第103話 強化された聖製
建物に激突し崩壊した瓦礫に埋もれたゼファイア。俺は好機だと思い追い打ちをかけようと瓦礫に埋もれているゼファイアに猛進した。
しかし土煙の中から一瞬、黄色い光が見えた。
ヒュッ!!ズバッ!
その黄色い光は閃光の速さで俺の頬を切り裂いた。
今のは剣か!?
「外したか?流石に土煙の中でだと狙いにくいな」
モクモクと沸き立つ土煙から姿を現したゼファイアは大地に足をつき、平然としていた。そしてゼファイアの周囲には見覚えのある物体が浮遊していた。
あれは......聖製!?
その物体の正体は異世界人トーナメントで彩柄 守が使っていた聖製だった。でもなんでゼファイアがあれを?
「なんで俺が彩柄 守と同じ聖製が使えるか気になるって面してるな。考えても見ろ。俺があいつら異世界人トーナメントの参加者に異能を渡したのはこの俺だぞ。その渡した俺がオリジナルを有しているのは当然だろう」
そう言う事か。と言う事はさっきの電撃もあいつがキャンシーに渡したから、そのあいつが使えないわけがないんだ。
俺は切り付けられた頬からたれ流れる血を手の甲で拭い、ゼファイアを警戒する。
聖製は球体となってゼファイアの周囲に6個に分裂して浮遊していた。
「次だ」
ゼファイアの冷徹な声と共に聖製がまた姿を変えていく。今度は分裂した球体の一体一体が人型に変わっていく。
体系がバラバラな黄色い色をした体躯に、のっぺらぼうな顔。モデルが男性と言うのは分かるがそれ以外は何も感じさせない、意思のないのっぺらぼうの蝋人形のように思えた。
まるでゼファイアがこの世の人間になど興味や関心など持っていない内面が体現しているような感じだった。
瞬く間に俺に襲い掛かってくる意思なき蠟人形。俺はそれに向け黒炎弾を連射する。
バコン!バコン!バコン!......。
計6体の蠟人形にぶつけた黒炎弾は爆発する。しかし爆炎から出て来た蠟人形たちは無傷で俺に襲い掛かってくる。
「無駄だ。そいつらにも俺同様、性質攻撃は無効化される」
彩柄 守のと違ってアップデートされている聖製に俺は驚愕する。
攻撃してくる蠟人形たちの攻撃をピリオドで察知しギリギリで俺はかわしていく。
そして攻撃に転じようと一体の蠟人形に拳を当てようとした矢先に大爆発した。
ドカーーーーン!!
その爆発で俺は50メートルまで吹き飛ばされ建物に直撃する。
「くっ、くそ」
俺は苦痛を全身で感じながらも奥歯を噛みしめるように立ち上がった。一体かけたとは言え、あんな攻撃3回も耐えられる自信がない。でもやるしかない。
しかし、そんな奮起しようとする俺を蠟人形たちは待ってくれない。
蝋人形たちは各々が火、風、雷、氷、光のエネルギーとで5つの性質攻撃を仕掛けて来た。
交わる5つの性質攻撃は宛ら光り輝く虹の極太ビームの様だった。
窮地に立たされた俺は急いでオーバイロを極厚な盾にし、俺の前をその盾で塞ぐ。
透き通るような色をしたオーバイロ(盾)に直撃した虹色の極太ビームは強い衝撃を放った爆炎と化した。
直径200メートルにまで及ぶ爆炎はその周囲すらも吹き飛ばし、ヒーリング会社はもちろんの事、民家やマンションやスーパーなどが、見るも無残な粉々の瓦礫に成り果てていた。
その爆炎の仲ポツンとオーバイロ(盾)の後ろでなんとか立っていた俺はその周囲を見渡し唖然となっていた。
俺の後ろにだけ爆発の影響を受けなかった大地と民家は悲し気に残っていた。
本当に俺たち以外がシルビーのテレポートで移動してくれたことが良かったと、心の中で安堵していた。
「どこを見ている」
しかしその冷たい囁きが俺を現実へと引き戻させる。
前を向くとゼファイアが蠟人形たちと共に並び立っていた。
最悪な絵面だ。
俺は腹の底からゼファイアを許せずにいた。憤怒する俺は右手を翳しオーバイロ(盾)を消した。




