第14話 兄弟誕生!ワン兄とドン! 3話
飛んだ思考が徐々に落ち着きを取り戻していくにつれライアスは、涙を浮かばせ拳を握り打ち震えていた。
「私が間違っていたのだ! ドンには、家業のため冷徹で非道な道に進ませようとしたが、やはり可愛い親の子でいて欲しいと言う結論に至ったのだ。だから私は、ドンに再教育をしようと思ったのだ」
「やめろクソ親父! だからてめえは、勝手で好きになれねえんだ! それに俺は、家業なんてどうでもいいんだよ!」
俺とレイナは呆れて物も言えなかった。こんなのに付き合わせられたら身が幾つ合っても足りない。
「一、私達は、そろそろ参りましょうか?」
「えっ、う、うん、そうだね」
呆れていた面持ちをしていたレイナは、この馬鹿げたと思われる流れを断ち切ろうとした。それに俺は、右往左往しながら答える事しか出来なかった。
「まっ、待ってくれ! なあ、あんた、名前は、なんて言うんだ?」
「東条 一だけど」
慌てて俺を引き留めるドンに俺は、少し動揺しながらも答えた。
「ハジメか、ならワン兄、俺をあんたの舎弟にして、一緒に連れてってくれ! 頼む。このとうりだ!」
ドンは、俺に向け、額を地に押し付けるような土下座をした。俺は、更に動揺し、その場でぽかんと口を開けあんぐりしてしまう。
「ハハハハハ、良いんじゃねえか、仲間が増えてよ」
すると、陽気な高笑いをしてこっちに向かってくるゴンザレスの姿。どうやら逃げずに隠れていたらしい。
「ゴンザレス! ずっとあの建物にいたのか?」
俺は、目線を交渉の場で使われていた建物に向ける。
「ああ、二階からな。どうにも気になっちまってな。それでだ、悪いんだが一とレイ。お前らに話したいことがある。ちょっといいか?」
「......ええ、分かりました」
ゴンザレスの神妙な面持ちに何かあると察し、俺とレイナは、目を合わせ互いに頷き合うアイコンタクトをするとレイナが硬い面持ちでそう答える。
「なんだよ隠し事かよ! ......畜生......」
仲間外れにされたと思ったドンは、不貞腐れながらも最後に、へこみながら地面に吐き捨てるように呟いていた。俺は、そんなドンに憂いを含んだ眼差しを向ける。そして決心した。ドンを舎弟に、仲間にすると。
「来いよドン。 今日から俺たちは、兄弟だ。」
いままで、誰にも必要とされず、侮蔑や暴状の中で身を焦がし続ける事しか出来なかった俺の闇をドンが明るく照らしてくれたように思えたのだ。俺って単純だよな。
俺は、ドンに歩み寄り手を差し伸べると曇っていたドンの表情は、見る見るうちに明るくなった。
「あ、ありがとう! ワン兄ーーーー!!」
(違う、俺なんだよ。俺の方こそありがとうなんだよ)
ドンは、感涙を浮かべ俺に抱き着いて来た。その光景に誰もが驚愕する。
「いいのですか一?」
「うん。ごめんレイナ。勝手に決めて。でもドンは、決して悪い奴じゃないよ。今までの道のりが闇の深海のような場所で生きていただけで、これからは、日の出で暮らすんだ。だから大丈夫」
「ええ、そうですね」
俺は、感涙するドンの頭を愛しむように撫でながらレイナにそう答えるとレイナは、優しく微笑んでくれた。
こうして俺たちに新たな仲間が加わった。しかし後の俺たちは、知ることになる。シルバー家の引き継がれていた曰くを。
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