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マザー・コンプレックス  作者: 及川一乃
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漆の汁椀とマヨネーズ

二〇二〇年二月十一日、K県K市の住宅街で男性の遺体が発見された。男性の妻と見られる女性は、意識不明の状態で救急搬送。K県警は、女性を重要参考人として、回復を待って事情聴取を行う方針を発表した。


 食洗器には食器を均等に並べなければならない。全ての食器の間に均等に空間を作り、熱湯と洗剤が入るようにする事で汚れを綺麗に落とせるようになるのである。食洗器に入れてはいけないものは、漆の汁椀と、木製の食器、クリスタルグラス。入れるものと入れてはいけないものを仕分けして、流し台の上の食器が全て収まった時、気持ちがスッキリと軽くなるのを感じる。


 江本加奈は丁寧に、夕飯で汚れた皿を食洗器に並べていた。ダイニングキッチンの向こうでは、息子の優が急須にお湯を注いでいる。郵便局が企画している『春の自由研究』に応募するため、お茶の力について調べているらしい。


「優は実験のような事が好きね。今は何をしているの?」

「ウラジロガシの葉っぱを乾燥させて、お茶にしているんだよ。」

「ママも飲んでみたい」

「ちょっと待ってね。飲む以外にも、洗浄力や消臭力もあるんだって」

「もういろいろと調べてるんだね」


 優は幼い頃からキッチンに立つ加奈をよく観察していた。火や水、調味料を使って、本来あるべき物の形を変えていく作業に興味が尽きないようだった。『春の自由研究』に応募するのは、今年で四回目の事だ。


「そういえば、今日達也君を見かけたんだけど、すごく背が高くなってたね。最近遊んでる?」


瞬きをしながら優が首を振った。優は質問をすると、頻繁に瞬きをする癖がある。


「あら、なんで?」

「うーん。たっちゃん、変わっちゃった」

「なんで?」

「わかんない。前はもっと外で遊ぶタイプだったんだけど」

「そうよね、ママもそうだと思ってた」

「あんまり遊ばなくなって、それから、いじわるになった」

「意地悪って、どんな風に?」


 優は少し首を傾げて、加奈の目をじっと見た。言葉が出てこない事を察した加奈が、代わりに口を開く。

「急に意地悪になるって、何か嫌な事があったのかな。ママだったら、何かあったのって、達也君に聞いてみるかな」

加奈の目を見ていた優は、目線を下にずらし、急須を眺めている。


「優には優の、考えがあるんじゃないかな」


 急に、夫が口を開いた。湯呑を片手に持ちながら左下を見ている。夫が加奈と目を合わせずに話を続けるのは、いつもの事だった。何度も瞬きをしながらボソボソと話す。


「優は、優のタイミングで動くんだよ」


まだ何か言おうとしている夫の言葉を遮って、加奈が口を開いた。


「そんな事はわかってる。わかった上で、私ならどうするか?の話をしているんだけど」


 シンと静まった食卓で、優は無表情で二人の顔を交互に見ている。突然に夫が話に入ってきて、空気が壊れる事はよくある事だ。出会って間もない頃は新鮮だった、おおらかな性格と予想外の返答が、いつからか不快に感じるようになった。


 過去に一度、夫の浮気を見つけた事があったが、別れを選ぶか散々迷って、結局一緒に生きて行く事を選んだ。しばらくは死んでしまいたいくらい悲しかったのだが、あの時別れないで執着してしまったせいで、こんな事になってしまったとさえ思う。


 加奈が何度もフラッシュバックに襲われて泣き出しても、狂うように怒っていても、夫はあっけらかんとした態度で全く加奈の気持ちを見ようとしなかった。あまりにも傷つきすぎたせいで、干渉しない事が最善策だという結論にたどり着いてからは、出来る限り接触を控えるようにしている。


 夫は、それでも言葉をかけてくる。いつも、いつも見当違いな言葉を。近年では、自分が苛立っているから気に障るのか、本当に夫が見当違いの事を言っているのか、わからなくなって来ていた。


「お茶、出来た」


 優が、急須のお茶を湯飲みに注いで差し出した。


—小一の壁


 毎年春になるとワーキングマザーたちの間で飛び交う言葉だ。延長保育で手厚く可愛がられていた子供たちは、小学校にあがると同時に突然社会に放たれる。


 小学校は遅くとも午後三時頃に終わり、両親が共働き世帯の場合、ほとんどの児童がその後は学童と呼ばれる場所に通う事になる。夜の八時まで子供を預かってくれる保育園とは違い、学童は原則六時まで。

編集業務の職に就いている加奈にとって、六時までに仕事を終わらせるのは難しい事だった。しかし、優をひとりで自宅に留守番させる事はもっと難しいように感じた。長らく悩んだ結果、優が小学校にあがる前の月に、会社に在宅勤務を申し出る事にした。


