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アンバランサー・ユウと世界の均衡  〜唯一無二の属性<アンバランサー>を持つ少年が世界を救う!  作者: かつエッグ
第二編 「星の船」

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ジーナが、マリア団長をまもる。

読者のみなさま、今回は記念すべき第百回目の投稿であります。お楽しみ下さい!

「何があった!」


 呼びかけるマリア院長のところに、職員が慌てふためき駆けよってきて、報告した。


「たいへんです、院長! たった今、絶望の湖が崩落しました!」

「なんだって?!」


 わたしたちの目の前には、おどろくべき光景が広がっていた。

 半径五キラメイグはある、ガラス化した大地を、まっぷたつに横切るように、大きな亀裂がはいり、その半分の平面が砕けて、地下に崩れ落ちていた。

 どうも地下には大きな空洞があるようだった。

 崩落せずに残った半分にも、亀裂はいくつか見られ、こちらも、いつ崩れるかもわからない。


「先発隊はどうなっている? 無事か?」


 マリア院長が詰問する。


「わかりません…まだ、中にいると思われます。わたしたちが、先発隊の帰りをまっていたら、突然、地鳴りがしたかとおもうと、このありさまです!」


「あの連中がなにかやったんじゃないの?」


 とジーナ。


「まあ、のっぺりはどうなろうと、どうでもいいけど、冒険者の仲間たちが心配」

「そうだね。これは、いくしかないな」


 ユウがそういうと、


「わたしも、連れていってください」


 マリア院長が、決然とした顔で言う


「わたしは責任者として、状況を確認しなければなりません!」

「わかりました。マリアさん、あなたは、ぼくらから決して離れないで。ジーナ、君はなにかあったらマリアさんを守るんだ」

「はぃっ!」

「じゃ、飛ぶからね。マリアさんは、はじめてだから、ぼくと手をつないで」

「? なんですか?」


 マリア院長は、なにが起こるかよくわからないようだったが、それでも言われたとおり、ユウの手を握る。

 そして、わたしたちはふわりと浮かび上がった。


「きゃっ!」


 マリアさんが驚いた声をあげる。

 わたしたちは、そのまま飛行して、絶望の湖の崩落個所から、内部に飛びこんでいく。


「ええーっ? 院長ぉー!」


 驚いた職員が大声をあげた。


「なんだ、あれ! 飛行魔法なんて、聞いたことある?」

「おい、あいつらって、『雷の女帝のしもべ』じゃないのか?」

「いつのまに加わってたんだよ!」


 わたしたちの飛行を目撃した冒険者たちが騒いでいる。

 もう、わたしたちのことは、これでバレバレだ。

 でもそんなことを言っている場合では、もはやないだろう。


 とびこんだ絶望の湖の地下には、広大な空間があった。

 それは一種の格納庫なのだろうか、落ちてきたがれきが埋め尽くしている場所をのぞけば、用途のわからない様々なもの、道具、機械のようなものなどが、整然と配置され、ずらりと並んでいる。

 天井と壁から、オレンジ色の光が発せられており、わたしたちには特別な明かりは必要なかった。


「これは…」


 マリア院長が絶句した。


「これまでに発見された中でも、最大規模の遺跡です」


 あたりをみまわす。


「これほどたくさんの遺物が、そのまま残っているなんて…あっ、あそこに」


 マリアさんが指さす。

 すきまなく物が並ぶ中、そこだけが広く空いており、その広い場所のなかに、大きな構造物がみっつだけ置かれている。その三つは、釣り鐘を上からおしつぶしたような形をした、幅が二十メイグぐらいある巨大なもので、側面には丸く、窓のようなものが並んでいる。

 その外見から連想するのは


「乗り物?」

「あれです、あれがーー」

「星の船か! なんと、()()()()()()型だ」


 ユウがまたよくわからないことを言う。

 わたしたちが近づいていくと


「「「「これはこれは」」」」


 物陰からすべるように現れて、星の船の前に立つ、四つの影。

 全員が小脇に、黒いかばんを抱えている。

 その声は、まったく同時に四つの口から発せられる。


「「「「マリア院長、そしてアンバランサー、ようこそ」」」」

「あなたたち!」


 マリア院長がうめく。


「なるほど、禍つ神は、宇宙船に、用があったわけだね」


 ユウがいつもの口調で


「それで、いったい、なにをするつもりなのかな…」


 四人は同時ににやりと笑った。


「「「「まあ、楽しみにしていたまえ」」」」


 そして、マリア院長に視線をむけると


「「「「マリア、こちらに来なさい、お前はまだ役に立つ」」」」


 マリア院長はあとずさった。

 ジーナが、イリニスティスを構えて、その前に立つ。


「「「「おや?」」」」


 四人の男が、マリア院長のその様子に、いぶかしげな顔をする。


「きみたちの、マリアさんにかけた結界は、ぼくが乗っ取った。眷属も、ライラが消してしまったし、もうマリアさんは操れないよ」


「「「「それなら、もうこの女、必要はないな」」」」


 男たちがそう言った瞬間、四つのかばんから赤い光がきらめいた。

 ()()()()だ!


