第104話 遥か高みへ
オーバイロ(盾)を消し、ゆっくりと瞳を閉じた俺はある奥の手を使う。
超気の活性化。
それは俺の超気を爆発的に上昇させ、身体能力や異能の力を高めさせる物だ。
単純な話に思えるかもしれないが、シンプルだからこそどの型にも嵌る。
だからこそシンプルが最強なのだ。......と思う。
気を取り直し俺は全身の超気を活性化させていく。
血管や神経に流れる超気を噴火させるイメージで活性化させていく。すると俺の身体から青白い超気が爆発する様に膨大に膨れ上り、真紅の瞳に変わっていく。俺の足元の地面は抉れるように吹き飛んでいった。辺り一面の瓦礫も爆風のような風で吹き飛んでいく。
「な、なんだそれは?貴様にそれ程の力が!?」
「まずはその聖製からだ」
取り乱すゼファイアを前に俺は手を上空に掲げグラビティを手の平で作り出す。そしてグラビティを直径20メートルにまで拡張させた。更に黒炎をグラビティに纏う。
そのままグラビティの引力で蠟人形の聖製を引き付ける。
ズルズルと足を引きずり地面に跡を残しながらグラビティに引き寄せられる蝋人形の聖製。それを確認した俺は更にグラビティの引力を上げ聖製たちを一気に引き付けた。
グンッと一気に引き付けられた聖製たちはベッタリとグラビティの塊にへばり付きその黒炎の業火に焼かれていく。
いくら性質エネルギー無効のスキルがあったとしても、そのスペックを上回った俺の活性化されたグラビティと黒炎の異能には歯が立たなかったようだ。
ジュワーと焼かれていく聖製たちは5秒と経たないまま黒い炎の一部となったかのように消えていった。
それを見たゼファイアは自分が引きずり込まれるのを耐えながら悔しそうに俺を炯眼する。
俺はグラビティを解き、真っ直ぐにゼファイアを見つめる。
「決着をつけよう......ゼファイア」
「きっ、貴様!!!」
俺の力を見たゼファイアが取り乱し始める。そんなゼファイアの懐に、俺は一瞬にして潜り込むと右拳のアッパーを繰り出した。
顎にヒットし上空へと殴り飛ばされたゼファイアに追い打ちをかけるように俺も上空へとジャンプする。そして空中で舞うゼファイアの腹部を左足で蹴り上げた。
蹴り飛ばされたゼファイアは瓦礫を貫通していく。
瓦礫から瓦礫へと突っ込んでいき瓦礫の山に埋もれたゼファイア。
俺は地面にスタッと着地した。そしてゼファイアは弱々しく立ち上がる。
「馬鹿な!!いくら力が増したとはいえ、俺様を凌駕するほど卓越されただとでも言うのか!!?」
悔しそうな面持ちで狼狽するゼファイア。
「ただ力を底上げしたんじゃない。俺の活性化と言う異能はレベルを上げると言う意味よりも次元を超える。お前が俺と似た異能を持たない限り、今のお前の力が10倍や100倍に増しても俺はお前の遥か高みの存在なんだよ」
俺は揺るぎない真紅の瞳で淡々とゼファイアにお前は勝てないと言う事を遠回しに主張する。
「クソッ!!舐めやがって!!!」
腹の奥底から俺に憎む眼差しを向けてきたゼファイアは歯を食いしばりながら高々と飛び上がる。
「この世界もろとも消えろ!!東条ハジメーーーーーー!!!!」
ゼファイアは100メートル上空で片手を大空に掲げ手を開く。すると黒い微粒子がゼファイアの片手に集まっていく。
5秒も経たずにその集まった黒い微粒子は直径200メートルまでの黒い球体と化していた。
まるでこの世の負のオーラをかき集め絶望を具現化した物の様に見えた。