 加奈の予想通り、優の小学校生活はトラブル続きだった。コミュニケーションがあまり得意ではないため、度々友人とトラブルを起こすのだ。叩いてしまった、度が過ぎたいたずらをしてしまった、癇癪を起こして動かなくなってしまったなど、担任の先生から報告の電話がかかってくる事はしょっちゅうだった。行動範囲が広くなって、どこかに出かけたまま中々帰ってこない事も増えた。


 四年生にもなると、学童に行く事を嫌がるようになり、友達の家に遊びに行く事も増えた。五時半に帰ってくるという約束が守られる事はほとんどなく、加奈は何度大声を出したかわからない。仕事をした後に、大声を出して怒るという行為はとても疲れるものだった。もちろん、こういった話を夫に相談する事は、一度もなかった。


 「優は繊細なんだよな」というのが夫の見解だった。いつも少しズレた言葉が出てくるからには、少しズレた感覚の持ち主だと言う事は理解できる。けれど、優は繊細なのではない。どちらかというと鈍感な方で、相手の気持ちが読めないので、いちいち口にする事はしないだけなのだ。それでいて衝動性が強いので、トラブルになりやすい。優が繊細だから起きているのではない。こういった小さな見解の違いが、いつの間にか大きな溝に変わって行った。


 衝動的に動いてしまう優は、加奈が見ていないと、絶え間なくトラブルが起きる。そう言った事への対処も、ひとりで何とかしなければならない。

いつしか育児は辛いものとなっていた。それでも加奈は、優よりも夫が憎かった。二人がよく似ているという事が何よりも加奈を苦しめるのだ。何度も逃げてしまいたいと思ったが、自分は母親であるという責任感がギリギリのところで踏みとどまらせた。下唇をグッとかみしめ、本当に逃げる事も優を叩く事も、絶対に出来なかった。


 母親の呪いというものは、果てのない強制力を持っている。幼い頃に何度も母親に「大丈夫だよ」と言われた事は、呪いのように加奈に付きまとう。母に大丈夫だよと言われれば、どのような事でも、「大丈夫」になってしまうような恐ろしい呪いにかかってしまっているのだ。


 優が小学校にあがるまでは、足蹴く取材に出ていた。加奈は仕事でフリーペーパーを制作していて、人と直接話す事や、対面で顔を合わせる現場の作業が好きだった。在宅勤務になってからは企画出しや編集作業を主に行っていたが、やはり現場に行かないとわからないような空気感というものがある。取材や打ち合わせにはなるべく自分が顔を出したいという気持ちがあったので、なるだけ足を運んだ。

 その日も、来月の特集で載せたい飲食店の打ち合わせに向かった。ランチとディナーの間のお客さんがいない時間に訪問して、夕方には帰宅した。


 帰宅後すぐに気づいたのは、優の部屋のドアが開いている事。部屋に入ると、仄かにお菓子の香りがする。カーペットの上に転がっていたクッションを手に取ると、見覚えのないお菓子の袋が複数枚出てきた。袋の一枚を手に取って眺めていると、トイレに行っていた様子の優が戻ってきた。


「あっ」

「これ、何?」

「貰った」

「誰に?」



五秒程の沈黙が流れた。加奈は優を座卓の隣に座らせ、自分も向かい側に座った。


「本当の事を話しなさい」

「拾ったお金で買った」

「どこで?いくら拾ったの?」

「たっちゃんが拾ったから何円かは知らない」

「達也君とまた遊び始めたの?」

「ゆ、ゆきのりが、く、れた!!」


どもった優の返答に、加奈は大きくため息をついた。


「万引きしたの?」

先ほどとは、声色を変えて質問する。

「……」

「怒らないから」

「……」

「どこのお店?」

「……」

「近くのコンビニ?」

「……」


 加奈が何を聞いても、優は返事をしない。


 加奈は、自分が必要以上にイライラしているのがわかった。無言で立ち上がり部屋を出て、冷蔵庫から取り出した水を飲む。目を瞑り大きく深呼吸をしてから、もう一度優の部屋に戻った。優は変わらずに同じ場所に座っている。


「一緒に行ってあげるから、ごめんなさいしに行こうか。お金も払わないといけないしね。今すぐ行かないと、警察を呼ばれてしまうかもしれない。調べられてしまったら、結局優ちゃんがやったんだって、わかるんだよ」


優の目から、涙がこぼれた。体操座りをしている身体をキュッと硬くして、小さく震えている。


 結局、どこの店で万引きをしたのか聞き出すのに、一時間半かかった。優が万引きをしたのは加奈がよく行くスーパーで、一緒に連れて行った事も何度もあった。泣きたくなるような気持ちを堪えて、二人で謝罪に向かう。数百円分のお菓子。たかがそれだけの為に自分がどれほど悲しい思いをしているか、優に何度も伝えながら歩いた。泣いているばかりで、優は何も言わなかった。


