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俺は女神さまにそう言うと、熱くなった目頭を軽くこすった。
「そう言って頂けると、私も転生させる甲斐があります。」
ニコッと笑った女神さまは、やはりこの世のものとは思えないほど美しかった。
いや、この世のものじゃないんだが…。
「私たちは本来、転生する人間を選ぶ事が出来ません。私たちが転生させるのは、ほとんどが元の世界で不慮の事故に合い、あの世に空きがない魂を、こちらの必要な世界へと転生させるのです。もちろん、こちらの都合で転生してもらうので、必要な知識や力を与えて転生していただいています。」
なるほど。つまり俺みたいな不慮の事故で死んだ人ってことか…。
でもそれだと異世界転生する人って多くなりそうなんだが…。
俺が疑問に思っていると、心を読み取ったのか女神さまがニコッと笑った。
「人の寿命とは決まっているんです。一見不慮の事故に見えても、私たちからすればその人の運命だったということになるんです。それに、若すぎる魂は、またすぐに新しい命としてその世界で生まれ変わります。なので、転生というのは本当にごく稀な事なのです。」
つまり俺は超ラッキーって事か!!
いや、死んでるからラッキーってのも不謹慎だが…。
「私はさっき、『本来なら』と、言いました。」
女神さまが意味ありげに繰り返した。