第108話 旅立ちの日
辺り一面、瓦礫で埋め尽くされたり、土煙が風と共に吹き抜けるなどした、芳しくない環境だが、俺とゼファイアはそんな中で和解したのだ。
「そう言えば光輝は!?今はどうしてるの?」
俺は安堵したせいか、我に返る様に光輝の安否が脳裏を過った。
「それなら......おい、泉光輝を釈放しろ」
ゼファイアはポケットから小型無線機を取り出し、光輝を釈放しろと呼びかける。......すると。
またまた巨大な光のワームホールが俺たちの前に現れると、一人の影がこちらに向かって下りてくる。
......光輝だ!
徐々に影から姿を現にしたのは光輝だった。その表情は切ない瞳で俺たちを俯瞰していた。そして地面に降り立つ。
「光輝!無事だったんだ!!」
「......どうやら終わったようだな」
俺は心から喜んでいたが、光輝は落ち着いた表情だった。まるでこの結末に対して冷めていると言うか、見越していたかのような、そんな冷静さが光輝からは感じ取れた。
「泉さん。もしかしたら貴方はこの結末を予想していたんですか?」
ゼファイアも光輝の表情から察したのか、俺も気がかりな質問をする。
「まさか、俺もそこまで策士じゃないさ。ただ、今のお前よりもハジメの方が信頼できたからだ」
初めて光輝に下の名前で呼ばれた事に俺は思わず心臓がトクンとなる。
......いや、そう言う意味じゃなくて。
「なら、そう言う事にしておきましょう。それにしても、貴方とは乖離したはずなんですがね、意外とショックなものですよ」
「素直になった分、前よりは、ましになったんじゃないか」
二人が事の思いを和らいだ表情で伝え合うさまを見て俺は心の底からホッとする。イザベラ達も俺と似た気持ちだとその表情からはっきりと伝わる。
「次に会った時には貴方を振り向かせて見せますよ。その時まで......どうか息災で」
なんやかんやでゼファイアは光輝が好きだったのかもしれない。
......いや、そういう意味じゃなくて。(パート2)
「つぎ会った時にはまた鍛え直してやる。......達者でな」
揺るぎない思いで光輝から出たその言葉にゼファイアの心の中では冷たく張り詰めた心の糸が暖かい手で支えられる。そんな気持ちがゼファイアの表情から驚きと共に現れていた。
「ええ、それでは」
奥歯を噛みしめ自分の内面を必死に隠そうとするゼファイアは白いワームホールに身を置き戦艦の中えと向かう。その最中ゼファイアは何かに吹っ切れたように清々しい表情になっていた。
どうやら気持ちの整理が済んだらしい。
イザベラ達もワームホールに身を包み。上昇していくイザベラ達も俺たちに軽くお辞儀をし光輝の後を追う。
そして戦艦がうねりを上げるようなエンジンの音が辺り一面に響かせる。漆黒の覇者の新たな船でを祝すかのような、そんな感じにも思えた。そしてゆっくり、ゆっくりと、戦艦が上昇していく。
(じゃあなゼファイア。今度会う時は、友達だからな。)
俺は今の想いを心の宝箱に入れ、鍵を閉めた。そしてその鍵をそっと握りしめる。
次に会う時までこの手の鍵は離さない......。