 スーパーのスタッフルームで、商品の代金を支払い、子供だけで立ち入らないという事を約束した。優は、聞き取れないような小さな声で「ごめんなさい、ごめんなさい」と何度も呟いていた。

何が悪いのかこの子はちゃんとわかっているのだろうか、怒られた事が怖くて謝っているだけではないか。すぐにでも問い詰めたいと思ったけれど、よくない言葉が出てきそうな気がしてやめた。


 こんな日は、誰かに泣き言を言いたいけれど、そんな事はできない。夫に話したところで、より一層、腹が立つに決まっている。その事が加奈をもっと惨めにさせた。優はと言うと、帰宅するなり部屋に閉じこもった。声をかける気力も出ない。こんな日でも、家族三人がバラバラに生活をする。


 タイミングの悪い事に、翌日は先月からの約束で友人の萌絵が自宅に遊びに来る予定だった。優の部屋が隣接するリビングで話をするのは、加奈にとって気が重い事だった。恐らく優も居心地の悪さを感じる事になる。


「ハーブティーと、ビール。どっちがいい?」

「ビールかな」


 萌絵は目を細めながら缶ビールを手に取った。萌絵と話をする時は、十中八九お酒の匂いがする。

 加奈は昨晩の優の事を考えながら、腹の前で両手を握り、息をすうっと吸った。


「この間、優がめずらしく友達の話をしてくれてね。保育園から仲良しの達也君、最近変わっちゃったんだって。だからあんまり遊ばなくなったらしい。優って、なあーんにもわかってないように思っていたんだけど、友達の変化とかわかるようになったんだぁって、感心した」

「男の子はあんまり喋らないよねぇ。でも優は名前の通り優しいから、実はいろんな事が見えているのかもよ」


 そう言いながら萌絵は、八重歯を見せてニッコリと笑った。優しい子が万引きを友達のせいにしようとするのか思うと、なぜだか萌絵を責めたくなった。モヤモヤした気持ちを隠すように話を元に戻す。


「それでね、優に私だったら達也君に何かあったのって聞いてみるって言ったら、夫がいきなり話に入ってきたのよ。優には優のタイミングがあるって。そのタイミングの話、今言う?って。すっごい腹が立った。そんな事わかってるけど、その上で自分だったらどうするかを伝えてるだけじゃない?」

「あー、言いそう。言いそうだわぁ」


萌絵は楽しそうに笑った。


「いつも黙ってる癖に、口を開くと不快な事しか言わない。もう黙っててほしい」


 加奈もクスクスと笑いながら話を続けた。テンポよく萌絵が言葉を返す。


「でも男の人ってそんなもんよね。大体空気読めない。もっと言うと、夫婦ってそんなもん。言葉が噛み合っている夫婦の方が少ないよねぇ」

「そうなのよね。噛み合わないのって、いつも男の人。女の人はそんな事ないのに」

「うちは何かトラブルが起きると会話の最初に必ず、これはあなたを責めているわけではないんだけど…という事を前置きしないと、すぐ変な方向に解釈するの。柊二ってすごく優しいんだけど、そのせいで、すぐに自信をなくしちゃうのよねぇ」

「わ、それはちょっと面倒だね。でも、優しい!うちと違って愛があるよ、愛が」

「そりゃあ、愛は、あるでしょ」


 目を細めて萌絵が笑った。萌絵はよく「柊二」の話をしている。「柊二」と良い仲だと言う事は何年も前から知っていた。パートナーの話はいわゆる鉄板ネタだった。不満はいくつも出てくるし、ある程度共感しやすい。加奈は、本当に話したい事がうまく出てこない時は、なんとなく当て馬のように夫の話をしている。


 結局二人で、缶ビールと缶チューハイを三本ずつ飲んだ。昨日から気持ちが落ち込んでいた加奈も、夕方にはすっかり上機嫌だった。


「さっき加奈がトイレに行った時にひょっこり顔を出したから、ちょっと喋ったんだけど、しっかりしてきたよ。また男前になったね。モテるんじゃない?」


帰りの身支度をしながら、ふいに萌絵から優の話が始まった。


「全然、モテないよ。そういう対象の子じゃないっていうか…」


 思わず語気が強くなった。しっかりしていないという事を説明しようと思うと、胸が詰まるような苦しさに襲われる。誰かに優の事を褒められると、決まって同じような感覚になっていた。褒められるような子だったら苦労していないという思いが喉の奥までやってくる。加奈は涙が出そうになった


