第102話 レイナの覚悟
レイナを妃にすると言う事はつまりゼファイアとレイナが結婚すると言う事。そんな人権に関わる条件飲めるわけないだろう......と言うのは建前で、本当は俺は心の奥底からレイナを......愛していた。
だからこそ俺の懸想する人に対し暴力的な奪い方をするゼファイアを俺は許せない。
それにレイナの気持ちはどうするんだよ。
俺はレイナの方に振り向く。
「ハジメ私なら大丈夫です」
「レイナ。でも......」
君を危険に巻き込みたくない。その想いで俺は一縷な切ない声でレイナに言う。
「大丈夫ですよ。だって私、こんなにも心が穏やかなんです。ハジメやみんなが私の近くにいるから、心強いからそう思えるんです。ですのでハジメ、そんな貴方になら私の全てを託せます」
レイナは全てを包み込むような温かい笑顔で俺にそう言った。
俺はその言葉に力強く頷き、再びゼファイアに視線を向け炯眼の眼差しを向けた。
「そう睨むな。お前にも勝者となった暁には俺に命令する事が出来るんだぞ。さあ、何を望む?」
人を見下すような俯瞰な面持ちに俺は更に憎悪が増す。しかしこのままではゼファイアの思うつぼだと思い一度深く深呼吸をし、冷静になる。
「俺がお前に望むのは......今までの償いだ」
俺は唇を嚙みしめながらそう答える。今すぐにでもぶん殴ってやりたい気持ちを押し殺して。
こいつには、ラーサイオ星や異世界人トーナメントで人の命を弄んだ事を償わせるんだ。
「まあ、良いだろう。俺が負けるなんてことは万に一つもないがな」
余裕の笑みを浮かべるゼファイア。自分負けるなんて微塵もないと言わんばかりの堂々とした立ち振る舞い。
俺はと言うと拳をフルフル震わせ必ずあの胸糞悪い顔面を思いっきり殴ってやろうと決意する。
「じゃあ始めるぞ」
指をバキバキ鳴らし今にでも襲い掛かる様な様子に流石のみんなも驚いた。
「シルビー!君のテレポートでハジメくんとゼファイアだけを残し別の星に!!」
「わかっているよ!!」
ダイスの掛け声にすぐさま反応したシルビーはテレポートで俺とゼファイアを残し周囲にいる市民とでテレポートをした。
「ハジメーーーーー!!!」
消えゆく間際にレイナの叫ぶ声を俺は背中越しで聞き、必ず勝利すると誓い、レイナに向け親指だけをグッと立てた。
「行くぞーーーー!!!!」
俺はみんなが消えた事を確認するとゼファイアに殴り掛かる。
「あめーよ」
俺の拳を難なく片手で防ぐゼファイア。そしてゼファイアは俺の拳を握りながら放電を体中から放った。
バチチチチチチチ!!!!
辺り一面に電流が流れ出ていく中、俺はそれを防ぐ間もなく正面から受けてしまう。
「うわああああああ!!」
電流で俺の全身に激痛が駆け巡る。
なんとか歯を食いしばり耐えた俺は痛みの中で黒炎弾をゼファイアに向け至近距離で放った。
ドカン!!
黒い爆炎が舞う。その隙に俺は後ろにバックステップで後退した。モクモクと上空に上がっていく黒い煙の中不敵な笑みで姿を現すゼファイアは無傷だった。
「俺にはあらゆる性質攻撃は聞かない。与えたければ打撃で来るんだな」
衣服の土ぼこりを片手でほろい、人差し指をこちらに向け、かかってこいと言わんばかりに前後に動かし挑発してきた。
「言われなくてもお前のその憎ったらしい顔面に俺の拳叩きつけてやるよ!」
ゼファイアの挑発に憤怒する俺は、すかさず前に突っ込んだ。そしてゼファイアに近づくと黒炎弾を地面に向け放つ。
ボーーーン!!!
爆炎と土煙を立て目くらましをしたのだ。
「ほう、少しは考えたか。だがな」
黒い土煙が舞う中、ゼファイアの背後に黒い影が現れると、ゼファイアはそれを感知し拳を叩きつける。
だがそれは俺が作り出したグラビティだった。爆炎の中にグラビティをゼファイアの背後に向け撃っていたのだ。そして同時に俺はゼファイアの背後を取った。
もらった!
グラビティに気を取られたゼファイアは背後から迫る俺に、一瞬気付き首だけをこちらに振り向く。そのタイミングで俺の拳がゼファイアの頬に命中した。
ドカッッ!!
爆炎をぶった切る様に殴り飛ばされたゼファイアは建物にまで突っ込んでいった。




