第36話 リモコンによるチート戦法
静かさなど感じられない歓声の中、スポットライトを浴びた俺の足取りは以外にも落ち着いていた。そして巨大な舞台の中央に立つイザベラは俺にニヤリと不敵な笑みを向ける。俺は改めて敵地の中心部にいる事を強く実感する。そして俺は舞台の上に立つ。
「対する選手はこの方!レフトコーナーー!彩柄ーー、守ーー!!」
俺の前の両開きの門が地鳴りのような音を立て左右に開くと軽快な足取りで入場する一人の男。白い白衣のコートに黒いサングラスを掛け短髪の逆立った髪をしていた。俺たちは中央にいるイザベラを挟むように間隔を開けて立つ。
「君が対戦相手かい?お互い不幸か幸福か知らないがこの世界の恩恵を受けた物どうし仲良くやろうよ」
相手の守はかなり陽気なキャラだった。それが逆に、俺の中の警戒のベルを激しく慣らす。
「ではルールを説明させていただきます。この大会ではあらゆる武器の使用が認められます。しかし相手による精神攻撃は禁止とさせて頂きます。よろしいですね?」
よろしいも何もこいつらの開いた大会なんだから従うしかないだろう。精神攻撃が禁止と言う事はゴッドブレスのような精神を干渉させる攻撃は駄目って事だよな......仕方ないな。
「ああ」
「オーケイ」
イザベラの淡々とした説明に俺と守は相槌を打つようにコクリと頷く。そしてドラムロールが軽快に鳴り始めた。
「――それでは参りましょう。第一試合、東条一VS彩柄守......ハジメーー!」
イザベラの開始の合図と共にドラを叩くゴングの音が会場全体に鳴り響くと更なる歓声の雄たけびが湧き上がる。治まっていた俺の緊張と不安が徐々に増していくのを感じる。そしてイザベラはリング外へとテレポートする。
不安と緊張で硬直しそうな身体を耐えながら俺は守の前で戦闘の体制を取り動きを観察する。すると守はポケットから何やらリモコンのような物を取り出した。
「その体制から見る限り君は接近戦タイプのようだね。でも俺は俺のフィールドで戦わせてもらうぜ」
守は手にしたリモコンのボタンを押すと、俺の目の前に7メートルの巨大なゴーレムが出現する。突然の事に俺はギョっとした視線をゴーレムに向ける。
「まずは小手調べだ」
守がそう口にするとゴーレムは俺に向け拳を振り上げて来た。
「危ない!」
俺はゴーレムの拳が当たる瞬間に後ろに勢いよく下がる。そして地面に強く叩きつけられた拳は地面を抉る程の威力があった。
「ハジメー頑張ってーー!!」
「やっちゃえ!ワン兄ーー!!」
「ガンバレー!ハジメ君!」
湧き上がる観客の歓声から混じったレイナとドンとシルビーの声援が俺の耳を過る。俺は軽く背後を振り向くと、レイナとドンとシルビーが懸命に応援してくれていた。それを見た俺は不思議と身体に力が沸き起こる。先程の緊張が嘘のように身体から抜け落ちていくのを感じていた。




