはどこかゆとりを感じさせる形相をしていた。


 そしてゼファイアは俺たちの前に飛び立った。


 「そう警戒するな。なにも報復しようとかそういう訳じゃねえ。むしろ面白いもん見せてくれた礼に今回のお前らの()()はクリアで良い。」

 「課題?」


 俺はなんのことかと首を傾げる。


 「新王に向けて書いた手紙に東条一が参加しなければ10の星を危機に貶めると言う条件だ。お前は今大会に参加しこの俺を楽しませ、さっき見せたサプライズに敬意を表して見逃してやるって言ってんだ。ついでにキャンシーの異能もそのまま引き継がせてやる。お前にも楽しませてもらったからな」


 そういうとゼファイアはキャンシーに手の平を向けるとキャンシーの身体の周りから鎖の様な物が浮かび始めていく。キャンシーの身体に纏わりついている鎖はパリンと音を立て粉々に砕け散った。


 「鎖が巻き付かれていたなんて、今までなんの違和感もありませんでした」

 「お前に授けた異能は力を拘束する封印術付きでな。しかしその封印が解除されればもう二度とお前の異能を拘束する事は出来なくなる。これでお前は自由だ」


 キャンシーは自分の身体に戻って来た異能に呆然とした面持ちで感じ取っていた。


 「なあ、あんたならさっきの守をどうにかしてやる事は出来ないのか?」

 「そいつは無理だ。いちど死んじまえば、そいつはそれまでだ」


 素っ気なく返すゼファイアだったが俺は言葉が出てこなかった。キャンシーたちは決して悪くはないがあんな条件付きで出場したと思うと歯がゆい思いしかこみ上げて来なかった。


 「唐突で申し訳ありません。私はシルビー・クラウン。ゼファイア殿、貴殿の目的はなんなのですか?この先いったい何をお求めで?」


 シルビーの問いかけにゼファイアはニヤリと不敵な笑みを浮かべる。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

宣言、次なる破壊者はここまでです。

次回からもよろしくお願いします。

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