第24話 新王を超える存在 5話
「それにしても、俺が3カ月前この世界に現れてから、なんで直ぐにここに呼ばなかったの?」
「600年も誰とも関わっておらぬとな、どのように接していいのか分からなくなるのだ。ましてや一は異世界人であろう?この世界の外来のものであると思うと、なおさら会う決心が付きにくくてな。一言でいえば人見知りと言う奴だ」
思い人に傷つけられ、そこからの長い月日が今のラムダに至ったのだろう。それにしても失恋で600年間こんな山の中に引き籠るとか正気の沙汰じゃないな。超王だからかな。そんなわけないか。とんでもないガラスのハートの持ち主なんだろうな。
「俺は、異世界人だけど普通の人と変わんないよ。だからそんな、頑なに考えなくても大丈夫だよ」
「そ、そうか。で、どうだ。先程言ったように我も連れって行っては、くれぬか?その条件と言う訳ではないが、我の半身とも言えるその超気は、一にやろう。一に我の超気が宿ったのも何かの運命だろうしな」
俺は、有りの儘の気持ちをラムダに言うとラムダは少し戸惑っていた。
「わかった。一緒に行こうラムダ。これから宜しくね」
なんの迷いもなく俺は、ラムダに一緒に行くことを了承した。ラムダは、ホッとした様な表情だった。
「そうか。礼を言うぞ一」
「良いよお礼なんて。それより俺は、リベリオンを助けたいんだけど」
「任せろ。ここから我が現地までテレポートで移動させよう。だがその前に一に幾つか魔法を教えよう。超気を身に着けている一になら容易く習得できる」
ラムダは、身を乗り出し俺の身体をまじまじと見る。
「ど、どうしたの」
「今更だが我は、零体。故にこのまま人の中に入ると面倒な事になる。そこでだな、我を一の身体に憑依させてはくれぬか?」
「別に良いけど、俺の身体は、大丈夫なんだよね?」
「安心せい。何も害はない。それと一のプライバシーを脅かす事もせぬと約束しよう」
俺は、ラムダの提案にコクリと頷く。
「わかった。じゃあやって」
「では、ゆくぞ」
ラムダがそう言うとラムダの零体の目と鼻と口が、一つの紅色の玉のような形に変わり俺の身体にスッと入った。俺の身体に未知な力を感じる。暖かくて力強い。これが超気らしい。
「どうやら我と一体化になったことで一の超気が覚醒したようだな。我が他者の身体に入っても影響は、ないのだが一の超気は、別なようだ」
俺の脳に直接響く声にビクンと身体が反応する。その声の主は、言うまでもなくラムダだ。
「うわっ、びっくりした!」
「すまぬな。急に声を掛け。それより一よ。貴様の目から見てこの世界は、どう映る?」
不意なラムダの質問に俺は、どうしたんだろうと首を傾げるが、その問いについて真剣に考えてみる。
「生前の頃の俺だったら。世界は、敵その物だったよ。生まれて来た俺は、まるでその世界の不純物の様に思えた。でも今は、違う。みんなと必死に生きている。だから、世界に答えを求めないくらい今は、みんなと必死に生きたいんだ」
「......良い答えだ。ではゆくぞ一。ここからは、我も友だ」
ラムダの言葉に俺は、不思議と笑顔になる。形は、違えど、心に痛みを抱えた同士、気が合うのかもしれない。そしてラムダは、旅立つ前に幾つか俺に魔法を教えてくれた。
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新王を超える存在は、ここで終わります。
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