「加奈が知らないだけで、きっとモテてるんだよ」


 萌絵が八重歯を見せて笑った。


「いやあ…私が同級生だったら、好きにならないし、やっぱりそういう雰囲気の子じゃないから」

「でも優って優しいじゃん?」

「そうかな…」

「加奈が優しいから、優も優しい。私は二人が羨ましいよ」

「うん」


 加奈からそれ以上の返事は出ない。「納得できない」と反対意見を上げるような話ではないと、静かに深呼吸をする。萌絵は、万引きの話など知らないのだから。


「帰るね。今日も楽しかった!また連絡する!」

「私も、楽しかったよ」


 子育ては、解決しない問題を抱えたままいつも通りに生活しなくてはならない事が、多くある。今日の問題は今日中に解決したい加奈にとっては、なかなか難しい事だった。一日を無事に過ごせた事に、ホッとする。


 翌週も優は、三日連続で門限を破っていた。こんな事は、いつもの事。慣れているはずなのに、なぜだかいつもよりイライラしている。漆の汁椀を流し台の端に除けて、ガチャン、ガチャン、と音を立てながら食洗器に皿を並べた。


六時過ぎ、優がガチャンと音を立てて帰ってきた。門限についての注意をどのようにしようか迷っている加奈の隣を、足早に横切って行く。


「ちょっと待って。ランドセルの中、見せて」

「なんで」

「なんでじゃない。見せて都合が悪い事でもあるの?」


優は黙っている。


「貸しなさい」


無理矢理こじ開けたランドセルから、透明のビニール袋が出てきた。優は力一杯そのビニール袋を押し込んで、奥にあるものを見せまいと踏ん張っていた。


「いい加減にしなさい!」


 大声を出すと、優の力が弱まった。奥から出てきた雑誌には、大きな瞳の女性が描かれている。肌色が多く目につく女性の格好を見た時、心臓の音が聞こえるくらい脈を打っているのがわかった。途端に、自分でも驚くほど大きな声が出た。何を言っているかわからない位の早口で優を罵っている。言葉を選んでいる余裕がない。


 加奈の大声と同時に夫がリビングのドアを開けてこちらを見ている。加奈は、夫が今まで家にいる事さえ気が付かなかった。一層、イライラが募っていく。


「優と大事な話をしているから、誠也さんは食洗器に食器を入れてて」


 夫は、返事をせずに無表情でリビングの方へと戻って行った。

「どうしたの」くらい言えないものか。夫が入ってくると、いつも余計に怒りが増していく。


 優は、駅前の本屋で漫画本を万引きしていた。「なぜ」「どうして」という問いは何ひとつ返ってこないまま、商品と代金を持って謝罪に向かう。加奈は終始、奥歯を噛みしめていた。


 本屋の店主は、優ではなく、加奈に言葉を多くかけた。中でも「お母さんがね、ちゃんと見ていてあげないといけないよ」という一言に、加奈はこらえきれなくなって涙をこぼした。


 小学四年生の子供を四六時中見張る事は、無理がある。仕事もせずに、子供のやる事全てを監視できる親なんて、いるのだろうか。私の母はそうしていただろうか。いつも優しかった母は、私を叱ったりしなかった。けれど、自分自身が叱られるような事をした記憶もなかった。どうしてこんな事になってしまったのだろうか。加奈の頭の中で、優と自分と、母親の事がグルグルと巡っていった。


「もうあの本屋さんに行かない事」

「はい」

「自分のした事がどんなに重い事なのかしっかり考える事」


 優は返事をしなかった。


「黙っているって事は、考えないつもりなの?」

「考えます」


 また、威圧的になってしまったと思った。よくない事だとわかっているのに、言葉が止まらない。


「この間スーパーで泣いてたのは、嘘だったって事だもんね。反省していたらこんな事しないよね。ママがじっと優の事を監視していないから、いけなかったのかな。これからずーっとずーっと、仕事もしないで、四六時中あなたの事を監視していたら、いいのかな」


 優はまた、返事をしなかった。加奈も、もうこれ以上よくない言葉が出て来ないようにグッと唇を噛みしめた。

 自宅に帰ると、夫がパジャマ姿でリビングから出てきた。


「おかえり」


 夫の声に、優だけが返事をした。


「ただいま」


加奈は誰とも目を合わせずにキッチンに向かった。ショルダーバッグを、フローリングに落とすように置く。洗い終わった食洗器を開けると、漆の汁椀にマヨネーズがついたまま、取り皿と一緒に重なっていた。


頭が沸くように熱くなるのを感じる。殺意とほとんど同義のような怒りが、全身を包み込んだ。


「誠也さん!」


加奈はほとんど無意識のうちに、大声で夫の名を叫んでいた。遠のいていく意識の向こうで、「大丈夫」と言う母の声が、聞こえる。



(続く)

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