 マリア団長と、わたしたちを狙ったその光は、しかし、わたしたちの前に出現した光の壁にはじかれる。

 はじかれた四つの光のうち二つが、角度をかえて、格納庫の中の遺物につきあたり、すぱりと金属製の遺物を切断した。けたたましい音を立てて、切断された機械が、床に落ちてころがる。

 残る二つの光は、逆転してかばんを直撃する。

 光の直撃を受けた、ふたつのかばんが爆発した。

 その爆発で、二人は、かばんを持つ腕が吹き飛んだが、腕がなくなっても、なんの動揺も、そののっぺりした顔にはあらわれない。苦痛すら読み取れない。


「「「「なるほど、これがアンバランサーの力か」」」」

「降伏するかい? まあ、そんなわけないとおもうけど」


 そういって、ユウが一歩前に出る。


「「「「アンバランサー、それ以上近づかない方がよかろう」」」」


 四人の男が言い、とたんに、外から人々のわめく声が聞こえ、そして、まだ無事だった天井がみしみしと音を立てて、亀裂が広がった。亀裂から、外部の強烈な陽光が射す。


「危ない!」


 わたしたちは、後ろに下がる。


「「「「クックックックッ…」」」」


 男たちの笑い声がひびく。

 台地が、激しく揺れた。

 次の瞬間、崩落が一気にひろがり、キラキラ光る大量の土砂とがれきととともに、巨大な黒いものが落下してきた。


「なっ! あれは、砂虫(サンドワーム)!」


 一匹の砂虫が、絶望の湖に突入、もろくなった天井をつきやぶり、わたしたちの目の間に、のたうちながら落下してきたのだ!


 百メイグはある砂虫の巨体が、地響きを立てて床に激突、いくつもの遺物が押しつぶされ、吹き飛んだ。

 まるで爆発のように、突風が吹き荒れる。


「そんな…」


 マリア院長があぜんとした声を出した


「砂虫は、どんなことがあってもここには近づかないはずなのに…」

「おそらく、連中が強引に操っている。あのかばんだな」


 ユウが言い、力を働かせて、かばんの一つがまた、爆発した。

 あと一つ。

 しかし、そのとき


「「「「アンバランサー、君は、あれを放っておいていいのかな?」」」」


 男たちが言う。


「あっ、みんなが!」


 ジーナが叫んだ。

 傾き、今まさに倒壊しかかる壁のすぐ近くに、先発隊のメンバーが倒れていた。

 遺跡院の職員もいれば、冒険者たちもいる。

 みな、意識がないようで、この状況でもぴくりとも動かない。

 このままでは全員、下敷きだ。


「むっ!」


 ユウの力が働き、崩れ落ちる壁が、斜めになったまま、凍りついたように途中でとまった。


「みんな、助けるよ!」


 その間に、わたしたちは駆け寄り、倒れている先発隊員を移動させる。

 さいわい、大きな怪我をしている様子はない。

 救助に集中するわたしたちの後ろで、爆発音、そして何かが崩れる音がした。

 振り返ったジーナが


「あっ、あいつらが、逃げた!」


 格納庫の反対側の壁に、黒々と大きな穴が開いており、そして、三隻あったはずの星の船が、今は二つしか残っていない。

 四人は砂虫を使って、一隻の星の船を強奪、壁を破って消えていったのだった。

 その穴からは、今、大量の砂が噴き出している。

 砂虫が遠ざかっている証拠だ。


「まあ、あれはしかたがない。みんなを助けるのが先だ」


 ユウが言い、わたしたちは救助を再開する。


「これで、全員ですね?」

「はい、一人も欠けていません」

「それは良かった…」


 全員を移動させ終わると、ユウが力をぬき、そして一気に壁はくずれおちた。

 土埃がもうもうとあたりを覆う。あの下にいたら、ひとたまりもない。


「やれやれ…これで、一息つけるかな」


 ユウがそういったとたん


「たすけてー」

「なんでこうなるの?!」

「落ちるー」

「もうだめー」


 頭上で声がした。

 見上げると、はい、予想通り、「暁の刃」の面々でした。

 彼らは、崩落した天井の端っこに、かろうじてひっかかって、ぶらぶら揺れていた。

 例によって、タイミング悪くまきこまれたようだ。


「まただよ…」


 ジーナがつぶやいた。


「すごいね、あいつらの引きは…」

「お知り合いですか?」


 何も知らないマリア院長が聞く。


「その、腐れ縁というか…」


 わたしは答え、そしてユウが、彼らを安全な場所まで飛ばすのだった。



いつも読んで下さってありがとうございます。とうとう、星の船の出現です。アダムスキー型円盤をイメージしていただければ。


面白いぞ、次を読みたいぞ、そう思われた方は応援お願いしますね!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 「暁の刃」の方たち、期待通りの仕事をしてくれますね。 [一言] 毎回更新して、百回目。簡単なことではありません。が、楽しく書いていらっしゃるようにも思えるので、毎回更新して気がついたら百回…
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