プロローグ
フルダイブ型MMORPG《Free Species Online》
通称FSO
圧倒的な自由度とその名の通り規格外に多い種族。
βテストでは絶賛の嵐。
このゲームが旋風を巻き起こすことは、もはや約束されていた。
初回、第一陣がプレイできるのは抽選で選ばれた1万人と、いち早く購入した9千人のみ。
そして俺——梶山 冬斗は、9千人という狭き狭き、とても狭き門を潜り抜け、サービス開始を今か今かと待ちわびていた。
夏休みに入ったこの時期。正に最高の状態で臨めるというもの!
このヘルメット型の専用の機器だって40万もした。バイトバイトバイト。バイトに次ぐバイトで手に入れた。
しかし、そんな生活もおさらば。バイトする目的を失った俺はもはや無敵!
この夏休み、FSO漬けの毎日を送ると決めた。
そして俺は、明日のサービス開始に備え、ゆっくりと目を閉じた。
ーーーーーーーーーー
はい!翌日です!
俺は意気揚々とその時を迎えた。
ヘルメット型の機器を装着し、FSOを選択。
《プレイヤーの案内を任せられましたAI、au2181θです》
幻影のようなもので人物が写し出される。
どうやらAIのようだ。
「よろしくお願いします」
《はい。では名前を入力ください。名前は他のプレイヤーにも表示されます。また、途中で変更が出来ないので注意してください》
「カジで」
《重複の有無を確認します——重複なし。『カジ』で決定してよろしいですか》
「はい。お願いします」
《かしこまりました。次に種族を決定してください》
このゲームは種族が多い。何とびっくり460種。
ちなみに職業もやたら多いらしい。
普通、ここが1番の悩みどころであろう。
しかーし、俺は違う!長い長いスクロールを終え、1番最後に記される——ランダム。
普通、種族選択では選べない、龍や天使なども、ランダムで出てくる。
ちなみにやり直しはできない。データも消せない。
だからこそ面白い!
さぁ、賭ケグルイまs——
さて、今のは忘れていこう。
恐る恐る、ランダムと書かれたボタンを押す。
《ランダムでよろしいですか?人種か亜人種でない場合、冒険者組合で受けることができるチュートリアルを受けることが出来ません》
「……はい。お願いします」
《職業は開始してから、自分のスタイルに合った物をお選びください》
職業は、レベルが10上がる毎に新たな職を得られる。
その時に進化することもあるんだとか。
「わかりました!」
《それでは、楽しんでくださいね》
刹那、視界が暗転した。